仕事をしている女性にとって、子供が生まれることによってそれまでと同じ働き方が難しくなることがあります。
特に重要になるのが、育児に必要な時間を確保するために働く時間を調整することです。
そのために転職をすべきかどうか、時短勤務を希望して転職をする場合にどういった点に注意して仕事を探すかについて見ていきましょう。
時短勤務とは?
時短勤務ってどんな制度?
時短勤務とはその名の通り、通常の労働時間よりも短い時間で働くことを指します。
子育て中は、たとえ子供を保育園などに預けられたとしても、送迎の必要性や預かってもらえる時間が限られていることなどを考えると、フルタイムで働くことは簡単ではありません。
子育てをしながらでも働き続けることができるように、一定の要件を満たした労働者に対して短時間労働を取り入れるよう会社に義務付けることにしたのが時短勤務制度です。
これにより、仕事を諦めることなくキャリアを重ねていくことができる方も増えますし、社会全体としても女性の労働力を活用しやすくなります。
時短勤務の対象者は?
時短勤務は誰にでも認められるものではなく、一定の要件があります。
子育てに伴う時短勤務の場合は、3歳に満たない子供を養育している場合に限り認められます。
また、一日当たり6時間以下などもともと短時間労働で雇用されている場合や、日雇いの場合はあてはまりません。
さらに育児休業中の場合にも適用除外となります。
労使協定によって適用除外となっていることもあるので確認しておきましょう。
時短勤務は子育てのほかにも、家族の介護の必要があるときに認められます。
改正育児・介護休業法によって、時短勤務対象者に所定労働時間を超える残業をさせないなどのルールが事業主に義務づけられました。
時短ワーママが転職を希望する理由は?
マミートラックとは?
マミートラックとは、出産を経た女性などが自分の意思に反して出世コースから外れてしまうことを指します。
働ける時間が限られていたり休みが多くなったりすることで、責任のある仕事や時間が掛かる仕事などを任せにくくなってしまうことを理由に、単純な仕事しか任されなかったり、昇進や昇格が難しくなったりします。
一度そこに入ってしまうと、まるで陸上競技場のトラックをぐるぐる回っているかのように抜け出すことができなくなってしまうのです。
そのため、やりたい仕事やキャリアアップのため、マミートラックから抜け出すために転職をして、新しい場で活躍することを希望する方も多いのです。
まずは現職場で改善交渉をしてみよう
今の仕事が自分に向いていると感じている場合やこれまでのキャリアをそのまま生かしていきたい場合などは、今の仕事を捨てることに抵抗がある方も多いでしょう。
その場合はまず今の職場で改善のための交渉をしてみることも大切です。
意外と短時間労働者に過度な配慮をしてしまい、労働者の「もっと仕事を任されて成長したい」といったニーズに会社側が気付いていないこともあります。
スキルがあって同僚から信頼されている労働者を失うことは会社にとっても打撃です。
会社のためになる社員に長く働いてもらうためにはある程度配慮したほうが良いと判断することもあるでしょう。
交渉してみることで納得いく条件で働き続けることができるかもしれません。
しかし、交渉してみても変わらない場合などは、今後を考えて転職へと進んでみるのも一つの方法です。
時短転職を成功させるコツは?
