介護の仕事と聞いて一番に思い浮かぶのは入所者様や利用者様を介助する介護職員ではないでしょうか?
「介護の現場で働いてみたいけど、体力もないし自分には難しいかも」と思っている人も多いはず。
そんな人にこそ知ってほしいのですが、介護の現場は介護職員だけでは運営できません。
介護職員が入所者様へ集中して接するためには、周りで働く職員のサポートは必須。
実際にどのような職種の人材が必要とされているのか、詳しく解説していきます。
理学療法士
介護と聞くと寝たきり状態の入所者様のオムツを替え、食事介助をしてというイメージが強い人も多いでしょう。
しかしここ最近では、介護度の高い入所者様、利用者様の状態改善に注力している施設に対して、介護保険からの運営費を多く配分しようという流れになりつつあります。
介護施設を取り巻く状況の変化にあわせて、理学療法士の需要も少しずつ増えてきているのです。
これまで理学療法士の働く職場というと、病院でのリハビリ対応が主でしたが高齢者の状態を改善することに興味がある人であれば、転職先の一つとして考えても良いでしょう。
日々の生活満足度に直結する
勤め先の施設によりますが、入所者様だけでなく、デイサービスの利用者様の対応を求められる場合もあります。
デイサービス利用者様は基本的に自宅で生活されている人がほとんどであり、身体機能の維持がそのまま現在の生活を続けることにつながるため、よりいっそうリハビリが重要です。
施設で入所されている方にとっても、自分で自分のことができる状態になれることは、人間らしく生活できることにつながるため、日々の生活満足度が向上します。
利用者様ごとにリハビリ計画書を作成するのは時間も手間もかかり大変な部分もありますが、快適に過ごすために助力できるという部分は大きなやりがいにもなるでしょう。
理学療法士は資格の必要な職種であることもあり、求人を探す場合には転職サイトで検索することで給料など、条件の良い職場を見つけやすくなっています。
ハローワーク、求人誌などで探すのも良いのですが、そもそもの掲載数が限られるため、あまりオススメできません。
管理栄養士
人間である以上、食事をとらないと生きていけないということもあり、介護の現場でも大切な役目を担っている管理栄養士。
給食の調理ではなく、利用者様ごとにどのような栄養のとり方をすれば良いのか栄養ケアの計画書を作成することが主な仕事です。
先ほど紹介した理学療法士と同じく、ここ最近では栄養面での入所者様のケアに関しても介護保険からの運営費の加算があるため、重要度が増しています。
高齢者の栄養管理は個々の状態に左右される部分も大きく、非常に難しいものです。
しかし、自分が栄養管理を担当した入所者様の健康状態が改善したり、食事をとれることで生活満足度が高くなったりといった部分は最大のやりがいと言えるでしょう。
時間も労力もかかる仕事
勤め先によっては栄養ケアの計画書を作成するだけでなく、給食の調理も任される場合があるので、その部分は事前にしっかりと確認しておくのが大切です。
施設の規模にもよりますが、入所者様の計画書作成は時間も労力もかかる作業なので、自分が無理なく働ける環境かどうかは把握しておくべきです。
求人を探す際には資格の必要な専門職ですので、管理栄養士向けの転職サイトで見つけることをオススメします。
ハローワーク、求人誌に求人が出ていることもありますが、これらの求人方法は費用抑え目となっており、それだけ人材に関わる部分の経費を削減したいという会社方針の表れでもあります。
一概にすべての施設がそうとは断言できませんが、採用に費用をかけていない施設の場合、仕事に関わる研修、資格取得が必要になった際に負担してもらえず、自費で払わなければならないケースも出てきます。
一般的に考えれば、仕事に関わる費用は会社が負担するべきのように思えますが、残念ながら会社の方針によりけりなので、事前に確認しておく方がよいでしょう。
洗濯職員
老人ホームなどの施設に入所している方々も汗をかいたり、食事をしている際に汚してしまったり、当然のことながら着替えをされます。
