結納には、「正式結納」と「略式結納」があります。
最近では、堅苦しくなるのを避けるために、略式結納を選ぶ人も増えてきています。
しかし、正式結納との違いは何なのかわからない人も多いのではないでしょうか。
また、正式結納から、どこまでを省略して良いのかについても、気になるところですよね。
ここまでを把握していないと、結納の段取りや結納品の用意などが変わってくるので、しっかりと把握しておきましょう。
ここでは、結納を略式で行う場合について、詳しく見ていきたいと思います。
また、正式との違いにも触れつつ、段取りや結納品の内容についても、一緒に見ていきましょう。
現在は、結納を略式で行うのが一般的?
結納の始まりは、男性が女性に結婚を申し込む際に、女性の家に酒と肴などの贈り物を持参して、飲食をともにしていたことからだといわれています。
現在では、結婚の約束を確約させて、両家の縁を結んで納めるための儀式として、お祝いの品を交わすようになりました。
しかし、正式結納を行うとなると、仲人を立てる必要があるほか、結納品の用意などに費用がかかるなど、手間がかかる点も多くあります。
その手間を減らして、堅苦しい雰囲気になるのを避けるために、正式結納からいくつかの過程を省略させるようになりました。
このように、時代の流れによって、結納の考え方も変化してきたわけですね。
そのため、最近では、正式結納よりも、略式結納の方が好まれるようになってきました。
ただし、略式結納といっても、れっきとした伝統的な儀式の一つですから、段取りや結納品の用意などのマナーは押さえておく必要があります。
また、略式結納の方が好まれるようになったといっても、どのような形式で結納を行うかどうかは、両家の判断次第です。
両家の関係性を良好に保つためにも、どのように考えているのかを共有して、双方が納得できる形式で結納を行うことが重要です。
正式結納と略式結納の違いは?
正式結納と略式結納の違いについて、詳しく見ていきましょう。
正式結納の場合
正式結納とは、最も格式高いものであり、関東式の場合では以下のような流れで行われます。
- 仲人は男性側から結納品を預かり、それを女性側に届ける。
- 女性側は仲人をもてなし、男性側からの結納品を受け取る。
- 仲人は女性側から受書と結納品を預かり、それを男性側に届ける。
- 男性側は仲人をもてなし、女性側からの受書と結納品を受け取る。
- 仲人は男性側から受書を預かり、それを女性側に届ける。
- 女性側は仲人をもてなし、男性側からの受書を受け取る。
正式結納の場合、両家の間を取り持つ「仲人」が両家を行き来して、「結納品」や「受書」を交わします。
そのため、結納をしている間は、両家同士は直接顔を合わせることがないのが特徴です。
関西式の場合は、④までで終了するのが一般的です。
略式結納の場合
略式結納とは、正式結納を簡略化させたものであり、関東式の場合は以下のような流れで行われます。
- 男性側が到着する前に、女性側の結納品を飾り付ける。
- 男性側は会場に到着後、女性側は別室で待機し、男性側の結納品を飾り付ける。
- 両家が揃ったら、男性の父親がはじまりの挨拶をして、着席する。
- 男性側から結納品を納めて、男性の父親または男性本人が口上を述べる。
- 女性側が男性側の目録に目を通して、男性側に受書を渡す。
- 女性側から結納品を納めて、女性の父親が口上を述べる。
- 男性側が女性側の目録に目を通して、女性側に受書を渡す。
- 婚約記念品の披露をして、お互いに交換する。
- 男性の父親が締めの挨拶をする。
関西式の場合は、②~⑤、⑧、⑨の流れで行われます。
しかし、略式結納の流れだけをみると、どの点が違うのか、わかりにくいですよね。
具体的に、正式結納との違いが生じる点は、以下の通りです。
・仲人を立てる場合と立てない場合がある
・会場は、ホテルやレストラン、式場などで行う場合がある
・結納品、結納金を省略する場合がある
・服装は、セミフォーマルでもOK
略式結納の場合、まず、仲人を立てる場合と立てない場合があります。
仲人を立てる場合は、仲人が進行を行いますが、仲人を立てない場合は、新郎の父親が進行を行うのが一般的です。
また、正式結納からどこまで省略して良いのかについてですが、結納の儀式として成立する範囲内であれば、何を省略しても構いません。
そのため、形式的に結納を行いたいけれど、堅苦しい雰囲気になるのを避けたい場合には、略式結納にすると、自分たちらしいスタイルで進めることができますよ。
略式結納の段取りは?
