幼稚園の先生や学校の先生など、身近な教育の国家資格はたくさんあります。
それに、どの資格も人気が高いため、志望している人はたくさんいます。
そもそも、教育・教諭に関連している国家資格にはどんなものがあるのでしょうか。
仕事内容や取得方法も合わせてチェックしていきましょう。
1. 幼稚園教諭
幼稚園教諭って?
幼稚園の先生として馴染み深いのが幼稚園教諭です。
保育士と何が違うのかと言うと、幼稚園は教育の分野、保育園は福祉の分野であるため、教育者として働くか福祉の分野で働くのかということです。
幼稚園教諭の免許には、2種免許状・1種免許状・専修免許状の3種類があり、どの学校を卒業したかで取得できる免許が変わります。
幼稚園教諭の仕事内容は?
幼稚園教諭の仕事は、満3歳~小学校入学までの園児の教育です。
一緒に遊ぶのはもちろんですが、子どもたちが自分の力で色々なことができるように指導も行います。
幼稚園ごとに、文部科学省の「幼稚園教育要領」に基づいた独自のカリキュラムがあります。
それぞれの幼稚園で重視している内容は異なりますが、そのカリキュラムに合わせた指導・教育が行われているのです。
例えば、スポーツの基礎を身につけるために体づくりを行う幼稚園や、もうすぐ小学校に上がる年長さんには簡単な文字の読み書きや計算を教えて準備を行う幼稚園もあります。
子どもの小学校入学前の時期を利用し、集団生活の基礎を身につけさせ、一人ひとりの個性を引き出す役割があるのです。
教育・指導以外にも、子どもたちの健康チェックや安全の確認、保護者とのコミュニケーション・同僚のサポートなど、教育以外の仕事も行います。
幼稚園教諭になるには?
幼稚園教諭免許状を取得するには、専門学校・短大・大学で学ぶ必要があります。
この時点で高校卒業が必須になるため、高校を卒業するか高卒認定の取得をしなければなりません。
2種免許状・1種免許状・専修免許状の違いは、どの学校を卒業したかで決定します。
2種免許状は専門学校・短大、1種免許状は4年制大学、専修免許状は大学院を卒業した場合となっています。
短大の場合は、卒業後に1種の免許を取得でき、4年制大学の学位を取得できる専攻科を設置しているところもあります。
ただ幼稚園教諭になるだけならどれでも問題なく、できる業務の違いもありません。
ですが、1種免許状・専修免許状の取得者の方が責任者の立場になったり、園長へと昇進することが多く、給料も高い傾向にあります。
ほとんどの幼稚園教諭が2種免許を所持していますが、自分がどのようにキャリアを重ねていきたいかを考えた上でどの免許の取得がいいかを考えましょう。
2. 小学校教諭
小学校教諭って?
小学校教諭とは小学校の先生のことです。
公立の小学校に就職する場合は、教員免許を取得後、教員採用試験に合格することで正規の職員になることができます。
小学校にいる先生は全員採用試験に合格した先生に思えますが、中には正規の職員ではない講師もいます。
講師の場合は、音楽のみ、家庭科のみなど指導する科目が限定されたり、正規職員のサポートに回ることもあります。
小学校教諭の仕事内容は?
小学校教諭は、子ども達に勉強を教えるだけでなく、子どもの情操・道徳心など、心と体を育む役割を担っています。
小学校6年間は子どもから大人へと少しずつ変化していく時期であるため、その時期に指導を行うことは責任重大と言えるでしょう。
子どもと同じ目線でコミュニケーションを取ったり、適切な指導を行うことはもちろんですが、同僚教師や保護者とも円滑なコミュニケーションを取り、信頼されることがベストです。
学校内での仕事だけではなく、地域の行事に参加するなど、社会貢献の役割も果たしています。
小学校教諭になるには?
