工業系の仕事の中でも、人々の生活を支えているのが建築・施工・電気に関する仕事です。
そんな専門的な仕事のサポートをしてくれるのが資格です。
建築・施工・電気関係の資格の場合、実務経験が必要なものも多いため、自分の実力の証明にもなりますし、スキルアップ・キャリアアップにも繋がります。
そこで今回は、どんな資格があるのか詳しくご紹介していきます。
1. 建築士
建築士って?
建築士とは、建築物の設計・工事監理などを行う技術者です。
1級・2級・木造の3つの級位がある国家資格で、級によって扱うことができる建築物の規模が違ってきます。
1級は扱う建築物に制限が無いため、どんな建築物でも取り扱うことが可能です。
一方で、2級は戸建住宅程度の規模、木造は木造の建物のみに限られています。
スキルアップ・キャリアアップを目指すなら、1級の取得を目指すと良いでしょう。
大学で建築を学ぶことができるのはもちろんですが、高校でも建築科を設置しているところがあり、基礎を学ぶこともできます。
建築士の仕事内容は?
建築士の主な仕事は、建築物の設計と工事監理です。
1級建築士の場合、建築できる建物の制限がないため、小さな戸建てはもちろん、コンクリート構造の大型商業施設などの建築に関わることができます。
建築士として最上位の資格であるため、独立して個人事務所を構えている人も多くいます。
2級建築士の場合は、個人住宅程度の規模の木造・鉄筋・鉄骨の設計・工事監理に携わっています。
マイホームを建てたいと考えている場合、1級建築士でなくても大丈夫ということです。
木造建築士はコンクリートなどでできた建造物に関わることはできないため、木造建築の現場で活躍しています。
建築士になるには?
国家試験に合格して資格を取得した後、建築士名簿に登録することで建築士としての業務を行えるようになります。
試験にはそれぞれ学歴や実務経験などの受験資格が定められています。
木造・2級
木造建築士と2級建築士では、大学・短大・高専で指定の単位を取得することが必要です。
単位取得が高校・中等教育学校だった場合には、3年以上の実務経験も必要になります。
なお、指定の単位を取得していない場合は7年以上の実務経験、建築設備士の資格を取得している人は実務経験なしでも受験が可能です。
例えば建築を学べる工業大学を卒業した人は、実務経験無しで国家試験を受けられる可能性が高いです。
1級
1級建築士も指定単位の取得が必要ですが、木造・2級と大きく違うところは、学歴に加えて実務経験も求められることです。
例えば、大学で指定の単位を取得して卒業した場合は2年以上、2級建築士の資格を取得した場合は4年以上の実務経験が必要となります。
建築士の最上位の資格であるため多くの人が取得を目指しており、高校・大学に在籍しているうちから目指している人も多いです。
2. 建築施工管理技士
建築施工管理技士って?
建築施工管理技士とは、建築現場の管理者を務めるために必要な技術力・管理能力を証明する国家資格です。
資格を持っていることで、建築現場の主任・管理者として現場の監督業務を行うことができます。
建設現場のリーダーとして欠かせない資格なのです。
また、施工指導も行うことができ、技術者としての信頼がアップするため、社会的な評価だけではなく、施主・建築関係者からの信頼も抜群です。
建築施工管理技士の仕事内容は?
建築施工管理技士は主に建設会社・工務店などに勤務し、現場管理者・技術監督者の業務を行っています。
営業所ごとには専任技術者、工事現場ごとには主任技術者・監理技術者を置くことが法律で義務となっています。
その役割を果たすことができるのが、建築施工管理技士なのです。
また、建築施工管理技士の資格には2級と1級があり、それぞれできることの範囲が違います。
2級では小規模工事、1級では超高層ビルなどの大規模工事まで関わることが可能です。
建築施工管理技士になるには?
