「介護業務で働くことに興味はあるけど、夜勤があるのは体力的につらいかも……」と思い悩んでいる人も少なくないでしょう。
施設で働く介護職員の場合は、交代制で夜勤に入らないといけないことも多いのですが、介護の仕事の種類は施設の介護職員だけではありません。
介護業界で働くのは初めてだから、少しずつ経験を積み上げていきたいという人であれば、日勤のできる職種から始め、スキルと知識を身につけ成長していくのも良いでしょう。
また、介護職員として利用者様に関わるのとは違う形で介護業界に関わることもできます。
こちらの記事では、介護の仕事で主となる、
- 施設職員
- デイサービス職員
- ヘルパー
の3つの種類を取り上げて詳しく紹介していきます。
介護のすべてを経験できる施設の「介護職員」
介護職員の仕事内容は?
介護の仕事を考えたときに1番最初に思い浮かぶくらい、介護という仕事のメインになっている施設の介護職員。
一口に介護職員と言ってもその仕事内容は幅広いものです。
・入所者様のおむつ交換、体位変換
・食事の介助
・フロア、居室、トイレの掃除
・布団やシーツの交換
・薬の服薬介助
・ケアプランの作成
・介護記録の記入
日々、このような業務を限られた時間の中で行っています。
介護の仕事と聞くと、入所者様の介助だけをすれば良いと思いがちですが……
実のところは入所者様と向かい合い、様子を観察し、どのような関わり方を入所者様本人、家族が望んでいるのか? など、意見をうかがいながら、介護計画を考えるという事務的な仕事も最低限行う必要が出てきます。
そのため、身体を動かすだけで仕事が完了できるという安易な考えで介護の仕事を選ぶと、後々、事前に考えていた状況とのギャップに苦しむことにもなりかねません。
確かに入所者様と関わるという介助の部分だけで見ると、介護の資格や知識がなくとも行うことはできます。
ただ、最初のうちはそれで良くとも、入所者様をより良い状態へ改善させたり、希望に沿った介護を実現しようとすると、さまざまな知識や経験が必要になってくるでしょう。
大変だけど入所者と密接に関われる
また、入所者様は24時間生活しておられる人間なので、あなたの選ぶ働き方にもよりますが、基本的には交代制での夜勤があるものと考えておいた方が良いでしょう。
中には5日間連続夜勤で次の週は日勤というような形をとっている職場もあったり、シフトの組み方は千差万別なので、あらかじめ確認しておく方が間違いない点の一つです。
また、介護度の低い認知症の入所者様が多い職場であれば、職員の人数によっては、職員に求められる業務負担が大幅に上がり、心身ともに疲弊してしまうこともあります。
すべての入所者様の人数に対して、適正な人数の職員がそろっているのか? という部分も事前に見学するなどして、確認しておくのが大切です。
ここまでお伝えしてきたように大変なことも多い職種ではありますが、その分、密接に入所者様と関わる時間が多いので「ありがとう」、「助かったよ」など、思わず嬉しくなるような言葉をかけてもらえる場面も多々あります。
そこがやりがいにつながる人も多いようです。
通ってこられる利用者の介助をする「デイサービス職員」
デイサービス職員の仕事内容は?