小学校教諭になるためには、まず小学校教員免許状の取得が必要です。
高校卒業後などに教員免許を取ることができる大学へ進学し、規定の教育課程を修了することが一般的な方法になります。
また、小学校教員免許状には、大学で取得できる1種免許状、短大で取得できる2種免許状、大学院で取得できる専修免許状があります。
ほとんどの教員は1種免許状を取得しており、最も一般的です。
教員免許を取得しただけでは教員になることはできません。
公立小学校に就職を目指す場合は各自治体が年1回実施する教員採用試験に合格して、晴れて小学校の教員となることができるのです。
私立の小学校の場合は各校独自で採用試験を実施しています。
ここ数年は団塊世代の引退により採用数が増え、相対的に見て難易度が少し下がっているようです。
3. 高等学校教諭
高等学校教諭って?
高校で教壇に立つ教師が高等学校教諭です。
高校での学習内容は専門性が高いため、専門知識を持つ教師が教科担当として授業を行います。
全員が同じ授業を受ける中学校までとは違い、自分の在籍している学科のカリキュラムに沿った授業を受けることになります。
商業科や工業科など、数学や英語とは違う科目の先生になれるのも高等学校教諭の魅力です。
また、クラス担任も受け持ちますし、部活動や進路指導など、幅広い生徒の学校生活に寄り添う存在です。
高等学校教諭の仕事内容は?
高等学校教諭の仕事は、自分の専門の科目の授業を生徒に行うことです。
高等学校の授業科目は学校によりかなり違うため、色々な科目の先生がいます。
授業以外にも、クラスを受け持っていればクラス担任としての仕事も含まれ、学校生活のサポートや保護者との連携など、生徒を支える役割があるのです。
他には、学校行事の運営やクラブ活動の顧問、進路指導など、授業以外にも色々なことを行います。
小学校・中学校のように昼間学校に通う全日制の高校以外にも、定時制や通信制など、様々な形態の高校があります。
学校によって、生徒だけではなく先生もかなりやることが違ってくるのです。
高等学校教諭になるには?
高等学校教諭になるには、教員免許の取得と採用試験という大きく2ステップがあります。
教員免許を取る
教員免許取得のためには、教職課程のある大学に進学し、教職課程を修了することが必要になります。
高校教員普通免許状は、大学で取得できる1種免許状、大学院で取得できる専修免許状の2種類があります。
小学校・中学校の先生のように、短大で取得できる2種免許状は存在しません。
そのため、大学進学が必須になるのです。
また、高等学校教諭の免許は教科別となっています。
どの科目を担当したいか決めておくことはもちろんですが、自分の在籍している大学・進学予定の大学ではどの科目の教員免許が取得できるかを確認しておきましょう。
大学によっては、複数の科目の免許を取得できることもありますし、中には中学校・高校の両方の免許を取得するという人もいます。
採用試験を受ける
免許を取得しただけでは高等学校教諭にはなれないため、教員採用試験を受けなくてはなりません。
公立高校に就職する場合は各自治体で実施される教員採用候補者試験、私立高校の場合は各高校で実施される教員採用試験を受験します。
合格したら晴れて高等学校教諭になることができるのです。
採用状況について
都市部と地方で採用枠の差が激しくなっています。
人口が多いため教員採用数が多い都市部の倍率が低く、子どもが少なくなってきている地方の倍率が高いという傾向があります。
私立高校の場合も同じで、都市部には私立高校がたくさんありますが、地方には市内や学区内に私立高校が1校だけ、もしくは1校もないという状況も全くおかしくありません。
狭き門であると言っても過言ではないのです。
4. 養護教諭
養護教諭って?
どの学校にも必ず1人はいる、保健室の先生と呼ばれているのが養護教諭です。
主に保健室で、子どもたちの健康管理や維持、保健指導、ケガや発熱の際には救急処置も行います。
それだけではなく、心が疲れてしまった子のためにはカウンセラーとしての役割も果たす、子どもの心と体に寄り添う仕事です。
養護教諭の仕事内容は?
