海洋関連の資格は色々ありますが、救命艇手の資格はご存じでしょうか。
就職や転職にも役立つので、海を舞台に働くなら取得しておいて損のない資格です。
そこで、救命艇手とは一体どんな資格であるのかについて紹介します。
また、救命艇手の取得方法や難易度、資格が活かせる仕事なども解説しますので、興味のある方は参考にしてください。
救命艇手とは?
区分 | 国家資格 |
---|---|
カテゴリ | 海上・保安 |
受験資格 | ・18歳以上 ・健康証明書を所持 ・6ヶ月以上の乗組経験 |
試験日程 | 不定期 |
試験方法 | 筆記試験・実技試験 |
試験会場 | 全国各地 |
受験料 | 5,000円 |
登録・更新 | 合格後に要登録 |
難易度 | |
おすすめな人 | 社会人 |
救命艇手は、船舶経験がない人にとっては聞きなれない仕事でしょう。
ここでは、救命艇手とはいったいどのような仕事なのか詳しく解説します。
救命艇手とはどんな仕事?
救命艇手とは、一言でいうと海上のレスキュー隊です。
遭難や事故などで海上で緊急事態に陥った船舶があると救命艇が稼働しますが、救命艇手は救命艇を操作する専門職となります。
救命艇手は、食料や航海用具を積み込み、旅客や船員を誘導し、救命設備の操作を行います。
搭乗員100人以上の船舶には救命艇手が同乗することが義務付けられており、救命艇手の配置人数は救命艇や乗客の数によって決まります。
また、救命艇手は船員の中から選出されます。
救命艇手になるには?
救命艇手になるには、救命艇手の資格を取得することが必要です。
救命艇手の資格は国家資格で、筆記試験と実地試験があります。
合格したら国土交通省から救命艇手適任証書を交付してもらい、救命艇手になることができます。
似たような資格として限定救命艇手がありますが、国内を航行する膨張式救命いかだのみで操作を行うことができ、救命艇手のように国内外の船で業務が行えるわけではありません。
救命艇手として国内外の船舶で活躍したいなら、救命艇手の資格が必要です。
救命艇手の取得方法は?
救命艇手の資格取得方法は、国家資格試験を受験する方法と受験なしで取得する方法の2種類があります。
ここでは、それぞれの取得方法について説明します。
国家資格試験を受験する方法
救命艇手の国家資格試験の受験資格は、18歳以上で健康証明書を持ち、6ヶ月以上船に乗り込んだ経験がある人です。
各地方の運輸局が試験を実施しているため、居住地域自治体の運輸局のHPから日程や試験会場などの情報を入手します。
救命艇手の資格試験に合格したら、救命艇手資格認定申請書を運輸局のHPからダウンロードして必要事項を記入し、船員手帳と一緒に提出すると救命艇手適任証書を得ることができます。
受験なしで取得する方法
受験なしで救命艇手の資格を取得するには、試験の受験資格だけでなく、さらに規定された条件も満たしている必要があります。
- 海技士(航海・機関・通信)のいずれかの資格を持っている
- 大学・高等専門学校等で救命艇の操作の教科を修め卒業している
- 海技大学・海員学校・独立行政法人海技教育機構等を卒業している
- 海上保安大学・水産大学校・国立研究開発法人水産研究・教育機構等を卒業している
これらの条件のいずれかに該当していると、受験なしで資格の取得が可能です。
救命艇手の難易度は?
救命艇手の試験の合格率
救命艇手の試験の受験者数や合格率は正式に発表されていませんが、ほぼ100%に近いのではないかと言われており、試験の難易度は低いと言えます。
そもそも、救命艇手の受験資格に船舶経験6ヶ月以上という規定があるため、船舶知識のない人はふるいに掛けられています。
船舶の知識が豊富な人のみが受験できるため、合格率が高くなっていると考えられます。
したがって、救命艇手の試験のために根を詰めて勉強をする必要はありません。
試験科目をさっとおさらいしておくと、自信をもって試験に挑むことができるでしょう。
救命艇手の試験を受ける前にやっておくべきこと
救命艇手の試験のために、専門学校に通ったり通信講座を受講したりする必要はありません。
試験に合格するよりも受験資格を得ることの方が難しいため、救命艇手の資格取得を目指すなら、船舶経験を積んでおくことが第一です。
救命艇手を活かせる仕事は?
救命艇手の資格を活かせる仕事としては、次の4つがあげられます。
海上保安官
海上保安官は海上の安全を守る仕事です。
海上の犯罪捜査だけでなく、地震や津波、火山の噴火など自然災害が発生した時に海上での捜索や救助、物資の運搬を行います。
救命艇手の資格を活かすのに適した仕事です。
海上自衛隊
海上自衛隊は海上の平和や海上交通を守る仕事です。
また、国内で災害が起きた時に救助・救援活動を行うほか、海外で災害や紛争が起きた時にも救援活動を行うこともあるため、救命艇手の資格が活かせるでしょう。
船舶関連企業
船舶関連企業は石油や物資などの輸出入に関わる船舶を管理する仕事です。
輸送の際には船に乗り込み国内外へ出向くこともあるため、救命艇手の資格を活用することができます。
また、クルーズ船になどでも乗客の安全を守るために救命艇手の設置が義務付けられているため、資格を活かせます。
水産高校教員
水産高校では、実習船や練習船に乗って航海実習や漁業実習、海洋調査などを行います。
船の大きさによっては生徒の安全を確保するために救命艇手の設置が義務付けられるため、教員として働く場合は救命艇手の資格があると重宝します。
救命艇手はこんな人におすすめ!
救命艇手は、いったいどんな人に向いているのでしょうか。
ここでは、救命艇手がおすすめな人を3つのタイプに分けて紹介します。
どんなシチュエーションでも冷静に対応できる人
救命艇手は、船のトラブルなどの緊急時に乗客・乗員の安全を確保するために尽力しなければなりません。
そのため、パニック状態の中でも冷静な対応をすることが求められます。
乗客・乗員と一緒に慌てふためいているようでは、救命艇手は務まりません。
どんなシチュエーションでも判断力を失わず、平静を保てる人に向いている資格です。
責任感の強い人
救命艇手は船に乗っている乗客・乗員の命を預かる仕事と言えます。
乗客の命よりも自分が助かることを優先したとなれば、後で大問題に発展することもあります。
緊急時には人命を第一に考え、責任を持って職務を全うできる人に向いている資格です。
船舶関連の仕事がしたい人
船舶関連など海上での仕事がしたい人は、救命艇手の資格があると就職や転職に有利です。
船舶に関わる仕事では救命艇手の設置が必ず必要となるため、救命艇手資格保有者の需要も高くなっています。
ニーズも高く取得しておくと海上での仕事に有利
救命艇手は船舶関連では需要の高い仕事であるため、資格を取得していると就職・転職に有利です。
また、自然災害はいつ起こるかわからず、救命艇手のニーズはこれからも増え続けていくと予想されます。
受験資格を得るのが少し大変ですが、試験自体はそれほど難易度は高くないため船舶経験がある人は試験に挑戦してみてはいかがでしょう。