身近に介護が必要な家族がいないと、イマイチイメージが湧きにくいかもしれませんが、現在の介護を支えるうえで、大きな役割を担ってくれているのがデイサービス。
足が悪い、認知症で生命に危険が及ぶ行為を行ってしまうような高齢者の方を朝から夕まで、決められた時間施設へお連れして介助することになります。
・朝と夕利用者様を車で送迎
・一定時間ごとのお茶、水などの給水
・家で入浴できない方のお風呂介助
・昼食時の食事介助
・利用者様と一緒にレクリエーション
・ケアプランの作成
・介護記録の記入
基本的には施設の介護職員と近い仕事を行ってはいるのですが、通ってこられる高齢者の方々は比較的介護度が低い方が多いので、1から10まですべて介助するというよりは、できないことをお手伝いするというイメージになるでしょう。
施設の職員と大きく違うのは朝と夕に利用者様の送迎があること。
当然、車の運転を求められるので、運転が苦手な人だと苦労する可能性があります。
また、お迎えに上がる利用者様は車いすを使われている方も多いので、運転する車は車いすを固定するための器具が着いたような特殊車両がほとんどとなります。
どうしても利用者様を車に乗降させるのは道路になるので、固定器具の使い方を覚えておかないと、思わぬ事故や周囲の方への迷惑になる場合もありますので注意が必要です。
生活リズムは安定しやすい
勤務時間は朝から夕という形で日勤となる職場が多いので、施設職員と比べると生活リズムが大きく崩れることもなく、働きやすい職種と言えるでしょう。
ただし、ここ最近では介護が必要な高齢者の数の増加速度が著しく、本来なら施設へ入所して介護するレベルの高齢者の方を家で介護している世帯が増えているという状況もあります。
そのため、デイサービスにも、以前と比べて介助が難しい利用者様が増えていくことが予想されるので、その点は頭に入れて職選びを考えるべきです。
大変な部分も多いのですが、デイサービスがあるおかげで安心して働き、生活を送れているご家族がたくさんおられます。
また、利用者様たちも家でテレビを見ているだけでは感じられない体験をすることができ、心身ともにいい形で刺激を受けられるのも良い点と言えるでしょう。
在宅で生活している方の介助を行う「ヘルパー」
ヘルパーの仕事内容は?
デイサービスと並んで介護業界を支えてくれているのがヘルパーです。
自力で生活を送るのが難しい高齢者の方のご自宅へ訪問して掃除、洗濯、食事作りなどを行います。
・利用者様宅の掃除
・利用者様宅の洗濯
・利用者様の食事作り
・利用者様から頼まれた買い物代行
・介護記録の記入
利用者様のご自宅へお伺いするということで、自転車、自動車、バイクなど、移動手段が必要になります。
ただ、基本的には利用者様宅にいる間は乗っていった乗り物を置いておかねばならず、中には駐車場がないお宅もあるので、自転車、バイクの方が便利でしょう。
仕事の内容を見てもらっても分かるとおり、基本的には家事ができることが要求されます。
自分の家のこともできていない、家事は苦手という人にはオススメできません。
一方で料理が好きであったり、掃除好きな人にとっては普段行っていることの延長線上で行えるので負担が少ないと言えるでしょう。
自分の得意なことで人の役に立てるというのは嬉しい点の一つです。
パート勤務が多い
ヘルパーの勤務形態としては、利用者様の利用時間にあわせて、ご自宅へ訪問し、1時間、2時間と決められた時間働くという形です。
勤務の特性上、ヘルパーを取り仕切るサービス管理責任者は介護福祉士の資格をもった正社員が務めていますが、現場のヘルパーはパートで働いているという場合がほとんどです。
そのため、空いている時間に働きたいという人には向いているのですが、ヘルパーだけで大きな金額を稼ぐのは難しいと言えるでしょう。
要注意なのはニュースなどでも話題に上がりますが、利用者様のお宅へ1人で訪問することになるので、セクハラ被害を受ける場合や利用者様が重度の認知症の場合、身の危険を感じる場面に遭遇することもあるという点です。
確実に起こることではありませんが、このようなリスクがあるということは頭に入れておきましょう。
無理のない働き方ができる職種を選ぼう
施設の介護職員、デイサービス、ヘルパーと介護のメインになる職種について詳しくお伝えしました。
ひと通り見てもらうと分かるのですが、介護は予想以上に頭を使うことが要求される現場です。
また、認知症のある利用者様、入所者様だと本当に予想もしない行動に出ることも多々あるため、もしもの時の瞬時の判断力も要求されます。
このような難しさの部分を知らずに入職し、短い期間で退職してしまう人も、正直なところ後を絶ちません。
どのような仕事でもやりがいのある部分もあれば、難しい部分もあるのですが、残念ながらまだまだ介護という仕事の現実は多くの人へ伝わっていないようです。
こちらの記事を読んでいただいたあなたは介護に関わるそれぞれの仕事の大変な部分、やりがいになる部分を知ることができたはずです。
これらの情報を踏まえた上で、後から後悔することのないように仕事を決めてもらえたら嬉しいです。
あなたが思い描く理想の職場と仕事に巡り合えることを心よりお祈りしております。