菓子職人になるのに資格は必須ではありません。
自分が作った菓子をお客さんに美味しく食べてもらうことで、やりがいや幸せを感じることもできます。
でも、目に見える形で自分の実力を認めてもらえたら仕事の幅が広がり、モチベーションも上がりますよね。
そんな一流を目指す菓子職人のためにできた国家資格が、菓子製造技能士です。
ここでは、菓子製造技能士の魅力や取得方法などについて紹介します。
菓子製造技能士とは?
区分 | 国家資格 |
---|---|
カテゴリ | 食品 |
受験資格 | 2級:製菓専門学校を卒業、もしくは2年以上の実務経験 1級:7年以上の実務経験 (条件により年数は異なる) |
試験日程 | 6月〜9月・12月〜2月の年2回 |
試験方法 | 学科試験・実技試験 |
試験会場 | 全国各地 |
受験料 | 20,000円程度(都道府県により異なる) |
登録・更新 | なし |
難易度 | |
おすすめな人 | 主婦 社会人 |
菓子製造技能士とは、菓子職人としての技術や知識を国から認められた人が取得できる国家資格の1つです。
洋菓子製造作業と和菓子製造作業の2種類があり、それぞれの菓子を製造するのに必要な技術・知識を持った人が対象となります。
実力に応じて2級と1級があり、1級は受験資格も試験内容も難易度が高めです。
職業能力開発促進法によって、菓子製造技能士資格を持っていない人が菓子製造技能士と名乗ることは禁止されています。
菓子製造技能士のメリットは?
評価が高い
この資格の1番のメリットは、信頼性と評価の高さです。
後述しますが、菓子製造技能士試験の合格率は50%程度と難易度が少し高めです。
さらに、1級を取得するには基本的に7年以上の実務経験が必須であるため、本当に実力がある菓子職人しか試験に挑戦することもできません。
憧れの菓子職人の仕事場で働きたい、高級ホテルのパティシエになりたい、そんな目標がある人はこの資格をとることで、面接の時に自分のスキルを明確に証明することができます。
この資格を持つことで必ず給与が上がる訳ではありませんが、職場によっては資格手当が出る可能性もあります。
スキルアップになる
また、難しい資格を習得することは必然的にスキルアップに繋がります。
自分の店を持つことを目指している人は、この資格を取れる程の腕前になることを目標にすることもお勧めです。
1級試験に合格するためには関係法規、安全衛生、食品一般に関する知識、材料などを数値で示せる力、見積もりなど菓子製造業者としての広い知識を身につける必要があります。
専門学校などで学ぶ内容も多いですが、実際に現場で働いていると生かす機会が少なく、忙しい日々に流されて忘れてしまう人もいるでしょう。
専門学校に通わずに菓子職人になった人は、学ぶ機会も少なかったかもしれません。
菓子を作る技術は勿論大切ですが、開業するためには法律や安全衛生を理解し、徹底しなければいけません。
美味しい菓子を作っても経営が上手くできなければお店を継続していくことは困難です。
菓子製造技能士の資格勉強をすることで、菓子職人としてだけではなくオーナーとしても成功するスキルを取得することができます。
学校に通わなくても目指せる
他にも、専門学校に通わなくても経験値を積めば受験できることもこの資格の良い点です。
学校に行くお金をかけられなかったり、時間がなかったりする人でも国家資格に挑戦ができます。
ただし、専門学校を卒業した方が早く受験資格を得ることができます。
他の資格にもつながる
別の資格試験を受ける時にも、菓子製造技能士を利用することができます。
1級に合格すると職業訓練指導員 (パン・菓子科)の実技試験と学科試験の関連学科が免除され、2級合格者は実技試験が免除されます。
製菓衛生師の資格を取得の際には、実技と製菓理論が免除されます。
要領良く様々な資格を取り、スキルアップや仕事先の幅を増やしたい人にメリットの大きい資格です。
菓子製造技能士の取得方法は?
菓子製造技能士を取得するには、各都道府県の職業能力開発協会が実施する資格試験に合格する必要があります。
資格試験は和菓子製造と洋菓子製造の2部門があり、それぞれ1級と2級に分かれています。
菓子製造技能士の試験を受けるためには、以下2つのうちいずれかの方法で受験資格を得る必要があります。
専門学校を卒業する
2級の受験資格は、厚生労働省が指定する専門学校を卒業することで得ることができます。
1級の受験資格は、専門学校を卒業後に6年以上の実務経験が必要です。
しかし、2級を取得していると2年以上の実務経験で受験可能になり、時間の短縮ができます。
現場で実務経験を積む
専門学校に通わなくても、ケーキ屋や和菓子屋などの製造の現場で実務経験を積んでから受験資格を得ることもできます。
2級の場合は2年以上の実務経験が、1級の場合は7年以上の実務経験が必要です。
最短ルートは専門学校
最短で1級を取得したい場合は、専門学校を卒業してすぐ2級を受験することをお勧めします。
ただし、通った学校の課程や授業時間によって必要な経験年数が変わるので、専門学校は慎重に選びましょう。
受験時には、各都道府県の受験要項をしっかり確認してください。
試験は学科と実技
試験は学科と実技があります。
学科はマークシート形式で、菓子作りの基礎知識から衛生管理や材料発注などの経営に必要な知識まで、様々な分野から出題されます。
実技は菓子作りの技術は勿論のこと、仕様書の理解度も評価の対象となります。
さらに1級では、製品検査や見積もりも行い、オーナー向けの知識も求められます。
実技と学科両方に合格する必要がありますが、どちらかだけを先に受験することもできます。
例えば学科に合格してから、実技を受験することも可能です。
製菓衛生師の資格を持っている場合、願書を出す時に申請すると一部の試験が免除されます。
菓子製造技能士の難易度は?
時期 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2020年 | 321人 | 52.3% |
2019年 | 370人 | 50.0% |
2018年 | 391人 | 58.3% |
2017年 | 392人 | 55.6% |
資格を取得するためには、筆記試験は100点満点中65点以上、実技試験は60点以上とることが条件です。
合格率も50%程度であることから、決して簡単な試験とは言えないでしょう。
学科試験は過去問題を繰り返し解いて、苦手を克服することが大切です。
テキストは一般的な本屋では取り扱っていませんが、日本菓子教育センターから購入することができます。
実技の問題は試験の1か月前に公表されます。
公表までは満遍なく練習しておき、公表されたら試験内容に集中して取り組んでおきましょう。
1人で受験対策をすることが不安な人は、卒業後も資格のサポートをしている専門学校に入学する方法もあります。
菓子製造技能士はこんな人におすすめ!
菓子製造技能士は、こんな人におすすめしたい資格です。
- 一流の菓子職人になりたい
- 菓子職人として高い技能が必要な職場に就職したい
- 菓子職人としてスキルアップしたい
- 自分のお店を持ちたい
- 仕事先や就職の幅を広げたい
資格が無くても菓子職人にはなれますが、一流の菓子職人を志す人は菓子製造技能士は取得しておくべきです。
高い技能が必要な職場でも、自分のお店を開業する場合でも信頼性とスキルを上げることができるからです。
また、この資格を利用することで、菓子製造業以外にも働き先を広げることができます。
まとめ
菓子職人になるために特別な資格は必要ありません。
しかし菓子製造技能士という特別な資格を持つと、国に認められた実力のある菓子職人だという証明になります。
受験資格が限定的で、決して簡単な試験内容ではありませんが、その分だけ信頼性がありスキルアップにもつながるでしょう。
菓子製造業界で活躍したい人にとってメリットが大きく、取得して損はない資格です。