妊娠中や出産後のお母さんを支援し、お母さんや赤ちゃんのサポートをする助産師は、多くが病院や診療所で働いています。
また、自治体の保健所など、働く場所はさまざまです。
この項目では助産師の仕事内容や助産師として働くメリット、助産師になるまでの流れや難易度を説明します。
また最後には助産師が向いている方についても解説します。
助産師とは?
区分 | 国家資格 |
---|---|
カテゴリ | 医療 |
受験資格 | ・4年制大学で看護師課程と助産師課程を修了 ・看護師資格取得後に助産師課程で1年以上学ぶ |
試験日程 | 毎年2月 |
試験方法 | 筆記試験 |
試験会場 | 全国各地 |
受験料 | 5,400円 |
登録・更新 | 合格後に要登録 (登録費用:90,000円) |
難易度 | |
おすすめな人 | 学生 社会人 |
助産師は妊娠中のお母さんの出産を助け、出産をしたお母さんや新生児の世話をする専門職です。
助産師の8割は病院あるいは診療所(クリニック)で働いています。
その他にも、助産院や都道府県・市区町村、教育機関等で働く方もいます。
分娩介助だけでなく、お母さんと赤ちゃんに対する生活指導や保健指導も助産師の仕事です。
例えば出産前には、食事や運動や出産に関する知識の指導を行います。
医療機関や自治体では「両親学級」を行っているところもありますが、その中で親になる心構えを伝えたり、相談に乗ったりします。
出産後にはお母さんと赤ちゃんの体調を管理するほか、母乳指導や赤ちゃんのおむつ替え、沐浴指導と、仕事内容はさまざまです。
助産師の中には、助産院を開業する方もいます。
ただし、助産師は医師ではないため、手術や麻酔をはじめとする医療行為ができません。
助産院で助産師が分娩介助をできるのは、経膣分娩が可能でお母さんも赤ちゃんも健康な場合だけです。
分娩時に何らかの異常が見られれば、医療機関に連絡を取り、場合によっては医療機関にお母さんや赤ちゃんを搬送することになります。
助産師のメリットは?
看護師よりも給料がよい
助産師は看護師免許を取得しないと資格を取得できないため、看護師よりも給料が高いケースが多いです。
看護師全体の年収の平均は約480万円ですが、助産師の場合約500万円と、月ベースで2~3万円程度多くなります。
働く場所が多くやりがいも大きい
助産師は看護師免許を取得しているため、看護師の仕事ができます。
医療機関は基本的に治療をするための場所ですが、産婦人科だけは感動や喜びに触れる機会が多く、特に生命の誕生の瞬間に立ち会えるのは医師と助産師だけです。
女性のライフイベントを支えられるという点で助産師を志望する方もいます。
希望の職場で働きやすい
出産件数は減っていますが、妊娠・出産がなくなることはありません。
助産師の数は全国で35,000人程度と人手不足の状態です。
そのため、希望する職場で働きやすいというメリットもあります。
自分が妊娠をしたときに理解を得られる
産婦人科で助産師として働いていると、自分が妊娠・出産をするときに周りの人からの理解を得やすいというメリットがあります。
また、復職後も育児する家庭の事情をある程度分かってもらえます。
仕事を続けやすいのが魅力です。
助産師の資格取得方法は?
助産師は法律で女性しかなれないと決まっています。
助産師になるには、看護師国家試験に合格してから助産師国家試験に合格しなければなりません。
助産師国家試験を受験するルートは大きく分けて2通りあります。
4年制大学で看護師課程と助産師課程を修了し、両方の国家試験を受ける
一つ目は、4年制の看護大学で看護師課程と助産師課程の両方を修了し、卒業前に看護師国家試験と助産師国家試験の両方を受けるルートです。
この場合、大学卒業と同時に看護師と助産師両方の免許を取得できます。
ただし、助産師課程のある看護大学は数が少ない上、助産師課程に進めるのは優秀な成績の人に限られています。
また、看護師国家試験に受からなかった場合、助産師国家試験に受かったとしても助産師の仕事はできません。
1年後、看護師国家試験を受験して合格をしてから助産師の登録申請をします。
看護師国家試験に受かってから、助産師課程に進む
助産師を目指す人の多くが、4年制大学や短大・専門学校で看護師課程を修了し、まず看護師の国家試験に挑戦します。
その後、助産師課程のある大学や短大等に1年間ないし2年間通って資格を取得します。
3年制の短大・専門学校の看護師課程で学べば最短4年で助産師の資格が取れます。
看護師国家試験に受かってから助産師課程に進むため、少しずつ学習を進められるメリットがあります。
助産師の難易度は?
受験者数 | 合格率 | |
---|---|---|
2023年 | 2,067人 | 95.6% |
2022年 | 2,089人 | 99.4% |
2021年 | 2,108人 | 99.6% |
2020年 | 2,105人 | 99.4% |
2019年 | 2,105人 | 99.6% |
2020年に実施された助産師国家試験では、受験者2105人に対し合格者は2093人で合格率は99%を超えました。
また、受験者の99%以上は新卒者で、助産師課程できちんと勉強をした方の多くが1回で合格していることが分かります。
合格率の推移を見ると、2023年以外のほかの年は99%台となっています。
看護師国家試験の合格者が90%前後で推移しているのと比べても、合格率は高くなっています。
ただし、数が圧倒的に少ないものの、既卒者の合格率は新卒者の合格率ほどは高くありません。
また、看護師の国家資格を取得してから新たに助産師課程に進む場合、助産師課程に入学するための入学試験が行われます。
助産師課程に入るための入試の倍率は3倍程度で推移していて、助産師課程の入試が狭き門となっています。
助産師課程への進学を希望する人は、看護師国家試験だけでなく助産師課程に入学するための勉強もしています。
助産師はこんな人におすすめ!
人に対して親身になれる人
お母さんや赤ちゃんに寄り添い、励ましたり時に相談に乗ったりする助産師には、お母さんへの共感力や傾聴力が求められます。
妊娠・出産期はホルモンバランスの変化や生活環境の変化から、お母さんはどうしても不安や疲れを感じがちになります。
お母さんに対し、親身に寄り添える力を持っている方は助産師に向いています。
体力がある人
出産はいつ始まるか分かりません。
忙しいときには出産が何件も立て込んでしまい、非常に体力を使います。
夜勤のときに出産が立て込むと、超過勤務が重なりなかなか休みがとれない場合もあります。
そのため助産師には忙しいときにも対応し続けられる方や、不規則な勤務でもコンディションを整えておける方が向いています。
メンタルが強い人
妊娠・出産期のお母さんの体ではさまざまなことが起きています。
また、産後のお母さんは夜に思ったように眠れず、疲れを感じています。
中には助産師にきつく当たってしまう方もいます。
そのような場合にも、お母さんの話に根気よく耳を傾け向き合うだけの精神的な強さが必要です。
また、産婦人科では流産・死産・中絶に立ち会う場面もあります。
そのような場合でも、悲しみを引きずらず切り替えていく力が求められています。
狭き門だがやりがいが大きい
助産師は看護師に比べると数が少ないですが、助産師課程に進むのが狭き門であることが分かります。
ただし、助産師課程の入試を乗り越える勤勉さや忍耐強さがあれば、助産師として活躍できるでしょう。
助産師は医療機関に勤めながら、感動の場面に立ち会うことができる職業です。
また、仕事を続けやすいなどのメリットもあります。