2018年のPISAと呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査では、読解力における日本の順位が2015年の8位から15位へ下がったことが話題になりました。
そもそも読解力とはどのような能力なのでしょうか?
PISAでは読解力について「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」と定義しています。
この記事では読解力をつける方法について紹介していきます。
読解力をつけるメリットは?
学問におけるメリット
学問において読解力と直結するのは国語のテストです。
読解力があると確実に国語のテストの点数は向上します。
また、国語以外でもすべての教科で「問題文を理解して解く」という面では、読解力があった方がはやく問題文の意味を理解できるため有利になるでしょう。
2020年からセンター試験にかわって大学共通テストが始まりました。
センター試験以上に読解力が求められる試験内容になっているようです。
具体的に国語ではただ文章を読むだけでなく、理解した内容を整理して他の文章の回答に活用するといった問題も出題されました。
また、全教科において文章量も増えています。
こういった流れを見ても、読解力が学問上必要なことは明らかでしょう。
社会におけるメリット
読解力はテストで点をとるためだけのものではありません。
読解力をつけることは友人とのコミュニケーションをとる上でもメリットでしょう。
例えば、相手の言ったことの意図を理解する力がなければ会話は成り立ちませんよね。
また、自分の思いをまとめて話すことができなければ、相手に思いを伝えることができません。
友人関係だけでなくビジネスにおいても、コミュニケーションをとる上で読解力は必要な能力と言えるでしょう。
さらに、ビジネスにおいて読解力があることで会話だけでなく、資料を読んでいち早く内容を理解することができるため業務の効率化にもつながります。
1.文章をとにかく読もう
読解力をつけるには、まずは文章をたくさん読んで語彙力を高めることが必要です。
日本語には同じような意味でもニュアンスの異なる言葉がたくさんありますよね。
例えば、同じ「謝る」という意味の言葉でも「ごめん」と「申し訳ありません」では受け取り手の印象はかなり異なります。
そのようなニュアンスを理解するためにはとにかく文章に触れることが大切です。
また、文脈によって受け取れる意味が異なる言葉もたくさんあります。
- すみません、ここの席は空いていますでしょうか?
- 遅刻してしまい、すみません。
では同じ「すみません」でも意味が異なりますよね。
文章をたくさん読むことで少しずつ意味の違いを理解できるようになるでしょう。
興味のあるものから始めよう
子どもによってはいきなり本を読むことにハードルを感じる子も多いかもしれません。
その際は興味のあるものから少しずつ読んでみましょう。
おもちゃのカタログや動物図鑑、漫画でも文字に触れることが読解力の向上につながります。
2.声に出して読もう
読み飛ばしを防止して正しく文章を理解しよう
文章を声に出さないで読む「黙読」では、読んでいるつもりが、意外と読み飛ばしが多いものです。
大切な言葉を読み飛ばしてしまうと、文章を十分に理解できなくなってしまう可能性があります。
そこで、文章を声に出し読む「音読」をしてみましょう。
例えば
- 私はりんごが好きです
- 私はりんごも好きです
では、一文字の違いですが相手が伝えようとしているニュアンスが異なりますよね。
「私はりんごも好きです」では、他にも好きなものがあるということが伝わってきます。
このように音読は確実に文章を理解するという点においても有効な方法なのです。
わからない言葉は都度調べよう
黙読では、読めない単語や知らない言葉を自然と読み飛ばしてしまっている可能性があります。
そのような言葉が出てきた際は、都度辞書で調べることで自然と語彙力が増え読解力も伸びるでしょう。
辞書を引いて単語を調べた際は、調べた単語に印をつけることをおすすめします。
調べる度にどんどん印がついた単語が増えて、辞書を引くことが楽しくなるかもしれませんよ。
また、小学生になると毎日のように音読の宿題がありますよね。
親も忙しくてついつい流し聞きしてしまいがちですが、しっかり見てあげましょう。
毎日の積み重ねが将来の読解力に大きく効いてきますよ。
3.あらすじを説明させよう
読解力は、言葉の意味だけでなく文章全体の意味を理解し要約する力が求められます。
前述した通り、要約する力は国語のテストだけでなく、社会に出たときにも非常に重要な能力ですよね。
最初から1冊の本についてあらすじを説明するのは難しいです。
まずは小さい頃に読んでいた絵本や、本の数ページ分だけでもいいので少しずつ始めてみましょう。
子どもが言葉に詰まった場合は
- 〇〇は何をしたの?
- それからどうなったの?
など、問いかけをしながら一緒にあらすじを作ってあげましょう。
4.メモをつけるようにしよう
本を読んだら、
- 日付
- 本のタイトル
- 作者
- 簡単なあらすじ
- 感想
などをメモしてみましょう。
要約する力を身につけたり、自分の考えを整理することもできます。
また、記録をつけることでたくさん本を読んだということが目に見えてわかるため、今後の読書意欲も湧くでしょう。
たくさんのメモは、何かを継続して行えるという自信にもつながりますよね。
面白かった本の作者や内容も今後読む本を決める上で参考になります。
5.親子の会話を増やそう
本を読んだ感想を言い合おう
親子で一緒に本や漫画を読んだ際には一緒に感想を話し合ってみましょう。
大切なことはあらすじを聞くだけでなく「子どもが何をどう思ったか」を聞くことです。
自分の考えをまとめ、話すことが読解力の向上につながります。
この際、子どもが言葉に詰まったり、よくわからないことを言ったりすることもあるかもしれません。
そのような場合でも「違う!」と否定することはせずに、一旦は子どもの意見を全て聞いてあげましょう。
そして、「よく言えたね」と褒めた後で「〇〇ということが言いたかったんだよね?」など質問を交えながら会話をするようにしてみてください。
親子での会話が楽しいと、子どももたくさん本を読みたいと思うようになりますよ。
日常会話からも読解力がつけられる
親は必然的に子どもよりも多くの語彙を知っているはずです。
日常の会話で子どもにわかりやすいように話すのは大切なことですが、少しずつ子どもが知らない言葉も取り入れて話すようにしましょう。
そうすると自然と子どもの語彙力が向上します。
また、本の感想を言い合うだけでなく、今日起きた出来事を話し合うことも出来事のあらすじをまとめ自分の考えを伝えることになるため読解力の向上につながります。
子どもの意見に対して「ママは〇〇だと思うな」などと、大人の考えも伝えることで色々な人の気持ちが理解できるようになるでしょう。
日常から少しずつ読解力をつけていこう
以上、読解力をつけるための5つの方法について述べましたがいかがでしょうか。
学問でも社会でも必要とされる読解力はお子さんにもぜひつけたい能力ですよね。
読解力は今回紹介した方法を実施することで身につきます。
しかし、大切なのはお子さんが楽しみながら「継続する」ことです。
日常の中で少しずつ、楽しみながら読解力を身につけていきましょう。