「保育士資格を生かして転職したいけれど、保育園以外にどんな職場があるのかな?」と悩んでいる人はいませんか?
保育士の資格や経験を生かせる仕事は、たくさんあります。
この記事では、保育園以外の保育士の転職先を15種類紹介します。
保育士資格を生かして転職したい人は、自分が理想とする仕事を見つけるための参考にしてくださいね。
保育士資格を生かせる職場・働き先はたくさんある!
「保育士=保育園で働く」というイメージはありませんか?
実は、保育士の資格を生かせる転職先は、保育園だけではありません。
というのも、保育士資格は子どもに関わるあらゆる仕事で生かせるもの。
現在さまざまな場面で保育を必要としているので、保育士が活躍できる場面も多いのです。
しかも、現場によって保育の目的や保育の形態が異なります。
一般的な保育園とは違う目的や形態で、保育が行われている現場もたくさんあります。
保育士が転職先を選ぶときには、保育園以外の転職先も検討してみてはいかがでしょうか。
保育士は生涯にわたって活躍できる資格です。
ぜひ自分に合う仕事を見つけてくださいね。
児童福祉施設3選
児童福祉施設とは、児童福祉法などの法令に基づいて、子どもの保育や保護、養護を行う施設のこと。
一般的な保育園も児童福祉施設に含まれます。
児童福祉施設は子どもに関わる施設なので、働くには保育士資格が必要です。
保育士資格を生かして働きたい人には、適した職場といえるでしょう。
児童福祉法では、14の児童福祉施設が定められています。
ここではそのうち、保育士が活躍できる3つの施設を紹介します。
乳児院・児童養護施設
大きなやりがいを感じられる
親の立場で子どもと関われる
さまざまな事情を抱えた子どもに対応する必要があり、対応が難しいことも
子どもの療育にとどまらず、幅広い仕事を行う
24時間体制・休日勤務などがある
乳児院と児童養護施設は、保護者がいない場合や家庭で生活できない場合などに子どもを養護する施設です。
入所する子どもの年齢によって、施設がわけられています。
児童養護施設:2歳~18歳くらい
乳児院や児童養護施設では、子どもたちが安心して生活できるようサポートをします。
子どもたちが乳児院や児童養護施設に入所する理由はさまざまです。
児童養護施設に入所している子どもの約6割が、親から虐待を受けているというデータもあるなど、心のケアを必要とする子どももたくさんいます。
「一人ひとりの子どもに寄り添いたい」「子どもの精神的なケアもしたい」と考えている人は、乳児院や児童養護施設を検討してみてはいかがでしょうか。
児童養護施設について詳しく知りたい人は、全国児童養護施設協議会発行のパンフレットをご覧くださいね。
児童館
地域に密着した子育て支援ができる
さまざまな年齢の子どもと関われる
持ち帰りの仕事や残業が少ない
ワークライフバランスを大切にできる
主に公務員としての募集となるため、公務員試験の受験が必要となる
児童館は、児童に健やかな遊び場を提供し、健康の増進と情操教育を目的とした児童厚生施設です。
児童館には、0歳~18歳までの子どもが自由に遊べる場所としての役割があります。
それに加え、子育て家庭や子どもの安定した生活を支援する役割もあるため、保育士が活躍できるのです。
児童館の規模や利用する子どもの年齢、地域によっても業務内容は異なります。
以下に、一般的な業務内容を紹介します。
- 子育て相談の対応
- イベントなどの企画・運営
- 保護者とのコミュニケーション
- 事務作業
「子育て支援業務に興味がある」「地域に根差した子育て支援をしたい」と考えている人にはオススメの職場です。
母子生活支援施設
母子の成長を近くで感じられる
母子を多方面からサポートできる
入所する年齢が幅広いため、さまざまな支援が必要となる
精神的なケアが必要なケースも多い
求人数が少ない
母子生活支援施設は、18歳未満の子どもがいる母子家庭が入所できる施設です。
入所する母親の年齢は10代~50代、子どもは0歳~18歳と幅広いため、支援の内容も多岐にわたります。
また、母子生活支援施設の入所理由の過半数を占めているのが「配偶者からの暴力」です。
そのため、精神的なケアが必要な場合も多く見られます。
母子生活支援施設では、保育士資格を持っていれば母子支援員として仕事ができます。
母子支援員の主な業務内容は以下の通りです。
- 母親が自立するための支援
- 育児相談
- 子どもの保育
- 学習指導
このように、母と子の両方をサポートするのが母子支援員の仕事です。
「世帯単位で支援したい」「母親と子どもが安心して過ごせるよう、さまざまな観点から支援をしたい」と考えている人には、非常にやりがいがあるでしょう。
子どもに関わる施設6選
社会には子どもに関わる施設がたくさんあります。
どの施設でも保育士が重宝されているようです。
ここからは6つの施設を紹介していきます。
ベビーホテル
深夜手当などがあるため、給料が高いことが多い
一般的な保育園では経験できない業務を経験できる
開所時間がさまざまなので、自分が働きやすい勤務時間を探せる
勤務時間が不規則になりやすい
人手不足な施設も多いため、スタッフに負担がかかることもある
ベビーホテルとは、以下のいずれかの規定を満たした認可外保育園のことを意味しています。