建築施工管理技士になるには、国家試験に合格しなくてはなりません。
2級
2級の国家試験を受けるには、学校を卒業してから規定の実務経験が必要になります。
例えば、大学を卒業してから受験する場合、実務経験は1年以上です。
短大・高専の場合は2年以上、高校卒業の場合は3年以上、中学卒業など当てはまらない場合は8年以上になります。
大学卒業の場合は実務経験の期間が短めであるため、受験までの敷居は低いでしょう。
1級
1級を受験する場合も学歴に合わせた実務経験が必要となります。
大学卒業の場合は3年以上、短大・高等専門学校の場合は5年以上、高校卒業の場合は10年以上、その他の場合は15年以上となっています。
また、2級を取得している場合は合格してから5年以上経過し、その期間内に監督的実務を1年以上含んでいることが条件です。
最短ルートは大学・短大・高専
最短ルートは大学・短大・高専を卒業して実務経験を積むパターンになります。
短大・高等専門学校の場合は長く感じますが、ストレートで卒業して就職した場合だと、大学卒業の場合と同じ年齢で受験することが可能です。
平成30年度に実施された試験の場合、合格率は2級が学科25.9%、実地25.2%、1級が学科36.6%、実地37.1%となっています。
どちらも決して高い数字とは言えませんが、毎日の学習に通信講座などを取り入れることによって合格に近づくことができるでしょう。
3. 土木施工管理技士
土木施工管理技士って?
土木施工管理技士は、土木工事の現場で安全と高い品質を確保するために全体を監督できることを証明する資格です。
工事の内容には、例えば河川・道路・橋などがありますが、そう考えるとかなり身近な存在であることがわかりますね。
建設業の企業・事務所では、受注している工事の規模に応じて土木施工管理技士1級もしくは2級の取得者の設置を義務づけています。
そのため、土木・建設業界ではかなり重要な資格の1つなのです。
土木施工管理技士の仕事内容は?
土木施工管理技士は1級と2級に分かれており、それぞれできることが違います。
2級を取得している場合は土木・鋼構造物塗装・薬液注入を行う工事で施工管理業務を行うことが可能です。
1級は上位の級であるため土木工場全般の監理が可能で、幅広い知識と確かな技術力が必要となり、現場での指導なども行います。
大規模な公共工事においては、1級土木施工管理技士の常駐が工事を行う上での条件になることも多く、その技術力が鍵となることも少なくありません。
土木施工管理技士になるには?
土木施工管理技士の国家試験は2級と1級いずれも受験資格が定められています。
2級
2級を取得するためには、指定の学科を卒業後、規定の実務経験が必要となります。
大学の場合は1年以上、短大・高等専門学校は2年以上、高校は3年以上、それ以外は8年以上となります。
指定の学科でなくても受験はできますが、その場合実務経験の年数が長くなります。
また、学科試験だけであれば、学歴に関係なく17歳以上なら誰でも受験可能です。
1級
1級の場合、更に実務経験の年数が長くなります。
大学・専門学校で高度専門士の学位を取得した場合は3年以上、短大・高等専門学校・専門学校で専門士を取得した場合は5年以上の実務経験が必要です。
また、2級を取得して5年以上の実務経験でも受験することができます。
取得を目指す場合は、大学や短大などで専門の勉強をすることはもちろんですが、自分での学習も重要です。
先に2級にチャレンジしてから取得するのも良いでしょう。
4. 管工事施工管理技士
管工事施工管理技士って?
建築物にはほとんどの場合「管」が通っています。
例えばガス配管・上下水道管など、生活をするのに管は必要ということがわかりますね。
この管に関する工事を管理・監督するのが管工事施工管理技士です。
住宅やビルなど様々な配管工事に関わっているのです。
管工事施工管理技士の仕事内容は?
