妊娠中から出産後は、心身ともに様々な変化が起こりやすい時期です。
特に出産後は、休む間もない育児が始まり、ご自身のことでも気になることが多くあることでしょう。
見た目の変化で気になるのは、産後に髪が薄くなったという悩みではないでしょうか。
そこで今回の記事では、産後に髪が薄くなる原因とその対策方法をいくつかご紹介したいと思います。
産後に抜け毛が起きる理由は?
髪の毛はおよそ50~100本ほど抜けるとされていますが、産後は多い人で200本以上抜けることがあります。この産後の抜け毛のことを出産後脱毛症や、分娩後脱毛症と呼びます。
まずは、どうして産後に抜け毛が起こりやすいのか、ホルモンバランスの観点とストレスの観点から紹介します。
ホルモンバランスの変化
妊娠後期ごろから、妊婦の体内ではエストロゲンというホルモンの分泌量が増えてきます。このエストロゲンに含まれるエストラジオールには、毛周期のうち成長期を延長させる効果があります。
しかし、出産を終えた体はそのエストロゲンの分泌量が元に戻り、毛は成長期から休止期、つまり抜ける時期に入り、一気に抜け毛として現れます。
子育てなどのストレス
出産を終えると、そこからは育児が始まります。特に新生児期は、母親の授乳と新生児の哺乳のバランスが上手く取れず、細切れの睡眠となってしまったり、休息が取れなくなってしまいがちです。
育児がスムーズにいかないとストレスを感じやすくなり、ストレス状態に置かれている体は自律神経のうち、交感神経の働きが優位になります。交感神経の働きにより、血管が収縮し血流が悪くなってしまいますが、髪の毛は細い血管によって栄養を得ているため、髪の毛への栄養が途絶えてしまい、抜け毛となってしまうのです。
産後の抜け毛はいつまで続くの?
抜け毛が続いて髪が薄くなってくると、いつまでこの抜け毛が続くのかが不安になってしまいますよね。
もちろん個人差はありますが、抜け毛にはピークがあり、終わりが見える時期が来ます。
ピークは産後4~6ケ月
出産してからは、毛周期のサイクルに合わせて2~3ケ月頃から抜け毛が増えてきたように感じる人が多くいます。この頃に、髪を梳かしたブラシに抜け毛がたくさんついていたり、お風呂の排水溝にある抜け毛の量が多いことで気づくのではないでしょうか。
しかし、個人差はあるものの、およそ産後4~6ケ月でこのピークは過ぎ、抜け毛の量が増えてきます。このことには、休止期に入った毛が一度抜けてしまい、新しい髪の毛が生えてきているということを示しています。
半年で新しい髪が生える
ピークを抜けて、産後半年を超えてくると抜け毛が気にならなくなってくる時期が来ます。体調も回復し、髪の毛にも栄養が行きやすくなり、元々のヘアサイクルへと戻ります。
また、髪の毛は平均して1カ月に1cm程度伸びるため、産後半年になると抜け毛がだいたい6cm程度伸びてきます。すると、抜け毛によってボリュームが減っていた髪の毛も抜けなかった髪の毛と長さが馴染み、薄毛が目立ちにくくなるというわけです。
産後の抜け毛をケアする方法は?
産後に抜け毛が増えるのは、ほとんどの人に起こることですので、なかなか回避することは難しいでしょう。ただ、実際に髪の毛が薄くなっているのを気になる方も多いことかと思います。
そこで、日常的に行えるケア方法をいくつか紹介します。
十分な睡眠をとる
髪の毛が成長するには、いわゆる成長ホルモンが必要となってきます。この成長ホルモンは、ゴールデンタイムと呼ばれる睡眠が不可欠です。
一般的に成長ホルモンを十分に分泌させるには、まとまった睡眠時間が必要とされていますが、実際には乳児の育児をしているとまとまった睡眠時間を取ることは難しいでしょう。
そのため、「ベッドや布団で」眠り、「スマートフォンの使用は控えて」睡眠の質を上げることが大切です。
必要な栄養素を摂る
髪の毛に必要な栄養素は、「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン」の3つとされています。まずタンパク質ですが、髪の毛の主成分であるケラチンの元になるものです。豚肉や鶏肉、卵などから摂取することができます。
次に亜鉛ですが、ケラチンを合成することができます。また、薄毛の原因となる物質を抑制する効果のあるミネラルですので、積極的に摂取したいですね。
最後にビタミンですが、これは髪に栄養を送る助けをしてくれます。血流の改善や、毛母細胞の分裂の促進、薄毛の原因物質の抑制など、様々な効果があります。
もちろん様々な栄養素をバランス良く摂取することが大事ですが、まとまった食事が難しい場合は小分けにしてみるなどの工夫が大切です。
頭皮にやさしいシャンプーなどを使う
産後はホルモンバランスの乱れから、シャンプーが頭皮に合わなくなることもあります。頭皮トラブルが起きると、抜け毛の原因となることも。そのため、敏感肌用の低刺激シャンプーを使うことも、抜け毛の対策となります。
産後の抜け毛におすすめの食べ物は?
