身近でないようで実は身近なものなのが法律・会計です。
法律によって色々なことが決定されているからこそ、過ごしやすい日常で保たれていますし、企業の会計がしっかりしているからこそ、経済はうまく循環しています。
今回は、そんな法律・会計に直接関わることができる国家資格を紹介していきます。
受験制限があるものや誰でも挑戦できるものなどさまざまです。
どんな資格があるか、早速チェックしていきましょう。
1. 司法書士
司法書士って?
司法書士とは、普段の生活に関係する法律事務の専門家です。
例えば、不動産登記や会社の登記、相続関連で裁判所に提出する書類の作成などがあります。
司法書士にしかできない不動産登記・商業登記の仕事をメインに、裁判所・法務局・簡易裁判所訴訟の代理なども担っているのです。
司法書士の仕事内容は?
司法書士の代表的な業務には、不動産登記・商業登記があります。
この業務は司法書士にしかできない独占業務となっており、司法書士のニーズが安定している理由の1です。
他には、供託の手続き代理や法務局などに提出する書類の作成業務なども行っていて、司法書士にできることや資格が活かせる業務がどんどん増えてきています。
資格取得後は司法書士事務所に就職をして経験を積み、独立開業を目指したり、一般企業の法務部などでも活躍できるでしょう。
登記の仕事は景気に関係なく需要が安定しているため、軌道に乗れば安定した収入が得られることも魅力です。
都会でのニーズが高い弁護士とは違い、司法書士は少額訴訟などの紛争解決をサポートできるため、地方でも高いニーズがあるのです。
司法書士になるには?
司法書士になるためには国家試験に合格しなくてはなりません。
学歴や経歴などの制限がないため誰でも受験可能ですが、合格率が低い国家資格の1つでもあるため、かなりの勉強が必要となります。
多くの人は仕事を続けながら司法書士の勉強をするので、通学講座・通信講座を利用して学習をするのが1番効率のいい方法です。
通学講座では、わからなかったところや不安な部分をすぐに質問して解決することができ、周りもみんな司法書士を目指しているため、モチベーションキープにも繋がるでしょう。
時間の融通がきくスクールも多いので、仕事と両立することに成功している人もたくさんいます。
また、通信講座では自分の好きな時間に学習ができるところがメリットです。
Webテキストや映像講義など効率的に学べる工夫が満載で、実際に、司法書士を目指している人の半数以上が通信講座を選択しています。
自分に合った学習方法を選び、司法書士の国家試験に臨みましょう。
2. 行政書士
行政書士って?
行政書士とは、官公署に提出するための申請書類などを作成し、手続きの代理を行ったり、そのための相談業務を行う国家資格です。
- 官公署に提出するための書類
- 権利義務に関する書類
- 事実証明に関する書類
特に、この3つは行政書士の独占業務となっているため、常にニーズが高い仕事になります。
合格率はかなり低い国家資格ですが、初めて行政書士について学ぶ人でも、専門の講座などを利用することで合格に近づけるでしょう。
行政書士の仕事内容は?
行政書士の主な仕事は、官公署などに提出する申請書類の作成・提出手続きの代行や相談業務などです。
公的な書類は複雑だったり煩雑であることが多く、一般の人では作成・提出が困難なことも多くあります。
そこで、プロである行政書士が代行することによって、利益や権利を守りながら適切な処理を行えるようになるのです。
例えば、今まで田畑だった場所を駐車場にしたいと考えている場合、実行する前に行政の許可を得なければなりません。
農業委員会などに提出する書類も必要となるため、ほとんどの場合でそのための書類作成・提出は行政書士に依頼することになります。
また、近年増えているのが外国人の配偶者を日本に呼ぶための、配偶者ビザや就労ビザなどに関する在留資格認定証明書の作成などの業務です。
日本で働く外国人が増加しているからこその仕事とも言えるでしょう。
行政書士になるには?
