ボイラーは、空調や温水供給など生活面で欠かせない重要なアイテムです。
しかし、高熱を発し危険を伴うため、ボイラーに関する専門知識を身につけた有資格者によるメンテナンスが欠かせません。
ボイラー技士という資格がありますが、どんな知識を習得し、どのような業務を担うのでしょうか?
この記事では、ボイラー技士試験の内容や難易度に触れつつ、詳しく解説していきます。
ボイラー技士とは?
ボイラー技士は、温水を供給する湯沸かし器や建物の暖房などに欠かせないボイラーのメンテナンスや修理を行う資格です。
水を加熱するボイラーは高温に達するため、素人が安易に修理しようとすると、火傷や怪我をするおそれがあります。
そのため、ボイラーを安全に扱える有資格者に管理や修理を任せなければなりません。
一定規模以上のボイラー設備を備える事業所では、ボイラー技士を選任することが義務付けられています。
なお、簡易ボイラーや小型ボイラーなどのメンテナンスについては、資格を持たない人でも従事することが可能です。
ボイラー技士になるには?
ボイラー技士になるには、厚生労働省により行われる試験に合格しなければなりません。
ボイラー技士免許には、2級・1級・特級の3種類があり、2級免許を持っていれば採用される職場も多いので、まずは2級取得を目指す人が多いです。
2級の試験は受験資格が無いため誰でも受験することができますが、合格した後の免許交付には条件があるので注意しましょう。
「大学や専門学校で学んでいる」「実務経験が一定以上ある」「講習を受ける」などがあり、いずれかを満たせば免許の交付を受けられます。
なお、1級試験を受けるには、2級の有資格者であることが条件となり、1級の資格があれば、特級の試験を受験できます。
他にも、単位修得や実務経験で受験資格を満たすことができますが、こちらも2級同様に免許交付は別になっているので注意してください。
ボイラー技士の仕事内容は?
ボイラー技士の仕事は、ボイラーの稼働状況を点検し、正常に運転されているかチェックすることです。
異常があれば、調整して修理の要否を確認しなければなりません。
自分で修繕できる箇所は、専門の整備士に頼む前に自力で修理することもあります。
具体的には、ビル・工場・プラントなどで、ボイラー設備の日常・保守点検を行い、不具合部分をチェックし、必要があれば修繕をするという具合です。
故障箇所を自力で直せない時は専門業者を呼ぶ場合もありますが、こうした不具合については、ビルの管理会社やオーナーに報告する義務を負います。
また、プラントの運転にもボイラー技士が従事することがあります。
ボイラー技士の働き先は?
ビル管理会社
ボイラー技士が働く場所は、素人では点検や修理ができない大型のボイラーを使用する施設です。
たとえば、ビルの管理会社が挙げられます。
大規模なオフィスビルなどでは、暖房や温水の供給用に大型のボイラーが使われます。
こうしたビルを管理するためには、ボイラー技士の存在が欠かせません。
したがって、ボイラー技士を募集しているビル管理会社は多く、ボイラー技士の勤務場所として筆頭に挙げられるでしょう。
建設会社
また、建設会社に勤めるボイラー技士も少なくありません。
建設会社が建物を作る際にボイラーを設置しますが、この時にボイラー技士の立ち会いが必要なのです。
ボイラー技士は、ボイラーの設置場所や周辺の環境について、アドバイスを与える役割を担います。
それから、地下にボイラー室を設けたホテルでも、ボイラー技士のサポートを求めています。
大規模なホテルは、大型のボイラーを使っているため、ボイラー技士の選定が必要な事業者として指定されていることが少なくありません。
さらに、入院病棟などを備えた大型の病院も、空調や温水の供給のため大型のボイラーを使用していることが多く、ボイラー技士の選任義務を負っています。
このように、ボイラー技士はさまざまな場所で活躍しているのです。
ボイラー技士の難易度は?
ボイラー技士2級試験の合格率は55%から60%程度で、受験者の約半分以上が合格しています。
その他の国家資格と比べれば、易しい試験だと言えるでしょう。
仕事で忙しい社会人や家事・育児に追われる主婦も、スキマ時間を見つけて勉強すれば、独学でも合格できます。
また、1級ボイラー技士の試験は、2級試験と同様に55%から60%くらいの合格率です。
特級ボイラー技士の試験では合格率およそ25%で、2級や1級に比べ難易度が高いと言えるでしょう。
また、合格基準は各科目の得点が40%以上で、かつ全科目の合計点が60%以上とされています。
ボイラー技士の試験内容は?
実施要項について
2級ボイラー技士の試験は毎月1回実施されていますが、1級試験は不定期で、例年は大体2カ月に1回の割合で実施されています。
特級試験は年1回だけで、3階級の中で最も受験機会が少なくなっています。
合格発表は協会センターの掲示板やホームページに掲載されるので、自分の受験番号があるか確認しましょう。
申し込みでは、受験申請書を希望受験地の安全衛生技術センターに送付する必要があります。
受験申請書は安全衛生技術試験協会の本部・全国7カ所のセンター・コンサルタント試験受験申請書取扱機関で入手可能です。
受験申請書には氏名や住所など必要事項を記載して、試験手数料の領収書と証明写真などを添えて申し込みます。
試験科目について
試験科目は3つの級全てに共通で次の4つになります。
- ボイラーの構造に関する知識
- ボイラーの取扱いに関する知識
- 燃料及び燃焼に関する知識
- 関係法令
具体的には、ボイラーの種類や構造・燃料の種類をはじめ、ボイラーの点検・清掃方法から労働安全衛生法に至るまで、多分野の事項を学ぶ必要があります。
1級と2級のボイラー技士の試験は選択式だけで、記述試験や実技試験はありません。
勉強方法について
ボイラー技士試験の参考書は多数市販されており、独学でも勉強できます。
各科目の得点が40%以上という基準も定められているので、試験範囲を満遍なくカバーすることが重要です。
また、過去問も公開されているので、過去問を何度も解いて傾向をつかむのも良いでしょう。
それでも不安な場合は、日本ボイラー協会が主催する受験準備講習を利用すると心強いかもしれません。
また、民間の通信講座などもあるので、自分に合った勉強法を探してみましょう。
まとめ
ボイラーは日常生活に欠かせない機器であり、点検や修繕の必要性からボイラー技士の需要は高いと言えます。
2級資格であれば実務経験が無くても取得できるので、ぜひチャレンジしてみましょう。
合格率は5割以上と高く、独学でも努力すれば取得できます。
2級取得後は実務経験を重ねて1級や特級にも挑戦でき、スキルアップして仕事の幅を広げられるでしょう。