「痔になった」という話題は、あまり周りで聞くことがないため、なんだか自分だけが悩んでいるような気がしてしまいませんか?
しかし、実は女性にも痔になる人はたくさんいます。生理や妊娠、便秘などが原因で、女性は男性よりも痔になりやすいと言われています。
そこで今回は、女性が痔になったときの対処法についてご紹介します。気になる方はぜひ、お読みください。
女性は痔になりやすい?
原因は生理や妊娠・出産
生理や妊娠・出産による影響が大きいです。生理の前後には、ホルモンバランスの乱れから便秘になりやすく、そのために痔が発生することがあります。
また、妊娠中には胎児の成長に伴い、子宮が膨張することで直腸に圧迫がかかり、便秘になりやすくなります。出産時には、陣痛によって直腸が刺激され、痔が悪化することがあります。
便秘が招く痔
便秘が招く痔も女性に多いです。便秘になると排便が困難になり、便が硬くなるため、直腸や肛門の粘膜に圧力がかかり、痔が発生することがあります。女性は男性よりも便秘になりやすく、それが痔の発生につながることがあります。
痔の種類は?
いぼ痔(痔核)
肛門部にできる痔の一種で、内側にある痔核(じかく)が腫れ上がり、外側に脱出する症状を指します。いぼ痔は、主に直腸の下部や肛門部に発生し、圧迫や運動不足、便秘などが原因で起こることが多いです。
主な症状は、肛門部からの出血や痛み、かゆみ、しこりなどです。また、いぼ痔が外側に脱出すると、肛門周囲に腫れや痛みが生じることがあります。
いぼ痔の治療法は、まずは生活習慣の改善が基本とされます。便秘の改善や適度な運動、食事の改善、清潔な肛門周囲の保持などが重要です。また軟膏や湿布などの薬物療法が行われることがあります。
重度のいぼ痔の場合には、手術が必要となる場合があります。手術は、いぼ痔を切り取るなどの方法が行われます。手術後には痛みが生じることがありますが、通常1週間程度で傷が治癒することが多く、治療後には便秘の予防や運動習慣の改善などが必要です。
便秘や運動不足、過度のストレスなどが原因で発症することが多いため、生活習慣の改善をしなければ繰り返す可能性があります。症状が長期間続く場合や、出血量が多い場合は、早期に医療機関を受診することが大切です。
切れ痔(裂肛)
肛門周囲の粘膜が裂けて、痛みや出血を引き起こす疾患です。肛門周囲の粘膜が硬くなっていたり、便秘などが原因で強い力が加わったことにより、肛門周囲が裂けることが多いです。
主な症状は、排便時に激しい痛みが生じることです。また、排便後に痛みや出血、かゆみが続くことがあります。便秘の場合には、肛門周囲が硬くなり、痛みが増します。
切れ痔の治療法は、肛門周囲を柔らかくするための湿布や軟膏の使用、痛みを和らげるための鎮痛剤などが用いられます。また、便秘の改善や肛門周囲の清潔などが重要な予防方法とされています。
重症化している場合には、手術が必要となる場合もあります。手術は、肛門周囲に切開を行って、裂けた部分を縫合する方法が主に行われます。手術後には、通常1週間程度で傷が治癒することが多く、治療後には便秘の予防や運動習慣の改善などが必要です。
痔ろう(痔瘻)
肛門周囲の組織が炎症を起こし、痛みや膿の排出などの症状が現れる疾患です。肛門周囲に起こる膿瘍が治癒せず、痛みや排便時の不快感が続く場合に、痔ろうが発生することがあります。
痔ろうは、肛門周囲の皮膚や粘膜に穴が開いた状態で、その穴を通して膿や便が漏れ出ることがあります。症状としては、肛門周囲に痛みや腫れ、かゆみなどがあらわれ、排便時に痛みや出血が生じる場合があります。放置していると慢性化してしまい、治療が難しくなることがあるため、早めの受診と治療が大切です。
痔の種類によって、症状や治療法が異なります。自覚症状がある場合には、早めに専門医の診察を受けることが大切です。
痔になった時の改善策は?
