実はやることが多いのに、目に見える部分が少なく大変さが伝わりにくい事務職。
「事務って楽な仕事なんでしょ」と経験したことのない人から軽い感じで悪意なく話されることも。
そんな人たちに囲まれている今の状況から抜け出したいと転職を考えることは悪いことではありません。
しかし、介護に関わる事務というのはやるべきことが多く、現在の事務仕事よりもさらに大変になる可能性もあります。
介護の現場の事務職にはどのような仕事があるのか?実際の状況を知った上で転職を考えることで、後々の後悔を未然に防ぐことができます。
こちらの記事を読んでおくことで、納得のいく転職ができるようになるはずです。
介護保険の給付金請求を事務員が担当している場合がある
人間誰しも年をとれば老いて自分の力だけでは生活が難しくなってきます。
そのような状況になった時に、公的なサポートを受けられるように用意されているのが介護サービスです。
公的なサービスのため、高額な利用料が設定されていては利用することができない人がいるので、最低限の金額に設定されています。
しかし、その金額だけでは職員を雇い、介護に必要な物品を購入し、光熱費を払っていては運営が難しいのが現状です。
その状況をカバーするための制度として、介護サービスを行う施設に対して、入所者、利用者の状況を踏まえた給付金が支給されています。
このような施設の現状が自動で国へ伝わればよいのですが、残念ながら今のところは各事業所から月に1回現状報告を行うことで申請する形となっているので、請求事務という作業が発生してきます。
介護給付費の請求事務を行う際には国の定めた加算基準に応じて、適した状況で間違いのない申請が行われているのか?確認をしつつ申請を行う必要があります。
給付費の性質上、介護保険のプロであるケアマネジャーに確認してもらいつつ、申請できれば良いのですが……
ケアマネージャーの方々はそれぞれ担当の利用者がいるため、介護給付まで行っている暇がない場合がほとんどです。
もしも、あなたの転職を考えている施設が介護給付の申請ができる事務員を求めている場合、入職したばかりで他の業務にも慣れなければいけない状況で、膨大な量のある介護保険についての勉強という大きな負担がのしかかってきます。
当然のことながら、すべての介護施設で介護給付を事務員が担当しているわけではなく、純粋に事務員を募集しているケースもあるでしょう。
しっかりと就職先の施設が求めている人材を把握することが大切です。
介護の現場で事務職として長く働くことを考えると、介護給付に関わる事務ができる事務員というのは重宝されます。
今後、転職する際には何物にも勝る強い武器になるので、先を見越して学んでおくべき知識と言えるでしょう。
事務員の人数が少なく仕事量が多い
あなたはこれまでどのような形で事務員として働いてきましたか?
- パソコンに向かってひたすら作業
- 電球を交換したり、総務的な作業も行っていた
- 人が少ない会社だったので他の部署の仕事も手伝っていた
事務員と一口に言っても職場によってさまざまですが、介護の現場はどうしても事務員を増やしづらい理由があります。
先ほど解説した介護給付費ですが、残念ながら事務員は支給金額を加算するときの対象外となっています。
つまり、事務員を雇えば雇うほど、人件費で経営が圧迫されるのです。
そうなると会社としては、事務員は介護給付費の加算をとる上での必要最低限にしておきたいと考えるので、結果として事務員は最低人数となってしまうことが少なくありません。
しかし、どれだけ仕事ができる人間であったとしても、1人の人間にこなすことのできる仕事量には限界があります。
当然、会社全体の職員の数が増えれば、それに伴い事務作業も膨れ上がるし、会社で運営しているサービスの数によっても事務量は変動します。
これまで余裕を持って働いていた人であれば、あまりの仕事量の差に心身ともに大きな負担がかかり、最悪体調を崩してしまうこともありえるでしょう。
そのような状況を招かないためにも、最低限、以下の項目については事前に確認しておいてください。
・運営しているのは施設だけか?
・全従業員数に対して、事務員が少なすぎないか?
・事務員の平均残業時間が多すぎることはないか?
・仕事の範囲に関して、事前に明確に示されているか?
・働く予定の職場の事務員に活気があるかどうか?
筆者は残念ながらこのような注意するべきことを知らずに転職したため、大変な思いをすることになりました。
事前に聞いていたのは事務的な作業だけだったのですが、実際には施設まわりの草刈りをさせられたり、デイサービスの送迎車のタイヤ交換を頼まれたりと、もはや事務員とは何なのか?と頭を悩ませる事態に陥りました。
介護に関わる会社でまともに運営している会社はしっかりと社会の変化に対応しているため、会社情報も積極的に発信していることがほとんどです。
公に発信していない場合は発信したくないような部分を抱えているか、発信するための人員が用意できないくらい余裕がないかのどちらかです。
どちらにせよ、入社してから苦労することになるのは間違いないので、事前に細かい部分まで確認しておくことが大切です。
介護のサポートとして手伝う場面が出てくる
これまでは事務員としての職務の範囲に関する部分について解説してきたのですが、人手不足が顕著な会社に入社すると、さらに大変な状況に置かれる場合もあるので、あわせてお伝えしておきます。
介護の仕事は基本的に何の資格を持っていなくても行うことができます。
この条件を逆に考えると、介護現場の人員が足りていない施設の場合、事務員も介助を手伝う必要に迫られる可能性があるということです。
当然のことながら、介護現場の手伝いをするからといって、事務仕事が減るわけではないので、このような状況に置かれると負担は増す一方です。
介護の仕事は資格なしでも行えると言っても、食事介助時、トイレ介助時など、気を付けなければならないことは山のようにあるし、少しのミスが入所者様のケガや命の危機に直結してしまいます。
職員に負担がかからないよう労働環境を整えている会社であれば、このようなことはほとんどないのですが、介護業界では福利厚生のない離職率の高い現場も少なくありません。
介護給付費の加算に介護職員の人数も関わるので、堅実な会社であれば、多めに職員を雇っているのですが、このようなリスク回避を考えていない会社も存在しているのが事実です。
介護のサポートというと軽い作業のように聞こえがちですが、実際のところは人の命を左右することもある重大な仕事です。
事務員としての仕事を求めて入社したのに、このような状況になってしまっては後悔してもしきれないでしょう。
納得のいく転職を実現するためにも、事前に会社の状況を適切に把握することは重要です。
事務員が事務員として働くことのできる会社であれば、事前の職場見学も快く受け入れてくれるし、どのような質問にもスムーズに返事をもらえるはずです。
普通の事務よりも学ぶ必要のあることが多いので成長したい人には向いている
介護現場の事務員を目指す人に気をつけて欲しい3つのポイントについてお伝えしました。
介護という仕事は高齢者の方が人間らしく生きることをサポートできる素晴らしい仕事です。
介護を行う職員を支えられる事務員というのも非常にやりがいのある仕事と言えます。
しかし、どれだけやりがいのある仕事でも自分の生活を最低限送れることが前提。
会社によっては残業代も出さず、自分の身を犠牲にしてでも入所者様へ尽くせと前時代的な働き方を要求してくる会社も存在します。
そのような労働力を搾取する会社から身を守ることは自分にしかできません。
そのような問題のある会社もある一方で、職員のことを考え、労働環境を整えてくれているまともな会社もたくさんあります。
そのような会社で介護職員のため、入所者様のために前向きに働くことは素敵なことだと思います。
あなたが自分の納得いく転職を実現するために、こちらの記事が少しでも役に立てば嬉しいです。