マイホームの購入にあたって、築浅物件を検討している人も多いのではないでしょうか。
しかし「何となくきれいで住みやすそう」という理由だけで築浅物件を購入すると、後々思いもよらぬ点が気に入らなくなる可能性があります。
築浅物件は、基本的に最初のオーナーが何らかの事情で手放しているため、その背景を読み解くことも大切です。
今回は、築浅物件のメリットや注意点について理解を深めていきましょう。
そもそも築浅物件とは?何年まで?
「築浅」というワード見聞きしたとき、竣工からどれくらい経った建物をイメージするでしょうか。不動産情報サイトでもよく目にするワードなだけに、気になっている人も多いでしょう。
実はこの築浅という概念には、明確な定義が存在していません。考え方は不動産会社によって異なるため、築3年以内とするところもあれば10年以内でも築浅と表記するところもあります。
ただ、一般的には築5年を目処に築浅の境界線を設けている場合が多いので、1つの目安としておきましょう。築年数に強いこだわりがある場合は、不動産会社に直接問い合わせるのがおすすめです。
築浅物件のメリットは?
築浅は不動産市場で人気のカテゴリーの1つであり、購入者にもそれなりのメリットが期待出来ます。安い買い物ではないので、築浅物件にどのような魅力があるのかを改めてここで確認しておきましょう。
比較的きれい
築浅物件の大きな魅力としては、やはり状態の良さが挙げられるでしょう。内装のキズやへこみが少ないのもそうですが、外観がきれいな状態を保っている点がポイントです。
特にマンションやアパートは内装のリフォームが可能でも、外装のリフォームは自分の判断で行うことが出来ません。また、見た目だけではなく機能面においても築浅であることのメリットは大きいでしょう。
例えば、経年で傷みやすい水周りも比較的きれいなまま残されているケースが多いです。
減税・控除がある場合も
不動産資産を購入する場合、原則として不動産取得税や登録免許税など様々な税金を納める必要があります。しかし中古物件は用途・床面積・登記期限など所定の条件を満たすことで、不動産取得税が軽減されるというメリットがあるのです。築20年(耐火建築物の場合は25年)の中古物件は、最大13年間にわたって住宅ローン控除を受けることも出来ます。
水道負担金がない
住宅の購入時に意外と見落としがちなポイントとしては「水道負担金」というものが挙げられるでしょう。これは建物に新しく上下水道を引き込む際に発生する費用であり、金額は自治体の設定や水道の口径によって変動します。高額な場合だと数十万円程度になるケースもあるので軽視出来ない費用です。
ただし、水道負担金は原則的に新築物件を建てる際に必要となるものなので、中古物件では一般的に支払わずに済みます。極稀に中古物件でも水道負担金が請求される場合があるので、担当者に確認しておくと安心です。
築浅物件が売りに出ている理由は?
稀に新築物件が売れ残っているというケースもありますが、基本的に築浅物件は前オーナーが早期の段階で物件を手放したものです。納得出来る買い物をするために、ここからは築浅物件が売り出されている理由や背景について解説します。
転勤になった
築浅物件には、前オーナーが転勤のために手放したというものも少なくありません。転勤であれば単身赴任という選択肢も考えられますが、任期が決まっていない場合はその限りではないでしょう。
特に海外への転勤はライフステージの変化とも言えるほど大きなイベントなので、家族全員で移り住むというケースも珍しくありません。住宅に対する不満が原因ではないため、購入者にとっては好都合と言えるでしょう。
家族構成が変わった
ライフステージの変化という意味では、家族構成の変化もマイホームを売りに出す理由になり得ます。例えば、子どもが生まれて新しく部屋が必要になった、同居していた両親が亡くなり部屋が余ってしまったなどがこのパターンに該当するでしょう。
家族構成の変化は誰にでも起こり得る自然なことなので、築浅物件購入時に気にする必要はありません。
実家を継ぐことになった
前オーナーの実家が農業や商店などを営んでいた場合は、家業を継ぐためにマイホームを売却するというケースがあります。多くの場合は、事業主だった両親の高齢化や他界によるものです。
ローン支払いが厳しくなった
住宅の購入はローンを組むのが一般的ですが、途中で返済が苦しくなってマイホームを売却するという人も珍しくはありません。特に景気や社会情勢に大きな変化が起きた直後の時期には、この理由で築浅物件が出回りやすいと言えるでしょう。