養護教諭は、保健室をメインに活動をしており、子どもたちの健康管理を行います。
ただ、ほとんどの学校では1つの学校に1人の養護教諭の配置となっているため、1人でたくさんの生徒の健康管理や環境衛生の実態を把握しなければならないのです。
怪我や病気の応急処置なども行いますが、治療行為はしてはいけないため、深刻な症状である場合は救急車を呼んだり、保護者に連絡してから病院へ連れて行くこともあります。
他の先生や保護者との連携が重要にもなる職業なのです。
働くことになる学校は、公立・私立の小学校・中学校・高校だけではなく、盲学校・聾学校・養護学校・幼稚園なども当てはまります。
資格を取得していても、健康関連・医療系・福祉系などの企業に就職し、その知識を発揮している人も多くいます。
養護教諭になるには?
養護教諭になるには、文部科学省指定の養成機関で所定の単位を履修し、国家資格を取得します。
その後、公立の学校の場合は各都道府県の教員採用試験を、私立の場合は各学校の教員採用試験を受け、合格すると晴れて養護教諭になれるのです。
養成機関には、専門学校・短大・大学・大学院があります。
教育学部・家政学部などで取得できますが、専門学校・短大には養護教諭になるための学科を設置しているところもあります。
また、現在増えているのが、看護師と養護教諭の両方の資格を取得できる看護学部です。
看護学部の中でも、養護教諭養成課程のある大学なら所定の単位を取得することで看護師と養護教諭の両方の資格取得ができます。
かなり狭き門である養護教諭ですが、そのぶんやりがいは大きいでしょう。
5. 図書館司書
図書館司書って?
図書館司書とは、図書館にいる本の貸出などの業務をしている人のことです。
貸出の他にも、図書資料の選択・発注・保管など、図書館を運営する上で大切な業務を担っています。
自治体の運営する図書館や、学校などの教育機関の図書館が仕事場となります。
図書館司書の仕事内容は?
図書館司書の仕事内容は、本の貸出・返却対応だけではなく、本の購入・管理、イベント開催など、図書館での業務全般を行います。
利用者からの質問に応じて本の場所を教えたり、おすすめの本を選んだり、図書館に入れて欲しい本をリクエストを受け付けたりします。
図書館にある本は分類されており、本が返却された場合はその分類に従って片付けなどを行います。
新しく入ってきた本は、傷まないようカバーをかけ、データを登録して貸出できるように準備も行い、たくさん貸出・返却をして傷んだ本は修理まで担当します。
図書館のイベントを企画するのも図書館司書の仕事です。
例えば、子どもに読み聞かせの会を行ったり、自治体の乳児健診の際に無料で絵本を配ったり、大人には映画の上映会や講演会、古本市などを行います。
季節に合わせて特設コーナーを作ったり、移動図書館の運営や広報活動など、図書館司書には図書館の利用者が楽しんでもらうための仕事がたくさんあるのです。
図書館司書になるには?
図書館司書になるための一般的なルートは、短大や大学で必要な科目を履修して取得して取得することです。
他には、司書講習を受講する・図書館司書の資格が取得できる大学などの科目等履修生となって、図書館司書の資格を取得するという方法もあります。
短大・大学に進学する場合は、文学部などに進学すると図書館司書の資格が取得できることが多いですが、どの学校でも資格取得ができるわけではないので事前に調べておきましょう。
すでに社会人である場合におすすめなのが、講習や科目履修生となって資格を取得する方法です。
科目履修生なら最短1年で資格取得が目指すことができ、通信制の大学・短大で資格取得をすれば、学位も取得できます。
すでに図書館で勤務をしている場合は、3年以上司書補として勤務し、司書講習を受講・修了することでも資格取得することが可能です。
色々な方法で資格取得ができるため、社会人でも資格取得が目指しやすいでしょう。
まとめ
教育・教諭の仕事には、対象となる子どもや生徒などの将来を育てる責任があります。
そのため、大学などの専門養成機関を卒業して国家試験や採用試験を受けなければならないのです。
子どもが好き、教えることが好きな人はやりがいを感じる仕事ですし、充実した日々になること間違いなしでしょう。
興味のある資格があれば、自分に合った取得方法をチェックしてみてください。