共働きの世帯で両親や親戚が近くにいない場合、日中子どもを預けられる保育園を探すことになります。
保育園を探す上で、認可・無認可の違いは理解しておきたいことです。
しかしながら、認可・無認可という区分は知っていても、具体的に何が違うのかを知らない人もいるでしょう。
今回の記事では、認可・無認可は何が違うのかを理解できるように、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説していきます
認可保育園とは?
国の基準を満たしている
認可保育園、正式な名称は認可保育所と呼ばれる施設は、児童福祉法に基づき国が定めた基準を満たし各都道府県知事から認可を得た保育園のことです。
認可を受けるための基準としては、
- 年齢別に定められた利用定員
- 建築基準法を満たした建物
- 各法律の基準を満たした設備と面積
- 施設長・保育士・調理員などに求められる条件と配置基準
などが挙げられます。
このことから国の基準を満たすように人員や設備が充実している施設、というのが認可保育園の特徴と言えます。
認可保育園の入園を希望する世帯は、自治体の保育課に申し込みをします。
なお、認可保育園には公立と私立がありますが、運営が異なるだけで保育内容や利用料金は同じです。
国からの補助金
認可保育園は国から運営費の補助が行われています。
補助金の額は園で預かっている子供の年齢や人数で決まり、年齢が低くなるほど多くの補助金がでる仕組みです。
補助金により認可保育園の運営は安定しています。
一方で保護者が支払う利用料については、令和元年より幼児教育・保育の無償化が始まりました。
3歳から5歳までの子どもは無料、0歳から2歳は住民税非課税世帯が無料となっています。
選考
共働きの世帯であれば、二人とも月64時間以上の就労をしていることを証明できれば申込みができるでしょう。
なお、申込時は育休を取っているとしても、通園を始める月に復帰する予定であれば申込みはできます。
しかしながら、保育の必要性が認められても、希望する園に必ず入れるわけではありません。
選考の基準となる指数(一般的には点数と呼ばれる)を参考に、合格・不合格が決まります。
指数とは、
- 保護者の状況(就労・病気など)を数値化した基準指数
- 家庭の状況(兄弟が保育園に在籍している・祖父母と同居している等々)
に合わせて加点・減点を行う調整指数を合計したものです。
指数が高くなれば、より入園の可能性が高まります。
もし、指数が同じ世帯がいれば、自治体の居住歴や所得から優先順位を決めて選考を行います。
認可保育園のメリットは?
環境が整っている
認可保育園のメリットは、まず国の定める基準を満たしていることが挙げられます。
一定以上の人員を雇ったり、設備の内容や面積を確保していたりすることが認可の基準です。
したがって、人が足りずに保育ができないとか、施設が狭くて大勢の子どもが窮屈な思いをするということはありません。
保護者にとって、子どもがどのような環境で保育されるのかは重要なポイントです。
子どもの安全を考えるならば、環境が整っている認可保育園は理想的と言えるでしょう。
金銭的な負担が少ない
続いて、金銭的な負担が少ないというのもメリットです。
対象となる世帯であれば、認可保育園は無料で利用できます。
上限額が決まっておらず、給食費など一部は支払う必要がありますが以前に比べれば大幅な負担減です。
共働き世帯の中には、家計が苦しくて二人共働いている場合もあるので、無償化がもたらす恩恵は大きいでしょう。
認可保育園のデメリットは?
入園のハードルが高い
認可保育園のデメリットは、子どもを預ける理由や住んでいる地域など、入園するためにさまざまな基準をクリアする必要があります。
子どもが多い地域であれば、人気の園に申し込みが集中してしまうので選考から外れる可能性があります。
もし、選考から外れてしまえば、自宅から遠い園に子どもを預けたり、どこにも預け先がなく仕事を退職・休職したりしなければなりません。
働き方や住まいを変えて選考に通りやすくする「保活(保育園活動)」が注目されているのは、そういった事情が背景にあります。
利用時間に制限がある
他にも、利用できる時間の上限を定める保育時間があることです。
保育時間は2種類あり、保育標準時間の場合は1日の最大利用時間が11時間まで、保育短時間だと一日の最大利用時間が8時間までとなります。
どちらの保育時間になるのかは、就労時間が短い方の保護者次第です。
月120時間以上の就労をしていれば保育標準時間となり、月64時間以上120時間未満であれば保育短時間です。
保育標準時間はフルタイムで働く人を、保育短時間はパートで働く人を想定しています。
この保育時間を超えて預けるとすれば、延長料金がかかるので金銭的な負担が増えます。
認可保育園を利用するときには、時間厳守を心がけなければならないでしょう。
無認可(認可外)保育園は?
