移動式クレーン運転士の資格を取得すると、さまざまなクレーン車を運転することができます。
具体的にどのようなクレーン車が運転できるのか、免許を取得するためにはどのような方法があるのかしっかりと理解し、自分に合ったやり方を探してみましょう。
資格を取得して活躍できる職場や、向いている人についても解説しています。
移動式クレーン運転士とは?
区分 | 国家資格 |
---|---|
カテゴリ | 建設 |
受験資格 | 無し (免許交付は18歳以上) |
試験日程 | 約2ヶ月に1回 |
試験方法 | 学科試験・実技試験 |
試験会場 | 北海道・宮城・千葉 愛知・兵庫・広島・福岡 |
受験料 | 筆記試験:8,800円 実技試験:14,000円 |
登録・更新 | 無し |
難易度 | |
おすすめな人 | 社会人 |
まず、移動式クレーンとは何なのでしょうか。
クレーンにはいろいろな種類があり、それを操作するための資格や免許も多様です。
移動式クレーンとは、クレーン自体が不特定多数の場所に移動することができるものです。
「クレーン車」と聞いてぱっと思い浮かぶ形をイメージするといいでしょう。
移動式ではないクレーンとしては、工場の天上に設置されている天上クレーンや、床やラックに取り付けられたレール上を移動するスタッカークレーンなどがあります。
移動式クレーンの主な仕事は「荷物を吊り上げる」「吊り上げた荷物を運搬する」ことです。
国家資格の1つ
移動式クレーン運転士は、労働安全衛生法によって定められた国家資格の1つで、移動式クレーン運転士免許試験に合格し、免許の交付を受けた人のことを言います。
吊り上げ荷重が5トン以上の場合この免許が必要になります。
- 吊り上げ荷重が1トン以上5トン未満の場合:小型移動式クレーン運転技術講習
- 1トン未満の場合:移動式クレーンの運動業務特別教育
という別の講習も存在します。
また、移動式クレーン運転士の免許を取れば、それに関する業務が全て行える訳ではありません。
クレーンのフックに荷物の掛け外しをするためには「玉掛け技能講習」を修了する必要がありますし、クレーン車で公道を走るためにはクレーン車の大きさに応じた運転免許が必要になります。
必要に応じて取得しましょう。
移動式クレーン運転士を取得するには?
基本は自動車と同じ
移動式クレーン運転士の免許を取得するためには、学科と実技の試験に合格し、各都道府県労働局長から免許を受ける必要があります。
通常の自動車教習所と同様に、座学と学科を教える指定教習機関があるため、そこを利用するのが一般的です。
教習所内で行われる実技修了試験に合格すると、試験場での実技試験は免除されます。
そのため、試験所で学科試験に合格さえすれば、免許を取得することが可能です。
教習所であれば受験の手続きもやってくれるところが多いため、自分でやるべきことは最小限で済みます。
学科は独学も可能
学科は独学で勉強し、実技だけ教習所で習うという方法もあります。
学科試験は参考書や試験対策本が普通の書店でも販売されているため、独学でクリアするのは十分可能です。
この方法で受験する場合、
- 試験場で学科試験に合格
- 指定教習機関で実技教習を受ける
- 教習機関の修了試験に合格
すれば、晴れて免許取得となります。
教習所で習うのは実技だけになるので、教習費用が割安になるのがメリットです。
反面自力で学科をクリアする必要があるので、座学が苦手な人には向いていないかもしれません。
試験場で一度に済ませる
学科と実技を一度に試験場で受験するという方法も可能です。
流石に未経験者がいきなり移動式クレーンの実技試験に合格するのはかなり厳しいですが、既に小型移動式クレーンなどの実務経験があれば可能です。
費用が受験料だけで済むので、トータルでかかる費用はもっとも安く済みます。
教育訓練給付金も利用しよう
できるだけ費用をかけずに移動式クレーン運転士の免許が取りたいのであれば、「教育訓練給付制度」を利用するのがおすすめです。
国が労働者のキャリアアップを支援するための制度で、教習後に申請すると受講料の2割を給付してもらうことができます。
制度の利用をアドバイスしてくれる教習所もあるので、聞いてみるといいでしょう。
移動式クレーン運転士の難易度は?
【学科試験】
時期 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2022年 | 5,188人 | 63.0% |
2021年 | 5,519人 | 63.0% |
2020年 | 5,359人 | 64.7% |
【学科試験】
時期 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2022年 | 467人 | 67.0% |
2021年 | 478人 | 64.0% |
2020年 | 483人 | 61.5% |
移動式クレーン運転士の資格には学歴や資格、年齢などの制限がなく、誰でも受験することができます。
ただし18歳未満の場合、18歳になるまでは免許が交付されません。
移動式クレーン運転士の筆記試験は複数の科目に分かれており、全体の6割以上、各科目4割以上の得点が必要になります。
実技試験は減点の合計が40点以下で合格です。
近年の筆記試験の合格率は6割5分程度、実技試験の合格率は6割程度となっています。
筆記は高校卒業程度の知識で十分なので、それほど難しいものではありません。
実技も教習所で講習を受けていれば、十分合格できるものです。
移動式クレーン運転士を活かせる業界は?
移動式クレーン運転士の資格を取得すると、工事現場や建設現場、工場や倉庫といった重量物を扱う場所で働くことができます。
造園作業や看板の設置運搬なども移動式クレーン運転士が活躍できる職場です。
採用に関しては実務経験者が優先される傾向がありますが、未経験者でも積極的に採用している職場ももちろんあるので、研修の充実度なども加味しながら働く場所を探してみましょう。
移動式クレーン運転士はこんな人におすすめ!
現場で働いている人
既に建築現場や土木作業現場などクレーンが活躍している職場で働いていて、キャリアアップを考えているという人に向いている資格と言えるでしょう。
職場にもよりますが、クレーン免許を取るとできることが増えるため給料アップも見込めるでしょう。
また、クレーン操作は大きなものを持ち上げたり、大きな建造物の建設に関わることが多いため、大きな達成感を味わうことができます。
達成感は仕事のやりがいにも繋がるので、気持ちにハリを持たせながら働きたい人にも向いています。
車や機械が好きな人
クレーン車は車の一種なので、車の運転が好きだという人にもおすすめです。
特に大きな車を運転するのが好きな人は就いていて楽しい仕事ではないでしょうか。
また、クレーン操作があるため、機械操作が好きな人は楽しみながら仕事をすることができます。
早起きが得意な人
一点見落とされがちなのが、早起きが得意という人です。
現場は8時に始まるところが多く、それまでにクレーン車を移動させておかなければなりません。
家から車庫、車庫から現場までの距離を考えるとかなり早くから働かなければならない状況もあるでしょう。
そんなときは、朝すんなり起きられる人の方が手早く仕事に取りかかれるのです。
いろいろな職場で活躍しよう
移動式クレーン運転士の免許を取得すれば、クレーンを操作して大きなものや重いものを動かすことができるようになります。
工事現場や建築現場などで活躍したい、キャリアアップしたいと考えているなら、目指してみるといいでしょう。
教習所に通うときは、自分が通いやすい、勉強しやすいやり方を考えて、上手に利用することが大切です。