髪の成長に、十分な栄養を摂ることは欠かせません。しかし、髪の毛というのは、「生命を維持する」という目的においては、優先順位が低く、そのため栄養も後回しとなってしまいます。
つまり、十分な栄養が体の中にあれば、髪の毛にも十分な量の栄養が送られるということです。
タンパク質やミネラル豊富な食材
タンパク質は、ケラチンの元となる栄養素ですが、たくさんのアミノ酸が結合してできたものです。そのタンパク質は、動物性と植物性のものに分けることができます。動物性タンパク質には、牛肉や豚肉、鶏肉、卵などが当てはまります。
髪の毛を育てるのに大切なアミノ酸が豊富に含まれていますが、脂質が多く含まれる場合もありますので、摂りすぎには注意が必要です。植物性タンパク質には、大豆製品などが含まれます。
亜鉛は、ミネラルの1種であり、髪の毛を育てるのには欠かすことのできない栄養素です。牡蠣や鶏レバー、アーモンド、ナッツ類に豊富に含まれています。
ただ、食物から摂取した亜鉛の吸収率はあまり良くないので、ビタミンCを多く含んだ食品と合わせることで吸収率を良くすることができます。その他、必要なミネラル類も多くありますので、様々な食材をバランス良く組み合わせてみましょう。
サプリもおすすめ
しかし、育児に追われる毎日の中で、バランスの良い食事を考えて作ることも難しいでしょう。そんなときは、サプリに頼るのもおすすめです。
ただし、亜鉛などを過剰摂取してしまうと吐き気や食欲不振などが起こる場合もあります。またサプリによっては、妊娠中や授乳中は摂取が禁じられている場合もありますので、よく添付文章や注意事項を確認しましょう。
産後の抜け毛におすすめのヘアケアグッズは?
抜け毛ケアを行うためにおすすめされているグッズをいくつか紹介します。
頭皮にやさしいシャンプー
まずは、市販品であれば低刺激のシャンプーがおすすめです。アンファーから出ている、「薬用スカルプシャンプー&薬用トリートメントパック」は、女性の抜け毛の悩みに特化している商品です。
頭皮の臭いやべたつきなどのケアを行いながら、角質層に働く美容成分が効果を発揮します。
育毛剤
産後の抜け毛であれば、育毛剤の効果が出やすい場合も多いです。「血行の促進」「女性ホルモンの補填」「髪に栄養を与える」の効果があるものを選びましょう。
そして、頭皮に対して低刺激であり、保湿成分が入ったものがおすすめです。mamanicから出ている、「スカルプエッセンス」には、天然成分が多く配合され、敏感肌用のパッチテストも行われているので安心して使うことができます。
ヘアスタイリング剤
髪の毛が抜けた後は、そこからまた新しい毛が生えてきますが、短い毛が目立つこともあります。そこで、産後の抜け毛の後には「短い毛のケア」ができるものをおすすめします。
ミルボンの「エルジューダポイントケアスティック」は気になる場所に使えるマスカラタイプです。短い毛を押さえることができるので、ツンツンした毛が目立ちにくくなります。
ヘアターバン
それでも薄毛で頭皮が透けて見えてきた場合などにおすすめなのがヘアターバンです。おすすめポイントとして、まずは簡単に薄毛を隠せる点です。帽子と異なり、室内でつけていても不自然ではないですし、風で飛ばされることもありません。
次に、家事や育児を行う際に髪の毛が落ちてきて邪魔にならないという点です。短い毛を含め、まとめて抑えることのできるヘアターバンであれば、髪の毛に煩わされることが少なくなります。そして、ヘアターバンでまとめた髪はスッキリとし、おしゃれに見えます。おしゃれの一環として、いくつかヘアターバンを持っておいても良いかもしれませんね。
いつかは終わる!産後の抜け毛
産後はホルモンバランスが崩れ、また生活も忙しくなりストレスが溜まることから、ほとんどの産婦が抜け毛を経験します。
ピークは産後2~3カ月頃に訪れ、およそ6カ月~1年ほどで元の髪質に戻ることが多いです。
産後の抜け毛ケアとして、低刺激のシャンプーやスタイリング剤に変えることや、バランスの良い食事、質の良い睡眠が大切です。
薄毛が目立つ場合は、ヘアターバンでおしゃれに隠すのもありかもしれませんね。