「年度途中だけど転職したい……。園との関係をこじらせることなく、年度途中に退職できるのかな?」
このように不安に感じている保育士さんはいませんか?
もちろん年度途中に転職する場合、現在の園を退職する必要がありますよね。
年度途中に退職をする場合、現在勤務している園とトラブルにならないか気にしている人は多いようです。
そこでこの記事では、年度途中に退職するときに気をつけるべきポイントを3つお伝えします。
円満に退職したいと考えている人は、参考にしてみてくださいね。
退職意思を伝える方法
円満退職をするために大切なことのひとつに「退職意思の伝え方」があります。
この段階でしくじると、保育士や園とトラブルになることが多いようです。
退職の意思を伝えるときに注意すべきことは、以下の3点です。
- 退職意思を伝える時期
- 退職意思を伝える順番と方法
- 退職理由
これらについて正しく知っておくと、スムーズに退職しやすくなります。
退職意思を伝える時期
法律上、正社員が退職する場合には、14日前までに申し出ればよいことになっています。
しかし保育士の場合、独自に退職申請の時期を規定している園もあるようです。
これには引き継ぎに時間が必要なことや、年度途中での人員確保の難しさなどが影響しているのでしょう。
退職申請の時期が定められているケースも頭に入れ、あらかじめ雇用契約書や社内規定などを確認しておくことが必要です。
園に独自の規定がない場合でも、引き継ぎや人員の確保を考慮すると早めに伝えたほうがよい場合もあります。
とはいえ、早すぎると退職までの間働きにくくなることもあるかもしれません。
園の雰囲気を見て判断するのがベストですが、判断しづらい場合は、およそ1か月~2か月前を目安に申し出るとよいでしょう。
退職意思を伝える順番と方法
退職意思を伝える相手は、上司なら誰でもよいというわけではありません。
最初は直属の上司、その後園長に伝えるのがビジネスマナーです。
また、伝える方法は口頭です。
「言いづらいから……」と、メールや電話で伝えるのはNG!
そのような方法をとると、逆にトラブルになることもあるのです。
退職の意思は、直属の上司に口頭で伝えてくださいね。
退職理由には「引き止められにくい理由」を用意しよう
退職の意思を伝えると、その理由を尋ねられるでしょう。
言いづらいなら本当の理由を伝えなくても大丈夫。
もし園に不満があったとしても、あえてそのことを伝えないというのも円満に退職するためのひとつの方法です。
退職の意思がかたまっている場合は、家庭の都合など自分ではどうしようもない事情があるためと伝えるのがオススメです。
園が対処できない事情なら引き止めることは難しいため、すんなりと退職を受け入れてくれるでしょう。
安易に園への不満を伝えると、「今後改善する」と言って引き止められたり、その後の雰囲気が悪くなったりすることも考えられます。
もちろん退職理由を正直に言うかどうかはあなた次第です。
とはいえ、円満かつスムーズに退職したいのなら、わざわざ本音を言う必要はないのかもしれません。
引き継ぎの方法
保育士が年度途中で退職するときには、しっかりと引き継ぎをすることが大切です。
年度途中での退職は、他の保育士たちに想像以上の負担がかかります。
保育士たちの負担を少しでも和らげるためには、しっかりと引き継ぎをすることが必須なのです。
トラブルに発展しないためにも、今まで関わった業務内容についてしっかりと引き継ぎを行ってくださいね。
担任しているクラスの子どものこと
担任を受け持っている場合は、クラスの子どもたちの情報についてしっかりとまとめておきます。
まとめておくとよい子どもの情報は以下のようなものです。
名前・読み方
性格や特徴・関わり方
お気に入りの遊び
食べ物の好き嫌い
食事の際の注意点
寝かしつけ方法
トイレトレーニングの進捗状況
言葉の発達度合い
体質や健康に関する情報
家庭環境・保護者対応など
細かい点までまとめてあると、後任の保育士が仕事をしやすくなります。
