エネルギー管理士とは?資格を取得するメリット・難易度・活かせる業界は?

地球環境に対する悪影響をできる限り減らすため、世界中で省エネが叫ばれています。

エネルギー自給率の低い日本では省エネ化の重要性が大きく、企業に対しても法律によって様々な義務づけが行われています。

そんな中注目されているのがエネルギー管理士という資格です。

エネルギーを管理するとは、具体的にどのような資格なのでしょうか。

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エネルギー管理士とは?

区分 国家資格
カテゴリ 電気・技術
受験資格 試験で取得:無し(免状交付は実務経験1年以上必要)
研修で取得:実務経験3年以上
試験日程 毎年8月
試験方法 筆記試験
試験会場 北海道・宮城県・東京都・愛知県
富山県・大阪府・広島県・香川県
福岡県・沖縄県
受験料 17,000円
登録・更新 合格後に要登録
難易度 3.0
おすすめな人 社会人

エネルギー管理士は、電気や熱エネルギーの使用量などを管理する国家資格です。

比較的新しく生まれた資格で、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(通称、省エネ法)」が2006年に改正されたことをきっかけに、熱管理士と電気管理士が一本化される形で生まれました。

エネルギーを使用する設備の維持管理や、エネルギー使用量の監視、使用効率化、現場指揮などを担う資格です。

日本のエネルギー事情が背景

エネルギー管理士が誕生した背景には、日本が立たされている厳しいエネルギー事情があります。

日本はエネルギー自給率が非常に低い国で、2018年のエネルギー自給率はわずか11.8%。

そのほとんどを海外からの輸入に頼っています。

ここがポイント!

しかし日々の生活に必要不可欠であるエネルギーを海外からの供給に頼りすぎることは、災害や国際情勢に生活を左右されることに繋がります。

限られた資源を無駄なく使うためには、エネルギーの節約が不可欠です。

そこで、特にエネルギー消費が大きい工場や大規模施設では、エネルギー使用量の管理が必要になるのです。

大規模な工場で活躍

エネルギー管理士の職場として多いのが、大規模な工場です。

製造業、鉱業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業の5業種の工場のうち、熱や電気の年間使用量が原油換算3,000kl以上ある場合は「第一種エネルギー管理指定工場」となります。

指定工場では、エネルギー使用量に応じてエネルギー管理士の有資格者を1~4人選任しなければなりません。

また、年間エネルギー使用量が1,500kl以上3,000kl未満の工場は「第二種エネルギー管理指定工場」となり、全ての業種を対象にエネルギー管理員を1人専任する必要があります。

エネルギー管理士を取得するメリットは?

エネルギー管理士の資格を取得するメリットの1つとして、仕事に困らなくなるというものがあります。

エネルギー管理士は将来的な需要が期待できる資格です。

エネルギーは現代人の生活とは切っても切り離せないものであり、世界規模で省エネ化が叫ばれている限り需要がなくなることはありません。

経済産業省も省エネ化を大きな柱に据えており、日本国内でも活躍の場は増えていくと見て良いでしょう。

エネルギー管理士の取得方法は?

エネルギー管理士は、一定の実務経験があれば取得を目指すことができる資格です。

年齢や学歴による制限もありません。

  • 独学で試験を受けて合格する
  • 研修を受けた後に修了試験に合格する

どちらかの方法で資格を取得することができます。

研修を受けて資格を取得する場合は、エネルギー使用合理化に関する実務経験を3年以上経ている必要があります。

試験分野は2つ

エネルギー管理士は、かつて存在した「熱管理士」と「電気管理士」が一本化された資格であり、その名残から「熱管理課目」と「電気管理課目」の2種類の受験科目があります。

ここがポイント!

どちらを選択しても両方の管理者になることができるので、単純に得意な方を選択するといいでしょう。

一般的に電気の方がやや難しいと言われていますが、普段従事している仕事内容や学生時代に学んでいたこと、既に取得している資格などによって個人差があります。

エネルギー管理士の難易度は?


【試験】

時期 受験者数 合格率
2023年 8,137人 37.8%
2022年 7,766人 33.9%
2021年 7,721人 32.1%

【研修(修了試験)】

時期 受験者数 合格率
2022年 924人 61.3%
2021年 920人 61.2%
2020年 868人 65.2%

一般財団法人省エネルギーセンターが公表しているデータによると、エネルギー管理士試験は6割以上の正解が合格ラインと言われています。

合格者数に制限が設けられている訳ではないので、6割を超えていれば合格することは可能です。

それでも、試験の合格率は3割程度を推移しているので、決して簡単な試験でないことが分かるでしょう。

年や試験科目によっては合格者数が例年を大きく下回ったこともあります。

エネルギー管理士を活かせる業界は?

エネルギー管理士は、指定工場5業種で必須の資格です。

具体的には自動車工場や電子機器工場、化粧品工場、食品工場など電気や石油エネルギーを多く消費する工場で活躍することができます。

エネルギーを多く使う事業は、エネルギーの使い方によってかかるコストが大きく変わります。

できるだけエネルギー使用量を節約することで企業としての利益を増やし、かつ地球環境への悪影響も減らすことができるため、エネルギー管理士の担う役割は大きいでしょう。

製造工場やインフラだけではなく、建設・設備業やビル、商業施設、病院、ホテルなどでもエネルギー管理士は活躍しています。

職種は大きく3つ

職種の面から見ると「保全・設備管理」「設計」「営業」の3つでエネルギー管理士が求められることになります。

保全・設備管理は言わずもがな、工場やプラント、ビルを安定操業するためには、熱や電気に関する知識が必須となります。

また、そうした建物は設計段階からエネルギーに関する知識が欠かせません。

設計の図面段階で電気や熱が問題なく流れていなくては、その後建物として建設し運営していくことができないからです。

そのため、建設やプラントエンジニアリング企業でもエネルギー管理士は求められています。

また、近年ではZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)など、化石燃料由来のエネルギー消費量がゼロという省エネ建物も登場しています。

今後はこうした新しい建物の維持管理でも活躍が期待されています。

営業先が製造、建設、インフラなどの場合、営業として働く上でもエネルギー管理士の知識が役に立ちます。

技術的な話ができる、コスト面などお金の話もこなせるというのは相手方に非常に良い印象を与えることができるからです。

エネルギー管理士はこんな人におすすめ!

エネルギー管理士は免状交付に実務経験が必須の資格なので、国家試験に合格するだけでは免許を得ることができません。

そのため、これからエネルギーに関する職場で働こうと思っている人、あるいは既に働いていてキャリアアップやスキルアップを考えている人に向いている資格と言えるでしょう。

学歴などの制限はないものの、熱分野と電気分野の2分野で構成されており、かつ理論的なことを多く問われるため、文系より理系、特に理工学の知識がある人に向いている資格とも言えるでしょう。

正確性も大事

仕事内容の面からもエネルギー管理士に向いている人を考えて見ましょう。

エネルギー管理士の仕事は、計画書や報告書の作成、建物の調査や検査などが主です。

そのため几帳面かつ正確性の高い仕事ができる人が向いています。

また、将来的な地球の環境について考えられる人、日々の生活を守ることを自覚しつつ仕事に取り組める人も、エネルギー管理士向きです。

これからの日本で注目される資格

現代人とエネルギーは切っても切り離せない関係であり、省エネは国が取り組み推進している事柄の1つです。

また、日本のエネルギー自給率が急に好転することもないでしょう。

そのため、省エネを推進するエネルギー管理士はこれからもますます需要が高まっていくと予想されています。

企業だけではなく社会に貢献できる重要な資格です。

記事の執筆者
LS編集部

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