行政書士になるためには国家試験に合格しなければなりませんが、年齢や学歴などの条件がないため誰でも受験可能です。
独学で学習することも可能ですが、多くの人は通学講座や通信講座などを利用して学習を進めます。
独学だと半年~1年ほどの期間が必要ですが、通学・通信講座では最短4ヶ月で合格を目指せるという講座もあるので、早く資格を取得したいという人にもおすすめです。
また、試験を受けなくても、例外的に行政書士の国家資格を取得できる方法もあります。
弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の資格があれば、日本行政書士会連合会に登録すると行政書士の資格を取得できます。
また、公務員として行政事務の仕事に携わっていた場合、17年以上の経験があれば、この場合も試験無しで行政書士になることが可能です。
3. 社会保険労務士(社労士)
社会保険労務士って?
社会保険労務士とは、会社員が加入する社会保険や毎月支払う年金、企業には欠かせない労働管理を扱う人事や労務の専門家です。
労働管理や給料計算などを行う部署を設けている会社がほとんどですが、社会保険の加入手続きなども含めその業務を社労士にアウトソーシングしている企業も増えてきています。
企業と従業員の間に立ち、社会保障制度を円滑に活用できるようサポートを行うことが社会保険労務士の役割なのです。
社会保険労務士の仕事内容は?
社会保険労務士の仕事は、企業で言うと総務部の仕事です。
例えば、健康保険・厚生年金保険などの社会保険の手続きや、給与や賞与、退職金などに関する賃金についての業務などです。
他には採用・解雇・人事評価・賃金制度など、人事部としての仕事も行います。
社会保険の加入手続きなどは複雑ですし、その業務を怠ってしまうと、対象となっている人に迷惑をかけてしまいます。
プロである社労士にアウトソーシングした企業は、その分の労力をいつもの業務に集中させることができるのです。
社労士には独立開業する人も多く、資格を持っている人の約半数が開業しているという現状もあります。
例えば、中小企業の顧問として手続代行をして収入を安定させたり、年金や人員管理のコンサルティングとして仕事をしている社労士もいます。
社会保険労務士になるには?
社会保険労務士になるには国家試験に合格した後、実務経験を積むか講習を受ける必要があります。
受験資格としては短大・高専卒業以上などが定められていますが、一部専門学校も認められるのでよく確認しておきましょう。
その他にも、社労士事務所や弁護士法人などで3年以上実務経験がある場合なども受験することが可能です。
試験勉強にはほとんどの人が通信講座などを利用しており、最短5~6ヶ月で受験に臨むことができます。
講座によっては、空き時間を上手く活用できるよう、スマホやタブレットで教材を見ることができるところもあるのでおすすめです。
試験に合格すると、実務経験を満たすか事務指定講習を受講することで、社会保険労務士として活動ができるようになります。
実務経験の場合は2年以上の期間が必要ですが、この期間は資格取得の前後どちらでも大丈夫です。
実務経験がない場合は、事務指定講習を受講します。
4ヶ月間の通信課程、4日間の面接指導過程の両方をクリアすることで晴れて社会保険労務士になることができます。
4. 公認会計士
公認会計士って?
公認会計士とは、専門家の立場から企業の財務情報を監査し、その正しさを保証する役割を持ったお金の専門家です。
企業が公正な経済活動を行ったり、社会が健全に発展していけるよう、サポートをしていきます。
その恩恵を受けているのは企業だけではなく、株を扱う投資家も、公認会計士が独立した立場で監査を行うことにより、安心して投資を行うことができるのです。
経済活動が行われているところならどこでも活躍することができるため、海外で活躍している公認会計士もいます。
男女関係なく活躍できるのも魅力の職業です。
公認会計士の仕事内容は?