子どもたちとの信頼関係を作りやすくなるため、早くに子どもたちの気持ちを安定させることができるでしょう。
担当した行事や係のこと
行事を担当していたり係の仕事を任されていたりする場合も、入念な引き継ぎが必要です。
自分が担当した行事や係についての情報は、すべて共有します。
そうすることで、行事の流れなどを把握しやすくなり、来年度の担当者が仕事をしやすくなるでしょう。
書類や備品などのこと
書類や備品などに関しても、他の保育士たちにわかるよう引き継ぎをしておきます。
特に保育士業務では書類が多いため、引き継ぎがうまくできていないと、後任の保育士に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。
伝え漏れをなくし、後任の保育士たちがスムーズに業務を行えるようにすることが大切です。
退職を説明する方法
退職時には、同僚の保育士や職員だけでなく、子どもや保護者への説明も欠かせません。
円満に退職するためには、それぞれの心情に寄り添った説明をすることが大切です。
ここからは子ども・保護者・職員のそれぞれに向けた説明の方法を紹介します。
【子どもへ】わかりやすい言葉で
今まで一緒に過ごしてきた保育士が年度途中でいなくなることは、子どもたちにとってショックなできごとです。
けれども、何も言わずに去るわけにはいきません。
子どもたちに伝えるときには、子どもたちの年齢に応じてわかりやすい言葉を選びましょう。
たとえば「辞めます」という言葉は、子どもにはピンとこないこともあるようです。
お別れすることになるという意味を伝えるためには、「バイバイします」といった表現のほうが伝わりやすいかもしれません。
また、子どもたちの名前を出してお別れのあいさつをしたい場合には、全員の名前を出すようにしましょう。
もし大好きな先生に、自分だけ名前を呼ばれなかったら、その子はとても悲しみます。
突然先生がいなくなるだけでも悲しいのです。
子どもにさらなる悲しみを感じさせないためにも、こまかい部分まで配慮を忘れないようにしてくださいね。
【保護者へ】不安にさせないように
保護者への説明のタイミングや方法は、上司と相談して決めましょう。
方法次第では、園と保護者との関係に溝ができてしまう恐れもあります。
園と保護者の信頼関係を壊さないためにも、退職の説明は慎重に行うことが大切です。
保護者には、今までの感謝や年度途中で退職することへのお詫びを伝えます。
特に、今までのお礼を伝えることはとても大切です。
年度途中の退職に対し「無責任だ」と感じる保護者も一定数います。
保護者のネガティブな感情を和らげるためにも、子どもの保育を担当させてもらったことや、園行事に協力してもらったことなどについてのお礼を伝えることが役立つのです。
保護者から園への信頼があれば、今後も園と保護者がよい関係を維持できるでしょう。
保護者に説明するときには、保護者が不安に感じそうな言葉はNGです。
特に園への不満を保護者に漏らしてしまうと、子どもを預けることに不安を感じてしまうもの。
詳しい退職理由に言及することは避け、「一身上の都合」で通すのが無難です。
【職員へ】お詫びを忘れずに
職員へ説明するときには、退職によって迷惑をかけてしまうことへのお詫びを忘れないようにしましょう。
あなたが年度途中で退職することに不満を感じる保育士もいるでしょうから、できる限りの配慮が必要です。
退職理由を聞かれた場合、出産や介護など伝えやすいことであれば伝えてもよいかもしれません。
もし言いたくなければ、ムリに伝える必要はないでしょう。
まとめ
保育士が年度途中で退職する場合、どれほど配慮したとしても、周りの人に負担をかけてしまいます。
保育士業界では年度途中での退職はタブーとされていますが、法的には何の問題もありません。
「年度途中だけどできるだけ円満に退職したい」と考えている保育士さんは、ここで紹介した3つのポイントをしっかりと頭に入れて、退職準備をはじめてくださいね。
ご自身の決断がよい結果となりますように……。