困難な仕事を続けているうち、だんだん社会人として成長していくことはよくあります。
しかし、中には理不尽な環境に身を置いているだけなのに成長のチャンスだと勘違いしているケースも少なくありません。
特に、残業が過度に多くなっているなら一般的なブラック企業に当たる可能性大です。
この場合、仕事を続けていても疲弊するだけで成長はしにくいでしょう。
この記事では残業の多さに麻痺している人の危険な思考をご紹介していきます。
みんなと同じでなくてはいけない
周りに合わせて残業する
真面目な人ほど理不尽な環境で自分を責めてしまいがちです。
そのため、残業が不当に多くなっても、
- 自分だけではない
- 他の人も頑張っている
と考え、つい無理をしてしまうのです。
しかし、こうした発想からは2つの基本が抜け落ちています。
1つ目は、辛さの基準は人によって違うということです。
他の人にとっては平気な状況でも、自分が受け入れられるとは限りません。
それなのに「みんなと同じでなくてはいけない」と思い込んでしまったら、ますます精神的に追い込まれていきます。
2つ目は、わざわざひどい環境に身を置く必要性などないということです。
確かに、同僚がみんな残業をしているのに自分だけ先に帰るのは気まずいでしょう。
しかし、だからといって早く帰れるのに残業をするのは非効率的です。
その上、正当な残業代が払われていないのだとすれば、残業をする必然性はまったくありません。
自分だけ違うことができない
ブラック企業の恐ろしさはいつの間にか「自分だけが違う行動を取ってはいけない」と思い込んでしまう点にあります。
そして、つらい気持ちを押し殺し無感情で仕事をしようとした結果、心身の限界を迎えてしまうのです。
つらいときにはまず、つらいと感じている自分を肯定するところから始めましょう。
そして、自分をそんな気持ちにまで追い込んだ会社の実状を振り返っていくと、問題点がわかりやすくなるはずです。
会社は家族であり仲間だ
家族や仲間などを連呼している会社はヤバい
必要性のない残業を繰り返す人は、会社に対して強い連帯感を抱きがちです。
もちろん自分が働いている場所を誇りに思うのは良いことです。
多かれ少なかれ、社会で成功するには職場を愛さなくてはいけません。
ただし、あまりにも思い入れが過剰になっているなら危険な兆候と言えるでしょう。
同僚を家族と思い始めたり、周囲が仲間という言葉を使い始めたら、かなり精神的に参っています。
さらに、上層部が積極的に家族や仲間などと連呼しているような職場なら、ブラック企業の可能性を疑いましょう。
理由は簡潔で、同じ会社で働く人間は家族でも仲間でもないからです。
どんなに良い呼び方をしても、ビジネスパートナーといったところでしょう。
社員同士の絆を強いる職場はブラックかも
こうした呼び名にこだわる必要はないとの意見もあるかもしれません。
しかし、ブラック企業の洗脳は細かい設定から徹底されています。
- 家族だから見捨ててはいけない
- 仲間だから放ってはおけない
といった刷り込みを行い、社員に劣悪な労働環境への疑問点を抱かせないのが彼らのやり口なのです。
ブラック企業といえば、社員を搾取する職場だと思われがちです。
ただ、実際には社員に絆を強いる職場の方が多い傾向にあります。
上から押さえつけるだけでは社員は離れていくと、ブラック経営者はよく理解しています。
だからこそ、彼らは表面上だけ理解者を装い、社員を愛している振りをして残業や休日出勤を強いるのです。
残業をしている自分は偉い
残業することが評価だと思っている
ブラック企業では、むしろ活き活きと働いている社員も少なくありません。
なぜなら、劣悪な環境下で「ここで耐えられている自分は優れている」と勘違いをしてしまうからです。
不要な残業を続けたり、休日をつぶしてまで出社したりする社員は典型です。
その上、上司から「頑張っているね」などの甘い言葉をかけてもらえるから、ますますモチベーションが上がってしまいます。
こうした社員は仕事における困難を取り違えている状態です。
社会で成長するためには当然困難な仕事にも立ち向かわなければいけません。
しかし、困難な職場からはいくらでも逃げていいはずです。
ブラック企業にいることが楽しくなり始めたら、精神的にはかなり洗脳されていると考えていいでしょう。
不要な残業からは何も学べない
ブラック企業でサービス残業を続けていても成長につながらないのは、効率性を学べないからです。
働き方改革などが推進される時代では、ますます仕事の効率化の重要性が提唱されています。
一方、ブラック企業における残業は効率化から対極にあるものです。
適材適所の人材が配置されておらず、仕事量も適性でないために残業が生まれているケースが大半です。
こうした残業は単に数をこなしているだけであって、ビジネスパーソンとしての成長とは無関係です。
精神力が強くなるとの意見もあるでしょうが、つらいことを我慢してもいつかは心が壊れてしまいます。
残業を肯定する考えを改めると、ブラック企業にとどまる虚しさが理解できるでしょう。
ここを辞めても行くところはない
残業がつらいなら辞めることを検討しよう
ブラック企業に疑問を抱いたとき、上司や先輩が定型句のようにぶつけてくる言葉があります。
- じゃあ、他の仕事ができるのか
- ここで通用しないなら他の仕事でも通用しない
といった文言です。
これらの言葉は深く心に刺さりがちで、「その通りだ」と納得してしまう社員も少なくありません。
そのため、残業がつらくても今の環境で頑張らなければいけないと思いこんでしまうのです。
しかし、こうした言葉をよく考えてみると矛盾点が続出してきます。
理不尽で嫌な仕事を辞めたいだけなのに「どうせ他の仕事はできないだろう」と言われても、本質がずれています。
とりあえず、嫌な仕事は辞めることを検討しましょう。
セカンドキャリアは辞めると決めてから初めて考えることができます。
ブラック企業は辞めさせないことに必死
ブラック企業は人員の確保に必死です。
そのため、会社を辞めたがっている人間に対して、あえてショッキングな言葉を使って「自分はここでしか働けない」と信じさせようとしてきます。
しかし、どんなに経営陣が辞めたがっている人間を引き留めてきたとしても、それは彼らの理屈でしかありません。
また、「他の仕事ができない」と言われたところで具体的な根拠があるわけでもなく、脅しで口にしているだけのパターンがほとんどです。
むしろ、転職エージェントや転職サイトが充実している時代では、職業を変えるハードルが下がってきています。
「仕事を辞めたい」と思ったときは、何よりも自分の心に正直な行動を意識しましょう。
ブラック企業の言葉に耳を傾けてはいけない
はっきり言って、ブラック企業から仕事を変えたいと思ったときに経営陣がかけてくる言葉はまともに取り合うべきではありません。
そのほとんどが感情論、根性論に支配された中身のない言葉だからです。
「辛かったら辞める」というシンプルな発想で転職を行ってもいいのです。
会社を辞めても自分の価値が下がるわけではありません。
むしろブラック企業でサービス残業に追われ、貴重な人生をすり減らすほうが大問題です。
転職をするなら、自分の気持ちを最優先に考えましょう。