立つ鳥跡を濁さずという諺があるように、退職する時はマナーを守り美しく立ち去るのがベストです。
しかし、初めて退職する場合は、どのように振舞えばよいかわからない方も多いでしょう。
間違った対処をして、去り際に泥を塗るのは避けたいものです。
そこで、お礼の品や挨拶メールの書き方など、退職時のマナーを詳しくご紹介します。
退職時の御礼の品は買うべき?
退職時に御礼の品を渡すという決まりはありませんが、一緒に働いてきた同僚や上司にちょっとした品を贈るのは、感謝を伝えるうえで適切な方法です。
ここでは、御礼の品の予算や渡し方のマナーについて解説します。
マナーや予算は?
退職時の御礼の品は、高額な品を渡す必要はありません。
30人以下の職場では全員に渡すのがマナーとなりますが、従業員が多い職場では自分が所属する部署の人のみに渡すだけでOKです。
高価なものを渡すと気を使わせてしまうため、消耗品や実用品、食べ物など気軽に受け取れるものを贈るのがマナーです。
一人あたり100円~500円ほどの予算で見積もるのが一般的です。
従業員が20人の職場だと、トータルで2000円~1万円となります。
ただし、お世話になった方に個別で御礼の品を渡したい場合は、5000円~1万円ほどの品を選ぶのがマナーです。
退職時のギフトの渡し方
退職時のギフトは最後の出社日までに用意しておき、最終日の夕方に一人一人に感謝の気持ちを述べながら手渡しするのが理想的です。
ただし、フレックスタイムで出社時間がまちまちであったり、従業員が多すぎて手渡しできなかったりする場合は、手紙を添えてみんなの目に付くところに置いておくと良いでしょう。
お世話になった上司に個別でギフトを渡す場合は手渡しが礼儀であり、熨斗もつけなければなりません。
退職時の御礼品アイデア例
手軽に飲食できるものが◎
職場全体に贈る退職時の御礼品のアイデアとしては、職場で手軽に飲食できるものがおすすめです。
クッキーやチョコレートは誰にでも好まれるお菓子であり、休憩時間につまめるので喜ばれます。
個別包装されているものを選べば分配しやすく、日持ちもするので急いで食べる必要もありません。
また、コーヒーメーカーがない職場なら、紅茶やコーヒーもおすすめです。
スティックタイプのコーヒーやティーバッグなら、お湯を注ぐだけで簡単に飲めるので喜ばれるでしょう。
男女で分けるのもあり
喜ばれる御礼品を選ぶコツとして、性別によってギフトを変えるという方法もあります。
女性にはハンドクリームやリップクリーム、入浴剤などの美容アイテム、男性にはハンドタオルやボールペンなど実用的なギフトを渡すのがおすすめです。
年齢を選ばず使用でき、たくさんあっても困らないものを選ぶのが満足度の高いギフトの鉄則です。
退職挨拶メールの書き方は?
これまでお世話になった感謝の気持ちを伝えるには、御礼品だけでなく文章で伝えることも大切です。
メールで感謝を伝えることで、けじめをつけて退職したという印象を与え、退職後に顔を合わせることがあっても気まずい思いをすることもないでしょう。
送信のベストタイミングとは?