略式結納の段取りについて、以下の項目別にご紹介します。
- 日取りの調整
- 会場の設定
- 当日の服装
- 結納品の準備
それでは、それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
日取りの調整
結納は、結婚式の6ヶ月~3ヶ月前に行うのが一般的です。
結納の日取りは、大切な儀式を行うのは吉日が良いと考えている親世代が多いため、大安・先勝・友引にあたる日を意識して、調整すると良いでしょう。
結婚式までに余裕があればあるほど、両家の意見・考えを踏まえながら進められるので、早めに調整するのがおすすめですよ。
会場の設定
正式結納の場合、女性宅で行うのが一般的です。
しかし、略式結納の場合は、ホテルのレストランや式場、料亭などを会場に選ぶことも増えてきています。
また、女性宅だけではなく、男性宅で行う場合もあります。
結納の会場を設定する際には、どちらかに負担が偏らないように、両家が集まりやすい会場を選ぶようにしましょう。
当日の服装
正式結納の場合、当日の服装は、正装で行くのが一般的です。
そのため、男性の場合は、礼服または略礼服に白シャツ、女性の場合は、嫁となる女性が振袖、母親は留袖が基本です。
しかし、略式結納の場合には、男性はフォーマルスーツ、女性はワンピースなどの洋装にしても問題はありません。
ただし、一方はスーツ、もう一方は振袖だと、相手に恥をかかせてしまうことになるので、当日の服装は、両家で話し合って決めておくことが重要です。
結納品の準備
結納の品目は、奇数で調えるのがマナーといわれています。
結納の品目は、9品目が正式とされていますが、簡略化したい場合には、7品目を始め、5品目、3品目に減らしても問題はありません。
結納金については、地域の相場や各家の価値観などを踏まえた上で、準備しましょう。
略式結納の場合は、結納品や結納金を用意せずに行う場合もあるので、両家でどうするのかについての打ち合わせをしておきましょう。
略式結納の結納品の内容は?
略式結納の場合、上述しましたが、結納品の品目を減らすことも可能です。
結納品の品目を減らす場合には、9品目が基準となるので、次いで、7品目→5品目→3品目の順に、減らしていくのが一般的です。
また、最近では、結納品と結納金を用意せずに、婚約記念品のみを用意して結納を行うことも増えてきています。
それでは、それぞれの場合について、詳しく見ていきましょう。
7品目の場合は?
関東式 | 関西式 |
---|---|
末広(すえひろ) | 末広(すえひろ) |
友白髪(ともしらが) | 高砂(たかさご) |
御帯料(おんおびりょう) | 小袖料(こそでりょう) |
熨斗(のし) | 熨斗(のし) |
目録(もくろく) | 家内喜多留/柳樽(やなぎたる) |
子生婦(こんぶ) | 松魚料(まつうおりょう) |
寿留女(するめ) | 結美和(ゆびわ) |
7品目の場合は、9品目のうち、関東式であれば「家内喜多留/柳樽(やなぎたる)」と「勝男武士(かつおぶし)」を除きます。
関西式であれば「子生婦(こんぶ)」と「寿留女(するめ)」を除きます。
5品目の場合は?
関東式 | 関西式 |
---|---|
末広(すえひろ) | 末広(すえひろ) |
友白髪(ともしらが) | 小袖料(こそでりょう) |
御帯料(おんおびりょう) | 熨斗(のし) |
熨斗(のし) | 家内喜多留/柳樽(やなぎたる) |
目録(もくろく) | 松魚料(まつうおりょう) |
5品目の場合は、7品目のうち、関東式であれば「子生婦(こんぶ)」と「寿留女(するめ)」を除きます。
関西式であれば「高砂(たかさご)」と「結美和(ゆびわ)」を除きます。
3品目の場合は?
関東式 | 関西式 |
---|---|
熨斗(のし) | 熨斗(のし) |
末広(すえひろ) | 末広(すえひろ) |
御帯料(おんおびりょう) | 小袖料(こそでりょう) |
3品目の場合は、5品目のうち、関東式であれば「友白髪(ともしらが)」と「目録(もくろく)」を除きます。
関西式であれば「家内喜多留/柳樽(やなぎたる)」と「松魚料(まつうおりょう)」を除きます。
結納品と結納金を用意しない場合は?
結納品と結納金を用意せずに結納を行う場合は、婚約記念品を用意しましょう。
婚約記念品として、女性側に贈るものは「婚約指輪」、結納返しとして、男性側に贈るものは「時計」「スーツ」「ビジネス小物」などが一般的です。
略式結納をどこまで省略するのかも両家の判断次第!
略式結納は、正式結納を簡略化させたものになります。
しかし、略式結納と一言に言っても、仲人を立てていないだけで、正式結納の形式とほぼ同じものにする場合もあります。
正式結納から、どこまでを省略させるのかは、両家の価値観・考え方によって異なります。
そのため、結納をどのように行うのかは、両家の価値観・考え方を擦り合わせて、事前に話し合いをすることが重要です。
上記を参考に、正式結納と略式結納の違いや、省略できるものを正しく把握して、両家が納得のいく形で結納を進められるように準備しましょう。