学校で教師として働くには教員免許が必要です。
しかし、教員免許の取得には教職課程の履修が要件となっていて、働いている人が目指すには難しい部分もあります。
そこで今回は、別ルートから取得を目指せる特別免許状について解説していきます。
教員免許とは?
教員免許は学校の先生になるために必要な資格で、普通免許状・特別免許状・臨時免許状の大きく3種類があります。
免許取得のためには、大学や短大などで教職課程を履修して、教育実習などもこなすことが要件となっています。
2016年度の文部科学省による調査では、学校で勤務している教員のうち9割以上が普通免許状を所有しており、普通免許状の取得を目指すのが一般的です。
また、普通免許状と特別免許状は10年、臨時免許状は3年という有効期間が定められており、その都度講習を受けて更新が必要となります。
特別免許状とは?
特別免許状は、優れた知識・経験を持つ社会人を教員として迎え入れて、学校教育の多様化や活性化を図る制度です。
具体的な例として次のようなものがあります。
- 英会話スクールの先生が英語教員
- 電機メーカーの職員が理科教員
- パティシエが家庭科教員
このように、その人の得意分野を教育に活かすことを目的とした教員免許で、学校種別と科目を限定して授与されます。
ここ数年は採用数が増加しており、特に教科指導の専門性が求められる高校で注目度が上がっているのです。
特別免許状を取得するには?
特別免許状を取得するには、各自治体の教育委員会が実施する教育職員検定を受ける必要があります。
教職課程を履修していなくとも、学校教育に活かせる優れた知識・経験があれば受験することが可能です。
教育職員検定では主に次の2つが審査されます。
教科に関する知識・経験・技能
特別免許状の主旨にあたる専門的な知識について、概ね3年以上の勤務経験等が求められます。
- 企業等における英語等による勤務経験
- 教科と関連する専門分野の資格を活用した職業経験
- 外国にある教育施設における勤務経験
- 大学における助教、助手、講師経験
などが当てはまります。
社会的信望・職務遂行に必要な熱意と識見
教員は公務員であり社会的な立場も認められています。
そのため、教員になろうとする人物も社会性や人間性といったものが試されるわけです。
社会的信望や熱意・識見については、本人が書いた志願理由書や採用先からの推薦状などを見て確認されます。
また、学校管理職との面接もあり、教員としての資質を推し量ります。
自治体によって詳細が異なる場合もあるので、受験を検討する際には確認しておきましょう。
就職した時の業務や待遇は?
特別免許状を取得して採用となった後は、基本的に一般的な教員と同じ業務内容・待遇となります。
教科指導やクラス担任はもちろん、部活動の指導まで可能です。
なお、特別免許状は教科ごとに授与されるため、小学校での採用となった場合でも専門教科しか教えられないので注意しましょう。
実際に学校へ配属となった際には、学年主任や教科主任から個別指導を受けたり、大学院レベルの研修に参加したりと、スキルアップのサポートもあります。
まとめ
特別免許状は、社会人経験をそのまま学校教育に活かせる画期的な制度です。
通常のルートでは難しいという人にも、ひとつの選択肢になるのではないでしょうか。
ぜひ自分の得意分野を活かして教員を目指してみてください。