時短勤務ができる条件を確認する
転職先を探すにあたって、まず時短勤務を受け入れてくれる会社かどうかを見ていくことになります。
しかし、たとえ時短勤務制度があったとしても、必ず適用されているかどうかはわかりません。
求人情報に「時短勤務あり」などと記載されている場合でも、その中身をきちんと確認しておく必要があります。
雇用開始から一年は時短勤務制度を使えないなど、制限があることも多いので要注意です。
事前に調べておくこと、また採用時の面談などできちんと条件を聞いておくことなどを意識しておきましょう。
思い込みで転職してから実は対象ではなかったと気づくことがないように注意してください。
自分が配属予定の部署で、実際に時短勤務をしている人の有無を確認することは重要です。周りの社員のしわ寄せが問題になっていたりしそうな職場は要注意。企業の口コミサイトなどで調べておきましょう。
これまでのキャリアを活かす
転職するにあたって、まったく新しい事業分野や職種を選ぶよりは、これまでのキャリアをそのまま生かせる職場を選んだ方が有利に転職活動を進めやすくなります。
同じような仕事であれば、これまでの経験を生かせるとみなされて採用に結びつきやすくなることもあります。
初めての子育ての場合、慣れない子育てに加えて新しい仕事に取り組むことは大きな負担となります。
自分が進め方や押さえるべきポイントを理解している仕事ならば、子育てとの両立が大変なときでも乗り切りやすくなるでしょう。
ぜひ、今の仕事と関連があるところか仕事探しを心掛けてみてください。
時短でも採用するメリットをアピールする
新しく人を雇うにあたって、一から教育をして時間とお金をかけていくことは企業側には負担となります。
その上で子育て中の働く時間に制限がある人を雇うことはさらなる負担で、それならフルタイムで働ける若い新人を雇ったほうがメリットがあるとみなす場合もあります。
そこで、子育て中であっても即戦力として活躍できることをアピールできれば、短時間労働でも高い利益に貢献するとみられて採用に結びつくこともあるのです。
これまでの仕事で成果として示せるものがあれば、それをアピールに使っていくとよいでしょう。
数字などはっきりした形で示せると効果的です。
盲点?時短勤務にこだわり過ぎない
時短勤務制度が使えるかどうかにこだわりすぎてしまうと、ほかの部分での条件がうまく折り合わずに希望通りの転職ができなくなる恐れもあります。
制度にこだわらなくても、例えば、もともと労働時間が少し短かったり、フレックスタイム制であったりと、フルタイム勤務と子育てとを両立しやすい職場があるかもしれません。
また、最近ではリモートワークを取り入れるところも増えていて、その組み合わせで子育てと両立していける可能性があります。
時短勤務だけにとらわれず、実際に働いた際の細かい条件や働き方を調べてみて、適した職場を探していきたいものです。
時短勤務を希望することと仕事への意欲の有無は、切り離して考えるべきことです。スキルややる気はあるのに、単調な作業しか任されないといった理由で不満を感じる場合は、一度上司に本音で相談してみましょう。
時短勤務の求人の探し方は?
子育て支援企業から探す
子育て支援について一定の基準を満たした企業を「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定する制度があります。
必ず時短勤務制度があるわけではないですが、認定されている企業は何らかの子育てサポートの取り組みを行っていることになるので、仕事探しの一つのヒントとなるでしょう。
認定企業は厚生労働省のホームページで確認できます。
おすすめ求人サイトから探す
求人情報を探すときに便利なのが、希望の条件に沿った情報がまとまっている求人サイトです。
自宅や空き時間にスマホから転職先探しができるので、子育て中の忙しい時でも利用しやすいでしょう。
dodaは転職に特化した求人サイトで、時短勤務に対応する企業の求人も多くあります。
転職ノウハウなど関連情報も多く掲載されているので一度目を通しておきましょう。
また、女の転職typeは女性を対象とした求人が多いため、子育て中でも働きやすい職場を見つけやすいです。
マイナビエージェントはキャリアアドバイザーがついて転職活動を進めていく形のサイトで、手厚いサポートを受けられることが魅力といえます。
不安なことが多い子育て中の転職でも強い味方となってくれるでしょう。
まずはこれらのおすすめ求人サイトからチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
子供を育てるためにキャリアを犠牲にしなくてはならないとなると、自分自身はもちろんですが、社会にとっても大きな損失です。
子育てをめぐる状況は人それぞれですから、自分の状況に合った働き方を模索していきましょう。
今の仕事を続けるにしても、転職をするにしても、どのような環境や条件が必要なのか見直して納得のいく働き方を探したいところです。
時短勤務であることを理由に評価が下がったり、昇進・昇格の機会を逃したりするのは会社側の問題です。子育てとの両立で忙しい中でも、定期的に成果や課題をチームや上司に報告する場を持つ、担当している仕事の進捗を見える化するなど、積極的なコミュニケーションを持つことが良い対策です。