- 夜8時以降の保育
- 宿泊を伴う保育
- 一時預かりの子どもが利用児童の半数以上
令和2年3月末時点で、全国に1,255か所のベビーホテルがあります。
ベビーホテルでは、0歳~6歳くらいまでの子どもを預かりますが、3歳以下の利用者が約7割を占めています。
ベビーホテルの仕事内容は、食事や遊び、入浴、寝かしつけなど。
保護者の代わりとなって生活のサポートを行います。
ベビーホテルは、施設によって業務内容や待遇などが大きく異なります。
開所時間もさまざまなので、自分に合う施設かどうかしっかりと確認しておくことが大切です。
「夜や深夜に保護者と離れなければならない子どもたちに寄り添いたい」「子どもたちに安心して過ごしてもらいたい」という人にはやりがいを感じられる職場でしょう。
企業内保育所
保護者が近くで勤務しているため、連携がとりやすい
保護者と保育士の距離が近く、トラブルになりにくい
一般的な保育園に比べイベントが少ないため、イベントに関連する業務が少ない
企業の営業日に合わせて運営されることが多い
ワークライフバランスを考えた働き方ができる
企業内保育所は、保護者が働く企業に併設された保育所です。
厚生労働省が公表したデータによると、企業内保育所はここ数年で大きく増えています。
ニーズが高いため、今後も増加する可能性が高いでしょう。
多くの企業内保育所は、小さい規模で運営されています。
そのため「子どもや保護者とじっくり向き合いたい」と考えている人にはぴったりの職場と言えそうです。
院内保育所
少人数での保育となることが多いので、子どもとじっくり向き合える
子どもを長時間預かることが多い
運営母体によっては、一般的な保育園よりも待遇がよいこともある
24時間体制の勤務となるため、シフト制を導入していることが多い
病院に出入りするため、とくに感染症に注意しなければならない
院内保育所は、保護者が働く病院に併設された保育所です。
病院スタッフは24時間体制で働いています。
そのため、早朝や夜間に子どもをあずかってくれる院内保育所は、大切な役割を担っています。
近年院内保育所は増えており、今後も導入する病院が増える見込みです。
院内保育所では、子どもを長時間預かることが多いため、子どもとの生活に密接に関わります。
「子どもたちと密に関わりたい」と考えている人には適した職場でしょう。
病児保育施設
少人数なので、ひとりの子どもにしっかりと対応できる
基本的に室内で保育を行うので、体力の負担が少ない
子どもから自分に感染症がうつる恐れがある
一人ひとりの体調が異なるため、それぞれに適した対応が必要である
保育知識に加え、医療の知識も必要である
病児保育施設とは、病気の子どもを預かって保育をする施設。
医療施設や保育所に併設されているケースが多いです。
子どもの急病時に保護者が仕事を休めないことも多いため、ニーズが高まっています。
病児保育施設では病気の子どもを保育するので、子どもの体調変化にはよりいっそうの注意が必要です。
また、病気の子どもを預ける保護者は、大きな不安を感じています。
保育中の様子や体調について詳細に伝えることで、保護者を安心させることができるでしょう。
病児保育施設で働くには、保育士資格が役立ちます。
さらに専門的なスキルを取得したいと考えるなら「認定病児保育スペシャリスト」や「認定病児保育専門士」といった民間資格を取得するのもよいでしょう。
「保育士としてスキルアップをしたい」と考えている人は、病児保育施設での仕事もオススメです。
商業施設内の託児所
初対面の子どもに対応できる臨機応変さが必要
商業施設の営業時間内での仕事となるため、残業がない
小規模でアットホームな雰囲気で働ける
正社員としての募集が少ない
商業施設内にある託児所は、保護者が買い物をしたり美容院に行ったりする間の短時間だけ、子どもをあずかる施設。
当日飛び込みで利用されるケースが多いです。
商業施設内の託児所での主な仕事は、子どもと一緒に遊んだり、子どもの遊びを見守ったりといったこと。
室内で過ごすため、体力的な負担は少ないでしょう。
残業がほとんどないため「プライベートな時間を大切にしたい」と考えている人にも向いています。
短時間のパートとして働いている人も多いようです。
子育て支援センター
育児中の保護者をサポートすることが多い
幅広い年齢の子どもと触れ合える
イベントの企画や運営を行う
保育士経験が浅い人やブランクがある人でも働きやすい
子育て支援センターは、子育て中の家庭を支援するための施設です。
一般的に、公共施設や児童福祉施設のスペースなどを利用して運営されています。
地域によって「子育て広場」や「支援サロン」と呼ばれることもあるようです。
保育士資格が不要な場合も多いですが、専門知識や経験があることは大きな強みとなるでしょう。
子育て支援センターは、育児相談の窓口としての役割があります。
そのため子育て支援センターで働く場合には、保護者への子育てサポートが必須の業務です。
育児の不安に寄り添ったり、ときにアドバイスをしたりするなど、保護者の負担を軽くするための支援を行います。
「子育てのサポートをしたい」と考えている人は、子育て支援センターも転職先として検討してみてくださいね。
個人宅での保育業務2選