退職挨拶メールを送信する最良のタイミングは、社内に送信する場合と社外に送信する場合で異なります。
社内に送信する場合
社内に送信する場合は、最終出勤日に送信するのが適切です。
送信のタイミングは頻繁に仕事のメールが取引されている時間帯は避け、17時退社の会社なら退社へ向けて仕事が落ち着いてきた16時以降に送信するのが良いでしょう。
ただし、社内の慣習があればそれに従います。
社外に送信する場合
社外に送信する場合は、最終出勤日ではなく退職日の2週間~3週間前に送信するのが適切です。
社外に送信する時期が社内よりも早いのは、後任者への引継ぎをしやすくするためです。
仕事で培った人脈は、退職後に別の仕事で役立てることもできます。
退職後も人脈を保つためには、相手の業務を考慮した対応ができることを印象付ける必要があります。
押さえておきたい書き方のポイント
退職挨拶メールの内容も、社内と社外では少し異なります。
社内に送信する場合
社内においては、シンプルに感謝の気持ちが伝えられればOKです。
詳しい退社の理由を記載するのはマナー違反となりますが、関係性を継続するために連絡先を伝えるのは問題ありません。
また、読み飛ばされないように、件名に退職挨拶だとわかるタイトルをつけることも大切です。
社外に送信する場合
社外への退職挨拶メールの内容は、感謝の気持ちと共に退社日と後任者をしっかり伝えることがポイントです。
そのような内容なら、取引先も後任者がわかり安心できるうえに、必要があれば退職前に連絡することもできます。
ただし、社内へのメールとは違い、連絡先を記載するのはNGです。
退職後に取引先と連絡を取り合いビジネスが成立した場合、顧客情報を利用していると思われる可能性があるので注意しましょう。
転職を祝ってもらった場合の御礼は?
退職・転職が決まった場合、同僚や上司からお餞別やギフトを貰ったり、送別会を開いて貰ったりすることもあります。
そのような場合、どんな対応をすればよいのでしょうか。
お餞別・ギフトを頂いた場合は?
お餞別やギフトを貰った場合は、同僚など親しい間柄であればお返しの必要はありません。
退職して少し落ち着いたら、近況報告を添えたお礼状を出すのが一般的です。
ただし、上司や取引先の相手にはお餞別やギフトを貰ってから1週間以内にお礼状とお返しの品を渡すのがマナーです。
お返しの品は、貰った品の2分の1~全額が金額の目安です。
送別会を開いて貰った場合は?
送別会を開いて貰った場合、お礼状を送るのがマナーになります。
正式な形は書面でのお礼状になりますが、親しい間柄ならメールで送っても構いません。
メールでお礼状を送る場合は送別会から日にちを空けず送るのが礼儀で、送別会を開いてくれた心遣いに感謝の意を伝えます。
上司にはハガキや手紙でお礼状を出すのが好ましいですが、送別会から日にちが空かないようにさえ気をつければ、メールで送ってもマナー違反ではありません。
退職日にスピーチを求められたら?
会社によっては退職日にスピーチを求められることがあり、何を話せばよいか戸惑ってしまう人もいるでしょう。
ここでは、スピーチのマナーや印象の良いスピーチ例をご紹介します。
マナーの基本
スピーチの基本的なマナーは、ダラダラと時間をかけて話すのではなくシンプルかつ簡潔にまとめることです。
できれば、3分以内で話し終えるのが理想です。
また、聞き取りやすいようにはきはきと話し、早口にならないよう気をつけましょう。
ネガティブな理由で退職する場合も批判的な意見は述べず、これまでの感謝を示すのが礼儀です。
一人一人の目を見ながら、語り掛けるようにスピーチできれば上出来です。
印象の良いスピーチ例
印象の良いスピーチ例としては、エピソードを盛り込むことです。
失敗談などを交え成長できた過程などを具体的に話すと、聞く側にとっても楽しいスピーチになります。
事前に原稿を用意して読み上げるのは事務的な印象を与えるため、話す要点を書いたメモを用意する程度にして、アドリブで話す方が感情がこもり好印象を持たれます。
締めくくりでは、同僚や上司のこれからの活躍にエールを送ることも忘れてはなりません。
マナーを守り円満に退職しよう
退職時のマナーは、社会人としてのルールをわきまえていれば難しいことはありません。
お世話になった人に挨拶状や御礼の品を渡し、感謝の意を伝えれば礼儀を守ることができます。
退職しても、同じ業種に転職すれば取引先の人や社内の人との人間関係は続く可能性があることを考慮し、基本的なマナーを守り円満に退職しましょう。