男女間で賃金格差が生まれる原因は?男女間の賃金格差を改善するには?

同一労働同一賃金が求められる世の中になっても、なお賃金格差は無くなっていません。特に、男女間での賃金格差は深刻な問題となっています。

全ての方が平等かつ公平に暮らしていくためには、格差の是正が非常に重要となります。

格差が少なくなれば、その分より多くの方が快適に暮らせる可能性が高まります。

そこで男女間の賃金格差が生まれる理由と、その改善案について詳しく解説していきます。

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海外と比べて男女格差は大きい

男女間に賃金格差があるのは日本だけではありません。しかしながら、日本は先進諸外国と比較して格差が大きい方に含まれています。

日本の男性の賃金の中央値を100とすると、女性の賃金中央値は77.9となり男女差は22.1ポイントとなります。これはアメリカやイギリスと比べても高い水準です。

先進諸外国のうち、最も男女の賃金格差が少ないブルガリアでは男女差が2.6ポイントとなっており、日本とは大きく異なることが分かります。

日本が諸外国に比べて男女格差が大きい理由として、管理職の女性が少ないことや女性の非正規比率が高いことなどが挙げられます。

また、女性の平均勤続年数が短めになっていることも賃金格差に繋がっています

賃金格差による影響は?

賃金格差が大きいことは、社会に大きなマイナスの影響をもたらします。まず女性社員の目線で言うと、賃金が伸び悩むことでモチベーションが下がる可能性があります。

その結果、優れた技術を持つ女性が仕事を辞めてしまったり、女性がプライベートで使用できるお金が少なくなったりといった問題が発生します。

経済という目線で考えても、女性がお金をたくさん稼いでショッピングに使うという動きは非常に重要であり、女性の賃金が少ないことで経済の活性化が上手くいかない恐れもあります。

賃金格差は転職にもつながり、企業にとっては人材を失うことにも繋がります。今後グローバル化が進む中で、人材の海外への流出が大きくなる可能性があります。

日本の女性が日本で働きたいと感じてもらえるような仕組みづくりはまさに急務と言えるでしょう。

男女間で賃金格差が生まれる原因は?

男女間で賃金格差が生まれる原因はいくつかあります。その1つ1つを確認することで改善策が見えてきます。

管理職の割合

1つ目に挙げられるのが管理職の割合です。企業では、一般社員に比べて管理職の人物に多くの給料を支払う傾向があります。しかし、日本では管理職に就いている女性の割合が少なく、そのことが賃金格差に繋がっています。

管理職に占める女性の割合は、アメリカやイギリスでは40%となっていますが、日本では15%を下回っており大きな違いがあります。

では、日本の女性は管理職に向いていないのかというと決してそのようなことはありません。管理職には女性の持つ繊細な感性が必要であるとの考え方があり、むしろ管理職は女性が輝ける役職の1つと言えるでしょう。

ところが、結婚後の出産や育児のために管理職をやむなく離職する方も多く、せっかくの人材を活かせていない現場が日本中に存在しています。

非正規雇用

日本で働いている女性のうち、約半数以上は非正規雇用となっておりそのことも賃金格差に大きな影響を与えます。家事や育児をしながら働く中で、やむを得ず非正規雇用を選択する方も少なくありません。

先進諸国の中には、パートタイムであっても正規雇用と遜色ないくらいの給与体系になっている国もありますが、日本では非正規雇用と正規雇用が同等の仕事をしていても賃金に大きな差をつける傾向があります。

日本伝統の雇用形態と給与体系が、男女格差をより大きくしていると言っても過言ではありません。

性別役割の固定化

日本では古くから大きく豪快な仕事は男性、細かい作業は女性という役割分担がなされてきました。戦後の欧米化により、そのような凝り固まったイメージはやや緩和されましたが、まだまだ残っている部分もあります。

給料の高くなりやすい仕事を男性が担当し、給料が伸びづらい事務作業を女性が担当しているという会社は少なくありません。確かに男性が得意とする仕事、女性が得意とする仕事がそれぞれあるのは事実です。

しかしながら、多様性が進む中で性別だけで仕事を分けるのは合理的とは言えません。性別ではなく個々のパーソナリティーに着目して仕事を分担していく必要があると言えるでしょう。

男女間の賃金格差を改善するには?

では、どのようにすることで賃金の男女格差を減らすことが出来るのでしょうか。いくつかの改善につながる方法を解説していきます。

ジョブ型雇用

ジョブ型雇用とは、企業において必要な職務内容に対して適したスキルや経験を持った人を採用することを言います。従来型の日本企業の雇用では職務を決めずに募集をかけ、採用してから職務を決めるケースが多くありました。

しかし、これではそれぞれの職務に向いている人を効率良く集めることが出来ません。ジョブ型雇用では、性別にとらわれることなく、職務に適した能力を持っているかどうかにのみ着目しているので、男女のどちらでも好待遇で採用される可能性が高まります。

企業にとっても、採用後の配属で悩む必要がなくなるというメリットがあります。

テレワーク

女性の中には、子どもが小さなうちはなるべくそばに居てあげたいと考える方が少なくありません。そこで有効となるのがテレワークです。近年ではICT化が進んでいるため、出社しなくても出来る業務がたくさんあります。

出産直後の女性にテレワークでも出来る仕事を割り振り、子どもが大きくなったら再び出社してもらうことによって、女性の雇用を維持することが出来ます。

雇用状態が途切れないことで、賃金の昇給もそのまま続けることが出来ます。女性にとっても業務上は職場を離れないことから、久々に出社した際にも気まずい思いをすることがありません。

加えて、テレワークを促進することは厚生労働省がかかげる働き方改革にも合致することであり、日本企業が必然的に努力する部分として何ら違和感のないものと言えるでしょう。

情報開示

情報開示を義務付けたり、促進したりすることも男女の賃金格差の是正へとつながります。イギリスでは、一定規模以上の企業に対して男女間賃金格差の公表を2017年から義務付けています。

つまり、男女の賃金格差の大きな企業はそのことが様々な人々に知られてしまうということです。男女差が大きいとイメージダウンにもつながり、商品の売れ行きにも影響しかねません。男女差別をしていない企業から商品を買いたいと考える消費者がいる可能性もあります。

企業に情報を開示をさせることは、企業に自社の賃金格差から目を背けさせないという効果もあり、男女差の問題について会社全体で考える機会にもなります。その点でも極めて有効と言えるでしょう。

賃金格差の開示が義務化へ

日本でも賃金格差の開示を義務化する動きがあります。2022年の内閣府男女局の会議では、賃金格差開示についての議論がなされ、格差を公表することで自社の実態を知ることに繋がるといった前向きな意見が多くありました。

そのことが中長期的に格差是正につながると期待されています。実際に法改正に繋がれば義務化が決定されます。ただし、どの規模の企業に開示を求めるかなど、具体的な内容を詰めていくことも求められています。

男女格差をなくすことが社会の活性化を生む

男女に賃金格差があるということは、男女で使えるお金の量に差があるということです。それは多くの人々がお金を使用することで成り立っている市場経済において極めてマイナスと言えるでしょう。

賃金格差の開示など企業に新しい義務を課すことによって、是正することは極めて有効な手段です。何より女性が働きやすく過ごしやすい社会を作ることは、男女の両方にとってメリットの大きいことだと全ての人が認識する必要があります。

記事の執筆者
LS編集部

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