ご家族に頼んで服を持ってきてもらうにしても、あまりに頻繫だと負担が大きくなってしまうため、洗濯職員を雇い、施設で洗濯を行っているケースも多くあります。
基本的な仕事は施設に入所されている入所者様の衣服の洗濯なので、特に資格なども必要ありません。
これまで自宅で家事の一環として、洗濯を行ってきた主婦の方でも問題なく作業を行うことができるでしょう。
ただし、洗濯を行う必要のある洗濯ものは入所者様の数にもよりますが、かなりの分量になるので洗濯した後にそれぞれの入所者様ごとに洗濯物をよりわけるのも一苦労。
ガンコな汚れのついた洗濯物は手洗いするなど、予想以上に重労働な部分もありますので手軽にできる仕事ではありません。
そのような大変な面もありますが、洗濯職員が入所者様の衣服を洗濯してくれるおかげでご家族の負担を減らすことができ、入所者様はキレイになったお洋服で気持ちよく過ごせます。
この点はやりがいにつながることでしょう。
介護職員として換算される場合も
施設の運営方針にもよりますが、洗濯職員も介護職員として人数に換算している施設もあります。
このような施設であれば、仕事自体は洗濯が主ではありますが、現場で入所者様と接している職員と同じように介護職員向けの手当てがつく場合も考えられます。
洗濯職員の場合、特に資格も必要ない職種なので、ハローワークや地域の求人誌に募集が出ていることが多いでしょう。
そのため、入職前にどのような職場なのか確認するのが難しい部分はあります。
可能なかぎり、就職先の事業所内を見学して、すでに働いている職員の様子、事業所の様子を確認しておくことで後悔せずに済むはずです。
事務員
介護の現場では職員が入所者様の介助をしていれば、給料や休みの手続きは自動で行われるということは当然のことながらありません。
どのような規模の施設であっても、事務員は必ず必要とされます。
通常の事務員というと会計処理、勤怠管理、書類作成、整理、この辺りが思い浮かぶと思いますが、介護の現場の場合、毎月、国保連合会に対して、介護保険の請求業務が発生します。
社会福祉法人などの場合、運営資金の大部分は介護保険から支給されるお金です。
そのため、この請求業務がスムーズに進まないと会社の運営に少なからず影響が出てしまいます。
そのような点からも非常に大切な業務なのですが、この請求業務は一筋縄ではいかず……
介護保険に関する高度な知識を要求されます。
理想としてはケアマネジャーが請求に関する中身を精査して、請求業務を行ってくれるとよいのですが、現実問題としてほとんどないと言ってよいでしょう。
習得さえすれば次にもつながる
これまで一般事務しか経験してきていない人にとっては、入職後すぐにハードな状況に放り込まれる可能性もありますので、事前に自分が担当する業務について、しっかりと確認しておくことが大切です。
介護保険に関する勉強が必要なため、大変な部分もありますが一度身につけてしまえば、次回、転職する際には大きな武器になります。
介護保険の知識に精通した事務員は多くないので、今後、需要は高まっていくでしょう。
実務は非常に大変ながら、今のところ明確な資格があるわけではないので、求人を探す際はハローワークや求人誌の応募を探すことになるでしょう。
正直、文面だけでは情報量も少なく、どのような職場なのか判断が難しいので必ず事前に職場見学をオススメします。
介護の仕事はさまざまな人の働きにより成り立っている
介護現場で活躍している介護職員以外の職種についてご紹介しました!
ひと通り読んでいただいたら分かるとおり、介護現場は予想以上に幅広い職種の人たちによって運営されています。
介護の仕事だから資格を持っていないとできないわけではなく、洗濯職員、事務員であれば、挑戦心のある人なら、すぐに飛び込むことができます。
ただし、どの職種であっても介護現場ならではの大変な部分も多くありますので、簡単そう、気軽にできそうという視点で探すのではなく、
- 自分はどのような形で入所者様のお役に立てるか?
- どのような仕事なら無理なく続けられるか?
という仕事に取り組む上で大切な視点から考えることが大切です。
こちらの記事が介護現場でのお仕事探しの際の参考になれば幸いです。