食物繊維をとる
食物繊維は、腸内環境を整え、便秘を改善するために大切な栄養素です。野菜や果物、穀物などからバランスよくとりましょう。また水分補給も忘れずに行い、便を柔らかくすることも大切です。
食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、便秘に効果が高いのは不溶性食物繊維と言われています。不溶性食物繊維とは、水に溶けない食物繊維のことです。主に野菜や穀物、果皮などに含まれ、不溶性食物繊維が多く含まれた食品には、ブロッコリーやりんご、ごぼう、玄米、キノコ類などがあります。
不溶性食物繊維は、水に溶けないため便のかさを増やして腸内においても水分を保持し、便通を促進することで、便秘の予防や改善にも役立ちます。さらに腸内環境を整え、腸内細菌の働きを活性化させるため、免疫力向上や炎症の予防にも役立ちます。もちろん水溶性の食物繊維も健康には大切ですので、どちらも積極的に摂取しましょう。
市販薬を使う
市販の痔の薬は、痛みやかゆみ、腫れなどの症状を和らげるために役立ちます。症状が軽い場合は、一時的な対処として使用できます。症状に合わせた適切な薬を選び、指示通りに使用しましょう。
病院へ行く
痔の症状が強く自宅での改善が難しい場合や、痔ろうなどの重症の場合には、早めに病院を受診することが重要です。専門医が適切な診断と治療を行ってくれます。
痔に人気の市販薬3選
「ボラギノール」妊婦OKのタイプも
ボラギノールはステロイド配合のものと非配合のものがあります。非配合のものは妊婦の方でも利用できるのがメリットです。患部の位置によって、坐薬(肛門の内側)や軟膏(肛門の外側)を選べます。注入軟膏はどちらの部位でも使え、初めての人でも安心して使用できます。
「プリザエース」辛い痛みや出血に
ブリザエースは炎症を抑える作用の強い軟膏です。強い痛みや出血がひどい際に、一時的な策として使うことが望ましいです。これで良くなったとしても、痔が治ったわけではないので、生活の見直しをしなければなりません。
「クラシエ」漢方の力で緩やかに
クラシエは漢方薬に強いメーカーです。クラシエの漢方乙字湯エキス錠は、血の流れを良くしたり便秘を改善したりと、痔を根本から良くするための薬です。今現在の痛みを止めるというよりも体質改善と考えた方が良いでしょう。
痔になったら何科に行くの?
痔の治療は肛門科・肛門外科
痔の治療を受ける場合、肛門科や肛門外科を受診するのが一般的です。肛門科や肛門外科は、痔や肛門の疾患に特化した診療科であり、痔に対する豊富な経験と専門知識を持つ医師が在籍しています。
痔の状態によって、軟膏などの外的な治療か内服薬を使うか、手術をするかなどを決めるため、自分の痔の状態がひどいか分からない場合は、まず診察を受けることが重要です。
外科や消化器外科でも可
一部の大学病院や総合病院などでは、外科や消化器外科でも痔の治療を受けることができます。ただし診療科によっては、症状や重症度に応じて肛門科や肛門外科を紹介される場合もあります。
初診料もかかってしまいますので、まずは主治医やかかりつけの医師に相談し、適切な診療科を受診するようにしましょう。
痔になってしまったら
痔になったということは人にはなかなか言えませんし、隠しておきたい気持ちがあるでしょう。女性はその体の仕組みや仕事内容から、痔になりやすいと言えます。
しかし、放置すると悪化してしまう可能性のある病気です。特に痛みが強かったり不快感を我慢できない場合は、とりあえずは鎮痛剤などを使って、動けるようになったら肛門科や肛門外科に行きましょう。
治療することが、苦痛から解放される近道になりますよ。