航空整備士は、航空機の安全な航行を陰から支える重要な仕事です。
自分が整備した航空機が空へ飛び立って行く姿を眺めるのは、さぞ誇らしいことでしょう。
ここでは、航空整備士とはどのような仕事であるのか、また資格の取得方法や難易度、待遇面などについて詳しくご紹介します。
航空整備士を目指す人は、参考にしてください。
航空整備士とは?
区分 | 国家資格 |
---|---|
カテゴリ | 航空 |
受験資格 | 一等航空整備士:20歳以上・整備経験4年以上 一等航空運行整備士:18歳以上・整備経験2年以上 二等航空整備士:19歳以上・整備経験3年以上 二等航空運行整備士:18歳以上・整備経験2年以上 航空工場整備士:18歳以上・整備経験2年以上 |
試験日程 | 毎年7月・11月・3月 |
試験方法 | 学科試験・実地試験 |
試験会場 | 全国主要都市 |
受験料 | 学科試験:5,600円 実地試験:35,000〜50,000円程度(区分により異なる) |
登録・更新 | なし |
難易度 | |
おすすめな人 | 学生 社会人 |
航空整備士とは、名前の通り航空機を整備する仕事です。
航空機に使用されているパーツは何万個もあり、複雑な仕組みで構成されています。
それらのパーツのいくつかに不具合があれば事故につながるため、航空整備士は整備だけでなく点検や修理も行います。
また、整備する場所は機体部品のみに止まらず、機内のシートやギャレー設備など幅広い範囲に及びます。
なかでも、次の3つが航空整備士のメインの仕事となります。
ライン整備
ライン整備では、駐機場に駐機された航空機の整備・点検を行います。
フライト毎に目視や超音波・X線で点検を行い、整備士がゴーサインを出すまで航空機は運航することはできません。
駐機場から出発までの短時間に、スピーディーかつ正確に点検・整備を完了しなければなりません。
ドック整備
ドック整備では、格納庫内で定期的に保守整備・点検を行います。
航空機が一定期間航行したら、1ヶ月から2ヶ月ほどの長い時間をかけ、エンジンやコックピット車輪など、航空機全体の部品を整備・点検します。
ドック整備は長期間にわたるため、中だるみしないように集中力や忍耐力が必要です。
ショップ整備
ショップ整備では、エンジンやコンピューターなど航空機の頭脳を整備・点検します。
ショップ整備はライン整備やドック整備よりも深い知識が必要となるため、上位資格を取得している航空整備士のみが参与することができます。
航空整備士の取得方法は?
航空整備士になるには国家資格が必要です。
また、航空整備士の国家資格にはいくつかの種類があり、取得した資格によって業務範囲が異なります。
航空整備士の資格取得方法としては、次の2つがあります。
専門学校から資格取得を目指す
航空整備士の国家資格を受験するには、受験資格を満たす必要があります。
国土交通大臣から認定されている指定航空従事者養成施設や航空機整備訓練課程などの専門学校に通うと、受験資格が緩和されます。
また、航空専門学校に通えば、二等航空整備士や二等航空運航整備士の資格を在学中に取得できます。
大学から資格取得を目指す
航空整備コースや理工系学部のある四年制大学を卒業し、航空整備士の国家資格を目指すことができます。
四年制大学に行くメリットとしては、工学に関する深い知識を身につけられるほか、研究に携われるというメリットがあります。
航空整備士の難易度は?
航空整備士の国家資格は、一等航空整備士、一等航空運航整備士、二等航空整備士、二等航空運航整備士、航空工場整備士の5種類があります。
では、それぞれの資格の難易度についてみてみましょう。
一等航空整備士
一等航空整備士は大型旅客機の整備全般に携わることができる資格です。
実務経験を積んでからしか受験することができず、合格するためには仕事と勉強を両立しなければなりません。
合格率は20%程度と低く、難易度の高い資格といえます。
また、資格を取得すると一等航空運航整備士の仕事をこなすこともできます。
一等航空運航整備士
一等航空運航整備士は、大型旅客機のライン整備に携わることができる資格です。
合格率は20%ほどと低めですが、航空専門学校在学中に受験する場合の合格率はほぼ100%です。
二等航空整備士
二等航空整備士は小型から中型機の整備全般に携わることができる資格で、航空専門学校在学中に受験、もしくは航空系会社に就職して実務経験を積んでから受験する方法があります。
航空専門学校在学中に受験する場合の合格率はほぼ100%ですが、就職後に実務経験を積んで受験する場合は合格率は20%ほどと難易度が高くなります。
二等航空運航整備士
二等航空運航整備士は、小型から中型機のライン整備に携わることができる資格です。
航空専門学校在学中に受験する場合の合格率はほぼ100%ですが、就職後に実務経験を積んで受験する場合は合格率は20%ほどと難易度が高めです。
航空工場整備士
航空工場整備士は、航空機の部品の整備に携わることができる資格です。
合格率は低めですが、航空専門学校から受験する場合は試験対策も万全のため合格率が高くなります。
航空整備士の給料や待遇は?
資格を取得して航空整備士として働き始めたら、給料や待遇はどのようになるのでしょうか。
航空整備士の給料
航空整備士の給料の相場は年収400万円から600万円で、日本の平均年収よりも高めです。
大手企業では年収700万円以上のところもあるようです。
基本給+諸手当という給料方式となるのが一般的で、夜勤やシフト手当てで年収が高くなっています。
航空整備士の待遇
航空整備士の待遇は、就職した会社によって異なります。
航空整備士の仕事はシフト制で行われるため、シフト手当てや時間外手当が支給されます。
そのほかには、通勤手当や住宅手当、資格手当などです。
福利厚生が充実している会社も多く、社宅や独身寮が用意されているところがあるほか、自社の飛行機に家族も割引価格で乗れるなどの優遇もあります。
航空整備士は、満足度の高い待遇が受けられるのが一般的です。
航空整備士はこんな人におすすめ!
航空整備士には、次の3つのタイプの人が向いています。
責任感がある人
航空整備士は、間接的に人の命を預かる仕事です。
これぐらい大丈夫だろうと小さな不具合を放置しておくと、大きな事故を引き起こす可能性があります。
空での事故は、乗客は逃げ場がなく大きな犠牲者を出すリスクがあるからです。
そのため、航空整備士は責任を持って仕事を全うできる人におすすめです。
時間を厳守できる人
航空整備士は、航空機をスケジュール通りに飛ばすために時間を意識して業務を行うことが求められます。
特にライン整備は、限られた短い時間で整備を完了しなければなりません。
遅れると乗客のスケジュールにも支障をきたしてしまいます。
そのため、時間を守れる人に向いています。
努力を怠らない人
航空整備士として活躍するためには、色々な資格を取得する必要があります。
また、業務に関しても航空機の新しいシステムに関する知識を身につけるなど、常に新しい情報をインプットする必要があります。
航空整備士になったからと言ってその仕事に胡坐をかくのではなく、より深い知識を身につけるための努力をし続けられる人に向いています。
まとめ
航空整備士は男性の仕事というイメージがありますが、国家資格を取得すれば女性も活躍することができます。
体力を使う仕事なので、事務仕事よりもアクティブに体を動かしたい人にぴったりでしょう。
何か新しいことを始めたい、エキサイティングな仕事に転職したいという人は、航空整備士の資格を取得してみてはいかがでしょう。