高等職業訓練促進給付金とは?利用条件・申込方法・よくある質問など解説

シングルマザーやシングルファザーなど、ひとり親家庭は年々増加傾向にあります。

その数は現在150万世帯以上にも及びますが、問題となっているのが経済面の困窮です。

厚生労働省ではこの状況を打破するため、高等職業訓練促進給付金制度を2014年から実施していますが、具体的にどのような制度なのでしょうか。

ここでは、高等職業訓練促進給付金について概要や条件、申し込み方法などを詳しく解説します。

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高等職業訓練促進給付金とは?

高等職業訓練促進給付金とは、ひとり親家庭の資格取得を支援する制度です。

資格を取得することは就職の際に有利であり、安定した収入にもつながります。

資格取得を目指すひとり親家庭がこの制度を利用した場合、訓練校や専門スクールなどの養成機関に通う期間の生活費として、最大4年間にわたり月額10万円(住民税課税世帯は月額70,500円)が支給されます。

さらに、養成機関に通う期間の最後の1年間は支給額を40,000円増額(住民税課税世帯も同額)し、修了後には50,000円(住民税課税世帯は25,000円)を支給します。

高等職業訓練促進給付金の利用条件は?

高等職業訓練促進給付金の利用条件は「資格取得を目指す母子家庭の母または父子家庭の父で、20歳に満たない者を扶養していること」が前提で、次の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 児童扶養手当の支給を受けている、または同程度の水準にある
  2. 養成機関において6ヶ月以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれる
  3. 仕事または育児をしながら養成機関に通うことが困難である

高等職業訓練促進給付金の対象資格は?

高等職業訓練促進給付金の対象となる資格は「就職の際に有利となる資格」かつ「養成機関において6ヶ月以上修業するもの」で、都道府県の長が指定した資格に限ります。

具体的には次のような資格が挙げられます。

  • 看護師
  • 准看護師
  • 介護福祉士
  • 保育士
  • 歯科衛生士
  • 理学療法士
  • 保健師
  • 助産師
  • 製菓衛生師
  • 調理師

具体的にはWebクリエイターなどのデジタル分野の資格や農業関係の資格などで、これらの対象講座を受講する場合も給付対象となっています。

高等職業訓練促進給付金の申込方法は?

高等職業訓練促進給付金の申込方法は自治体によって多少の違いはありますが、概ね次のようになっています。

なお、ここでは東京都多摩市を例にしています。

事前相談

高等職業訓練促進給付金は、申込する前に必ず事前相談を受けなければいけません。

資格取得への意欲や能力の有無、現在の生活情報などをヒアリングし、支給の必要性を判断します。

事前相談は多くの自治体で予約制となっているため、管轄する部署に連絡して確認しておきましょう。

多摩市の場合は市の母子・父子自立支援員と相談を行いますが、予約は多摩市役所の子育て支援課手当・医療・相談担当となっています。

なお、ヒアリングの結果によっては支給の対象外と判断されることもあります。

申請手続き

申請に必要な書類は次の通りで、入学した日から申請できます。

  • 支給申請書
  • 申請者本人の確認書類
  • 申請者本人と扶養者の戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票
  • 児童扶養手当証書の写し
  • 入校証明書の写し
  • カリキュラムの概要がわかるもの(パンフレットなど)

受講後

受講が終了した翌日を起算日として、1ヵ月以内に各自治体へ修了支援給付金の申請を行います。

なお、1ヵ月を過ぎてしまった場合には申請できなくなりますので注意が必要です。

高等職業訓練促進給付金のよくある質問は?

働きながらでもOK?

高等職業訓練促進給付金は、働きながらでも受給できます。

ただし、「児童扶養手当の支給を受けている」または「所得が児童扶養手当を受けられる程度の水準」となっていますので、この基準を上回ってしまうと支給対象外となります。

既に勉強を始めてるけど後から申請できる?

後からの申請はできません。

入学前に事前相談が必要になるので注意してください。

学校を途中で辞めてしまったらどうなる?

修業途中で辞めてしまった場合は修学期間中までの支給となり、以降は支給されません。

その他に利用できる制度は?

高等職業訓練促進給付金以外に利用可能な制度をご紹介します。

ひとり親家庭住宅支援資金貸付

転職活動中のひとり親家庭に対し、自立に向けて意欲的に取り組むため家賃の一部を貸付する制度です。

児童扶養手当を受給し、かつ母子・父子自立支援プログラムの策定を受けている賃貸住宅に住む保護者が対象です。

12ヵ月の範囲内で月額4万円を上限に、入居している家賃の実費を貸付けます。

貸付金は返還が原則ですが、条件によっては返還債務が免除されることもあります。

公共職業訓練

雇用保険を受給している求職者に対し、就職に有利な知識の習得やスキルアップを通じて早期に再就職を目指すための制度です。

ハローワークに求職申込を行っている場合は訓練受講費が無料で利用できます。

求職者支援制度

雇用保険を受給していない、または受給資格がない求職者に対し、無料の職業訓練と給付金を支給する制度です。

給付金は月額10万円で、訓練開始から終了後までハローワークが求職活動をサポートします。

労働の意思と能力があり、雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者ではないことが条件です。

教育訓練給付

労働者の能力開発やキャリアアップの支援を目的として、厚生労働大臣が指定する講座を受講して修了した場合に支払った学費の20%〜70%を支給する制度です。

雇用保険の被保険者期間が1年以上で、現在在職中もしくは受講開始日まで1年以内の離職者が対象です。

 

自立支援教育訓練給付

ひとり親家庭の保護者に対し、就職のために教育訓練講座を受講した場合に負担した受講料の一部を援助する制度です。

児童扶養手当を受給しているかもしくは同等の所得水準で、該当する教育訓練が就職に必要と認められた保護者が対象です。

給付金は受講費が12,000円を超える場合の60%、年間20万円までが支給されます。

雇用保険制度の「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の指定講座が対象です。

まとめ

ひとり親家庭は、経済面から将来への不安を持つケースが増えています。

安定した収入のために資格取得を考えても、取得までの期間は収入が減るため、踏み切れない方も少なくありません。

高等職業訓練促進給付金は月額最大10万円の支給に加え、最後の1年間は4万円アップ、修了後にも一時金をもらえるなどメリットが多い制度です。

ひとり親家庭ならこの制度を利用して資格を取得し、安定した収入を目指してみてはいかがでしょうか。

記事の執筆者
LS編集部

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