建築現場や解体作業には、足場づくりが欠かせません。
ですが、労働安全衛生法などによる規定があり、一定の足場の組み立てには「足場の組立て等作業主任者」の資格が必要です。
この資格はどのようにすれば取得できるのでしょうか。
この記事では「足場の組立て等作業主任者」の資格について解説しています。
難易度やメリット、資格が活かせる業界などをみていきましょう。
足場の組立て等作業主任者とは?
区分 | 国家資格 |
---|---|
カテゴリ | 建設 |
受験資格 | ・実務経験3年以上 ・大学、高専等で専門科目を学び実務経験2年以上 |
試験日程 | 都道府県ごとに異なる |
試験方法 | 筆記試験 |
試験会場 | 全国各地 |
受験料 | 10,000円程度(受験地により異なる) |
登録・更新 | なし |
難易度 | |
おすすめな人 | 社会人 |
「足場の組立て等作業主任者」とは、労働安全衛生法で定められている国家資格です。
足場の組み立てや解体は危険性が高く、労働者や建築物などに損傷を与えるリスクがとても高い作業です。
そのため、一定の足場を作る際には、「足場の組立て等作業主任者」の資格保有者が作業を指揮するように定められました。
この資格は足場作りが求められる現場では必須の資格となっています。
足場とはどういうものを指すのか
建設現場や工事現場において、建物の建設やメンテナンスのための作業用仮設構造物のことを「足場」と呼びます。
足場は高所作業によく用いられることもあり、作業員のみならず、周囲の安全にも配慮した構造でなければなりません。
そのため、安全衛生規則によって仕様が決まっています。
手すりや防網などの設置が必須とされ、それによって作業員の転落や物の落下を防ぐようになっています。
足場の組立て等作業主任者が必要な足場とは
足場の組立て等作業主任者の選任が必要な足場もしくは足場作業とは、ゴンドラのつり足場を除く
- つり足場
- 張出し足場
- 高さが5メートル以上の構造の足場
の組立て、解体または変更の作業です(労働安全衛生施行令第6条15号)。
なお、足場作業をする者には「足場の組み立て等の業務特別教育」の受講が義務付けられています。
どんな業界で活かせる資格なのか
足場の組立て等作業主任者という資格はその性質上、建物の建築やメンテナンス、あるいは工事をする仕事と、非常に相性が良いといえます。
活かせる業界としては、建築業界や住宅設備業界あるいはプラント業界に向いています。
このほか、プラントや倉庫などの建築物を保有していて、自社でメンテナンスをしている企業であれば、業界を問わず資格を有効に活かせるでしょう。
足場の組立て等作業主任者を取得するメリットは?
足場の組立て等作業主任者の資格は、足場作業についての経験が十分にないと取得することができません。
また、足場作業には欠かせない資格です。
これらのことを踏まえると、資格取得によって次のようなメリットが期待できるでしょう。
職場での待遇がよくなる
足場の組立て等作業主任者がいなければ足場作業ができないため、資格取得者は重要な人員として数えられるようになります。
それによって、給与などの待遇がよくなるでしょう。
なお、資格取得によって足場の現場を指示できるようになれば、頼りがいのある人材として、現場監督や施主から信頼されやすくなります。
現場人員の安全を守れる
足場の組立て等作業主任者の資格取得を目指せば、足場作業を安全かつ適切に行うための知識が身に付きます。
その知識を持っていれば、作業の危険から自分自身を守れるようになるでしょう。
また、足場作業を指示できるようになれば、不適切な作業によって起きる事故から労働者や周囲の人々を守ることができます。
スキルアップを目指せる
この資格を取得すれば仕事の幅が広がるため、スキルアップが期待できるでしょう。
なお、足場の組立て等作業主任者は、レベルアップを図るために「足場の組立て等作業主任者能力向上教育」という安全衛生教育を受講できます。
これによって、最新法令などを広く学べるようになります。
足場の組立て等作業主任者を取得するには?
この資格を取得するためには講習を受講して修了試験に合格する必要があります。
なお、講義は学科のみです。
受講資格
受講資格は「満18歳以上」に達した後に、以下の3つのどれかに該当していなければなりません。
1つ目は、足場作業に3年以上従事した経験があることです。
2つ目は、大学・高等専門学校・高等学校もしくは中等教育学校において、土木・建築・造船に関する学科を専攻した者で、2年以上足場作業に従事した者です。
学科を専攻していなくとも、それと同等以上の学力があると認められる者も含みます。
3つ目は、厚生労働大臣が認める者です。
受講を免除される者
「足場の組立等作業主任者技能講習」は、実務経験や所持している資格によって、A・B・Cコースに分かれ、講習が一部免除されます。
受験資格を有するだけの者はAコースを講習することになり、学科の免除はありません。
講習時間は13時間が予定されています。
Bコースの受講資格は、満20歳以上でかつ指定された訓練を修了している、足場作業に2年以上従事した者です。
もしくは、Aコースの受講資格がある者でとび1級もしくはとび2級の技能検定に合格している者です。
講習時間は3時間が予定されています。
Cコースの受講資格は、Aコースの受講資格と一定のとび科の職種に係る職業訓練指導員免許とを持つことが求められます(職業能力開発促進法第28条第1項、職業能力開発促進法施行規則別表第11)。受講時間は1.5時間です。
足場の組立て等作業主任者の難易度は?
「足場の組立て等作業主任者」は、労働安全衛生法に定められた国家資格ではありますが、取得の難易度は高くありません。
実技も必要がないので、現場作業における癖がとがめられて、試験を落とされるという心配もありません。
しかし、実際に足場作業に従事している必要があるので、取得には時間がかかります。
足場の組立て等作業主任者はこんな人におすすめ!
現場で働いている人
この資格は、建築や解体の現場で働く人なら、誰もが取得を目指した方がよい資格です。
資格取得によって仕事の範囲が広がるだけでなく、安全管理の知識が身に付くからです。
建築や解体の現場で数年仕事をして、これからキャリアアップを図りたいと考えている人には、最初のステップアップとしておすすめの資格といえるでしょう。
特に、一人親方を目指している人や、自分の会社を立ち上げようと思って働いている人は、必ず取得しておいた方がよい資格です。
建築・解体の経験がある人
足場の組立て等作業主任者資格は、以前に建築や解体の現場で働いた経験のある人にも最適です。
資格の取得要件に、足場作業に従事した期間があるためです。
3年以上経験があるなら、資格取得を目指すことをおすすめします。
この資格を持っていれば、新しい職場探しや現場復帰にとても役立つでしょう。
なかでも、子育てが安定して職場復帰を考えている女性は、ぜひ取得しておくべきです。
なぜなら、建設や解体の現場は、男性優位なことが多く、いまだに女性採用に積極的でない企業が少なくありません。
ですが、作業の指示や管理ができる有資格者は常に不足しています。
そのため、資格を持っているなら、性別を問わずに採用したいという企業が多いからです。
とび職の経験がある人
また、とび職として働いていた人なら、取得している資格によっては講習時間が短くなります。
BコースやCコースで受講ができる資格を持っている人は、取得に手間もかかりません。
資格で自分の価値を高めておけば、仕事を見つけやすくなるでしょう。
必須の資格だが難易度は高くない
足場の組立て等作業主任者資格は、建設や解体の現場における必須資格の1つです。
この資格を保有している者がいなければ、多くの足場作業ができなくなるからです。
しかし、資格取得の難易度はそれほど高くありません。
足場作業の従事期間さえ満たしていれば、資格取得に悩むことはないでしょう。
これからキャリアアップや職場復帰を目指す人は、取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。