公認会計士は監査法人に所属する人がほとんどで、企業の会計処理・会計記録・計算書類・財務諸表などの監査を行います。
特に、大企業や上場している企業は監査が義務となっており、監査は公認会計士にしかできない業務なので一定のニーズがあります。
また、大手監査法人で経験を積み、キャリアを形成した後に独立開業している公認会計士も多いです。
公認会計士としてだけではなく、企業コンサルタントや税理士の資格を一緒に取得して活かしている人もいます。
お金のプロだからこそ、経営者としての活躍も期待されているのです。
公認会計士になるには?
公認会計士の資格は、国家試験の合格と一定期間の実務経験、講習を受けることで取得できます。
国家試験に学歴や年齢の制限はないため、誰でも取得可能です。
気になる試験ですが、知識確認の短答式試験と、課題を解決するための論文式試験の2つで構成されています。
短答式試験は一度合格すると、申請することで2年間は短答式試験免除となります。
一方で論文試験は、必須課目4つと選択科目1つの合計5科目です。
この試験は3日間かけて行われ、一部の科目のみでも合格が認められれば該当する科目は2年間免除となります。
このような一部合格制度を上手く活用し、合格を目指すのが理想です。
全ての試験に合格した後は、2年間の実務経験と実務補習を受け、修了考査に合格すると公認会計士の登録ができるようになります。
試験に合格しても、2年以上の期間が必要となるため、実際に公認会計士になるまでにはかなりの時間がかかるでしょう。
5. 税理士
税理士って?
税理士は、企業・個人事業者・財産の所有者が税金の申告をするためのサポートをする税金の専門家です。
税金にはそれぞれ計算方法や申告期限、納付期限など、細かく法律で定められており、どの税金はどのように計算していつまでに納付するのかわからなくなってしまいます。
期限までに正しく納付するために、専門的な立場からアドバイスをすることで、納税者だけではなく国からも感謝される立場なのです。
税理士の仕事内容は?
税理士のメイン業務は、税務業務・会計業務・コンサルティング業務と、大きく3つに分かれています。
特に税務業務は確定申告などの税務代理を行うこともあり、税理士の独占業務となっています。
税理士は独立開業して個人の事務所を構えている人がほとんどです。
他にも、税務コンサルタントや企業内税理士、国際派税理士など、税理士の資格は幅広く役立つでしょう。
税と言ってもさまざまで、税理士にもそれぞれ得意分野があり、例えば所得税に強い税理士、法人税に強い税理士などです。
実際に税理士に依頼する場合は、どの税に強い税理士かどうかを確認し、目的と得意分野が合致した税理士を選ぶことになります。
税理士になるには?
税理士の試験には受験資格があり、これをクリアしていないと試験を受けることはできません。
短大・大学などで、法律または経済学に属する科目を1つ以上履修し卒業していれば受験することが可能です。
自分がどの科目を履修していたか忘れてしまった場合は、卒業した大学で取得した単位の一覧を取り寄せてみましょう。
学歴以外も受験資格では、司法試験に合格している、公認会計士試験短答式試験に合格している、日商簿記1級に合格しているなどがあります。
職歴は、銀行・信託会社・保険会社など資金の貸付・運用に関係する事務をしていた、税理士・弁護士・公認会計士などの補助をしていた場合などで、いずれも2年以上の経験が必要です。
この条件の中で、どれか1つでも満たしていれば税理士の試験を受けられます。
例えば日商簿記1級を取得している高卒の人でも、受験資格はあるということです。
以外と条件が厳しいように見えますが、これから目指して行くことも十分に可能です。
まとめ
法律・会計などは身近なものですが専門知識がないとスムーズに手続きを済ませることはできません。
そのために、専門家としての国家資格取得者がいます。
自分のためだけではなく、サポートする立場になることでより働き甲斐もありますし、感謝もされるので、仕事のモチベーションも高まるでしょう。
法律・会計で困っている人に、手を差し伸べることができる働き方はなかなかできません。
気になる資格があったら、是非チェックしてみてください。