待機児童の問題もあり、最近注目されているのが個人宅での保育です。
新しい保育スタイルとして定着しつつあります。
ここで紹介する2つの働き方も、転職先の選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
ベビーシッター
自分の働きたい時間に仕事ができる
子どもの気持ちに寄り添った保育ができる
待機児童解消の手段として、今後もニーズが高まると予想される
収入が安定しにくい
ベビーシッターは、利用者の自宅などで子どもを保育する仕事です。
乳幼児~小学生くらいまでの幅広い年代の子どもをあずかります。
ひとりの子どもと密に関わるため、きめ細かい対応やサポートができるのもベビーシッターの特徴です。
ベビーシッターは常勤で働くことは稀で、一般的にパートやアルバイト、フリーランスとして働きます。
保護者とのやりとりはありますが、そのほかに多くの人と関わる必要がありません。
「職場の人間関係が苦手……」という人にも向いているかもしれませんね。
保育ママ
少人数保育で子どもと密に触れ合える
保育方針に自由がきくため、自分の理想の保育を実践できる
保育ママになるための条件が自治体によって異なる
フリーランスとして働くことになるため、収入が安定しにくい
事務や経理など保育以外の仕事にも対応しなければならない
保育ママは、平成22年の児童福祉法改正に伴って定められた「家庭的保育事業」に含まれる保育サービスです。
ただし、保育ママのサービスが行われていない自治体もありますので、自治体のHPなどで確認してください。
保育ママは、自宅で3歳未満の子どもを保育します。
保育ママ1人につき、あずかる子どもの数は3人までとなっています。
子どもや保護者との距離が近いため、やりがいが大きいと感じている人も多いようです。
保育士としての経験を積んだ人は、保育ママとして開業するのもよいでしょう。
保育士資格を生かせる異業種3選
保育士が転職を考えるときには、保育士資格を生かせる異業種にチャレンジするという選択肢もあります。
ここでは3種類の仕事を紹介しましょう。
幼児教室
子どもの成長を近くで見られる
意欲のある子どもが多いためレッスンしやすい
勤務時間・仕事内容が決まっている
アクセスしやすい場所にあることが多く通いやすい
土日出勤の場合も多い
幼児教室は、幼児期の子どもにスポーツ、音楽、英語などを教える教室。
小学校受験に対応した幼児教室もあります。
幼児教室の先生になるために保育士資格が必須というわけではありませんが、保育士資格をもっていると優遇されるケースが多いようです。
1日中レッスンがあることは少なく、比較的短時間から勤務できます。
また残業がなく勤務時間が決まっているため「メリハリをつけて働きたい」と考えている人にも向いている仕事と言えそうです。
幼稚園
子どもの教育に集中できる
比較的休みが取りやすい
残業が少ない
1人が担当する子どもの数が多い
幼稚園は満3歳~小学校入学までの幼児を教育する施設です。
もちろん幼稚園で働くためには、幼稚園教諭の資格が必要です。
保育士資格だけでは、幼稚園で働けないことはご存じでしょう。
しかし今なら、保育士資格をもっている人は、少ない負担で幼稚園教諭の資格が取得できます。
これは「3年以上かつ4320時間の実務経験がある保育士は、試験や履修科目が一部免除される」という令和6年度までの特例措置によるものです。
幼稚園は保育園に比べて勤務時間が短く残業も少ないことが多いです。
保育園の勤務時間に不満を感じている人は、幼稚園教諭として働くのもよいかもしれませんね。
認定こども園
保育と教育の両面から経験を積める
幅広い知識を得られる
行事準備など負担がかかりやすい
歴史が浅いため、現在も手探りな状態にある
認定こども園は、幼稚園と保育園を一体化させた施設です。
一般的な保育園との違いは「教育」という視点が必要であること。
今までと違った観点から子どもと関われることは、保育士としてのスキルアップにもつながるでしょう。
認定こども園で働くには、幼稚園教諭と保育士の両方の資格が必要です。
保育士資格しかもっていない場合は、特例措置を利用して幼稚園教諭の資格も取得しましょう。
保育士と幼稚園教諭の両方の資格をもっていると、今後活躍できる職場が増えると予想されます。
特例期間を上手に利用して、スキルアップしてくださいね。
保育士を支える仕事|保育士特化型人材会社や保育園の運営会社など
保育士資格は、保育士を支える立場としても生かせます。
保育士に特化した人材会社や保育園を運営する会社に就職するなど、直接子どもとは関わらない仕事でも保育士資格を生かせるのです。
保育の現場を知っているからこその観点で、保育士を支えられるでしょう。
保育士資格や保育士としての経験を生かして別の職種に転職したいと考えている人は、保育士をサポートする仕事を考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
保育士資格を生かせる仕事は多岐にわたります。
仕事によっては勤務条件などもさまざまですので、自分に合う仕事もきっと見つかるでしょう。
転職を考えている保育士さんは、視野を広くもち、自分に合う転職先を探してみてくださいね。