園ごとに異なる方針
無認可(認可外)保育園とは、認可保育園とは違い児童福祉法に基づく国が定める基準を見対していない保育園のことです。
運営者によって異なる理念を持ち、異なるサービスを提供していることが特徴です。
無認可(認可外)であることで、問題のある保育園と想像してしまう人もいるでしょう。
しかしながら、無認可(認可外)保育園は、自治体が実施する立ち入り調査を受けることになっており、問題が見つかれば改善するように口頭あるいは文書にて指摘されます。
もし、繰り返し指導が行われても改善されないときには、事業停止命令などの行政処分が下されるので、いい加減な運営を続けることはできません。
働いてなくても預けられる場合も
無認可(認可外)保育園への入園を希望するときには、認可保育園とは違い希望する園に申し込みをします。
選考基準は個々に異なり、就労時間や雇用形態などを問わない園もあります。
働いていないとしても預けられる園もありますから、いずれは共働きをしたいけれども今は何もしていないという場合でも利用できます。
申込みについては、地域による制限もありません。
したがって、自宅から離れた自治体にある園に預けることも可能です。
利用料はバラバラ
保護者が支払う利用料は、統一した基準がなく園ごとに金額が異なります。
しかし、教育・保育の無償化により市民税非課税世帯で0歳から2歳の子どもならば上限42,000円まで無料です。
3歳から5歳についても上限37,000円まで無料ということで、対象となるのであれば経済的な負担はかなり減るでしょう。
無認可(認可外)保育園のメリットは?
対応が柔軟
無認可(認可外)保育園には、保護者のニーズに対して柔軟な対応をしてくれるというのがメリットです。
保育理由を問わない園が多いので、就労以外の理由で預けることも可能です。
認可保育園のように保育時間という足かせはないし、早朝や夜間の預かりに対応している園もあります。
不規則な働き方をしていたり、残業が多いという場合でも安心です。
住んでいる場所も関係ないので、自宅とは離れた職場の近くや通勤する道の途中などにある園に申し込むこともできます。
子どもの才能を伸ばせる
他にも子どもの才能を伸ばせるというのは、無認可(認可外)保育園のメリットです。
園ごとに独自の考えで子供の保育をする無認可(認可外)保育園では、英語やスポーツの指導を熱心に行っているところもあります。
幼児教育により人として必要な基礎の部分を固めていけば、子どもは就学後に多くの知識や経験を得ることができるでしょう。
無認可(認可外)保育園のデメリットは?
経済的な負担が大きい
無認可(認可外)保育園のデメリットは、認可保育園に比べて経済的な負担が重いことです。
全額無償化されている認可保育園とは違い、無認可(認可外)保育園は上限があります。
そのため、上限を越えた分は自己負担をしなければいけません。
その利用料金ですが、無認可(認可外)保育園は国や自治体からの補助を受けていないので、保護者が支払う利用料が頼りです。
保育料は高く設定されており、自己負担分は重くなります。
質はマチマチ
園ごとに質が変わるというのも、デメリットです。
設備が充実していたり、幼児教育に力を入れていたりするところもありますが、そうでないところもあります。
また、認可保育園の場合には、保育士は免許を取得していなければいけません。
しかし無認可(認可外)保育園は、有資格者の人数が全体の3分の1という基準を満たしていればいいので、保育士資格を持たない職員が子どもの保育をすることもあります。
状況に応じて保育園を選ぼう
認可保育園と無認可(認可外)保育園は、保育の環境や経済的な事情、入園に関する規定など多くの違いがあります。
安心して子どもを預けて働きたいならば、それらの違いをよく理解することが必要です。
十分に理解できれば、自分の世帯は認可保育園に入れるのか、入れないとすればどうするべきかなどを検討できるので、最善の選択ができます。