管工事施工管理技士の主な仕事は、ガス配管・上下水道管・空調ダクトなどに関わる工事の管理・監督です。
施工計画の作成や工事の際の作業指示をしたり、品質・コスト・人材・進捗状況・安全の管理など、工事に関する様々なことを現場で行います。
また、工事に関係する人や業者と調整をし、円滑に工事を進められるようにします。
主に建設会社や配管工事会社で活躍していますが、最近増えているのがマンションメンテナンスのアウトソーシングです。
マンション管理会社でも、それだけ重要視されていると言えます。
管工事施工管理技士になるには?
管工事施工管理技士になるには、管工事施工管理技術検定試験に合格することが必要です。
指定学科を卒業しているという学歴に加え、実務経験があることが条件となります。
2級
2級を受験するには、大学・短大・高専・高校の指定学科を卒業している必要があります。
その上で実務経験が、大学は1年以上、短大・高専の場合は2年以上、高校の場合は3年以上です。
指定学科卒業ではない場合は実務経験の年数が長くなり、8年以上必要になります。
また、学科試験だけであれば学歴に関係なく17歳以上なら誰でも受験可能です。
1級
1級の場合は、さらに長い期間の実務経験が必要です。
大学・高度専門士の学位を取得して専門学校を卒業した場合は3年以上、短大・高等専門学校・専門士を取得して専門学校を卒業した場合は5年以上が条件になります。
高校・中等教育学校・その他の専門学校を卒業した場合は10年以上、その他の場合は15年以上の実務経験を積まなくてはなりません。
また、2級の取得者は実務経験無しに受験することが可能です。
5. 電気工事士
電気工事士って?
電気工事士とは、建物の電気設備の欠陥によって起こる感電や火災などの不慮の事故を防ぐため、電気工事に従事する資格です。
住宅だけではなく工場やオフィスが入っているビル、商業施設など、工事の対象となる建物はたくさんあります。
事故が起こらず、安全に過ごせることを保証する役割を果たしています。
電気工事士の仕事内容は?
電気工事士は第1種・第2種に分類されています。
第2種では、住宅・小規模店舗などで使用されている一般用電気工作物の工事に従事することができます。
一方で第1種は、2種の業務範囲に加え工場やビルなどの最大電力500kw未満の需要設備での電気工事に従事することが可能です。
また、1種の取得者が500kw未満の需要設備がある事業場に従事していて、事業主が手続きをして許可が出ることで電気主任技術者になることもできます。
電気工事士だけではなく、できることを増やすために電気工事施工管理技士の資格を取得し、電気工事施工計画の作成や現場の監理を行っている人も多いです。
電気工事士になるには?
電気工事士になるには、国家試験に合格しなければなりません。
2級
第2種電気工事士の国家試験を受験する場合、受験資格は特に無いため誰でも受験することが可能です。
マークシート方式の筆記試験と実技試験に合格することで取得できます。
受験資格が無いことから人気を集めている資格です。
就職して受験する人はもちろんですが、就活対策として受験する人も多いです。
1級
第1種電気工事士の国家試験にも受験資格は特にありません。
こちらも2種と同じように、マークシート方式の筆記試験と実技試験で行われます。
しかし1種の場合は、資格の証明となる免状交付には条件があります。
免状交付の条件は、電気工事の実務経験5年以上・電気工事士の実務経験3年以上・大学・短大・高等専門学校で指定の課程を修めて卒業することです。
試験そのものよりも免状交付までに時間がかかるため、最終的に資格を取得するまでの時間がかかります。
合格率について
気になる合格率は、平成30年度では1種が筆記40.5%・技能62.8%、2種が筆記55.4%・技能67.4%となっています。
国家試験としては高い合格率なので、チャレンジしやすいと言えるでしょう。
まとめ
建築・施工・電気関係の資格は実務経験が必要なものがほとんどですが、それだけ責任能力があることを証明する資格ということです。
資格を取得すると可能な仕事の範囲がぐっと広くなりますし、スキルアップ・キャリアアップも目指せます。
自分のやりたい仕事にはどの資格が必要なのか、調べてみてくださいね。