住環境が悪い
築浅物件を選ぶ際、注意しておきたいのはその物件の「住環境について」です。いくら物件の内装にこだわって居心地の良い空間を手に入れたとしても、住宅の立地によって不便さを感じてしまうケースは少なくありません。
例えば「思ったよりも駅までの道が複雑で通勤通学が不便」「高速道路が近いため夜間の騒音で眠れない」「近所に高い建物が出来て極端に日当たりが悪くなった」といったものが挙げられます。
人によっては我慢出来る内容かもしれませんが、環境の悪さを理由に住宅を売却するのであれば、よほどのことがあると予想されるでしょう。実際に現地を下見して、入念にチェックするのがおすすめです。
その他
住宅情報サイトなどに掲載されている文面では言葉が濁されている理由から、築浅物件となっている場合もあるので注意しましょう。いわゆる「事故物件」と呼ばれるものがその最たる例です。建物内で人間の死亡事故や事件が発生した場合、不動産業者にはその事実の告知義務があります。
大抵の場合は「告知事項あり」「心理的瑕疵あり」と表記されているので、詳しい内容は担当者に確認するようにしてください。
ただし事故物件の告知義務はおおむね3年間とされているため、4年以上前の事件・事故に関しては記載されていない可能性があります。内見時に「一箇所だけやたらきれいな部分がある」「不自然なリフォームがされている」といったことがあれば、その理由を尋ねておくと良いでしょう。
また、住宅周辺に嫌悪施設が存在する場合も築浅物件として売りに出されることがあります。嫌悪施設とは例えば「反社会的組織の事務所」「刑務所や墓地」「風俗店」などが挙げられます。
工場やゴミ処理場のような排気量の多い施設や、飛行場や物流拠点のような騒音の大きい場所も嫌悪施設に含まれる場合があるので覚えておきましょう。こういった施設は一部住民だけの力では移転させることが難しいので、マイホームを売却してでも他所に移り住む人が多いのです。
中古の築浅物件を購入する際に注意するポイントは?
色々なメリットが期待出来る中古の築浅物件ですが、失敗しないためには購入前の入念なチェックが重要です。
築浅物件の選定については、以下のポイントを参考にしてみてください。
資産価値の動き
築浅物件は中古品であるものの、比較的新築に近い状態で売りに出されています。不動産物件が最も価値が高いのは新築状態であり、そこから人が住むことによって年々価値が下がるというのが基本です。
つまり、築浅は中古物件でありながらも購入時より資産価値が下がっていく可能性が高いという点には十分留意しておきましょう。
一般的に築5年の中古物件は、新築よりも15~20%程度資産価値が下がっていると言われています。木造か鉄筋コンクリート造か、一戸建てかマンションかによっても価値の下落具合は異なるので注意してください。
施工不具合
築年数が浅いからといって、すべての設備が快適に使えるとは限りません。場合によっては施工時の不具合がそのまま残っている可能性があるので、内見時には隅々までチェックするようにしましょう。
雨漏りのように分かりやすい欠陥は修復されているケースが多いですが、建付けの悪さや水周りの異臭など目に見えない部分は見逃されていることもあります。
不安な場合は、専門家に頼んで住宅診断してもらうのもおすすめです。
新築と変わらない場合も
コストパフォーマンスの良さは築浅物件の魅力の1つですが、「新築よりもお得」という前提を信用し過ぎないことも大切です。不動産物件の購入に際しては、建物の購入費用の他にも様々なコストがかかります。
例えば、不動産業者に対する仲介手数料がその1つです。新築の場合は、売主が直接購入希望者と契約するスタイルも多いですが、築浅物件の大部分は不動産会社の仲介によって契約が結ばれます。
「結果的に築浅物件を購入した費用で新築の注文住宅が購入出来た」なんてケースもあるので、マイホームの購入費用は、事務手続きや工事の費用を含めた合計金額で比較するようにしましょう。
築浅物件の魅力や注意点を把握した上で、納得出来る買い物をしよう
不動産市場で注目度の高い築浅物件ですが、購入を決める前には売り出されている背景やメリットを熟慮しておくことが重要です。
前オーナーが築年数の浅いマイホームを売りに出すのには、致し方ない事情の場合もあれば住環境などに問題が発覚したという場合もあります。
自分や家族が住宅に対して「何を重視するのか」「何が許容出来ないのか」をハッキリさせて、夢のマイホームを探してみてください。