レストランやホテルでウェイターやウェイトレスとして活躍するのに資格は必要ありません。
しかし、レストランサービス技能士の資格を持つと、仕事をしてきた経験年数や、サービスにまつわる一定の知識・技能を有していることを、第三者に対して証明できるようになります。
ここではレストランサービス技能士の概要や、資格を取るメリット、資格の取得方法などを紹介していきます。
レストランサービス技能士とは?
区分 | 国家資格 |
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カテゴリ | 料理・飲食 |
受験資格 | 3級:実務経験1年以上 2級:実務経験3年以上、もしくは3級合格後2年以上 1級:実務経験11年以上、もしくは2級合格後4年以上 |
試験日程 | 毎年8月〜11月 |
試験方法 | 筆記試験・実技試験 |
試験会場 | 全国各地 |
受験料 | 筆記:6,500円(共通) 実技:10,000円(3級) 13,000円(2級) 23,500円(1級) |
登録・更新 | 無し |
難易度 | |
おすすめな人 | 社会人 |
レストランサービス技能士は、飲食業における接客サービスの技能を認定された人で、日本ホテル・レストランサービス技能協会が行う試験に合格した人に与えられる国家資格です。
1級から3級まであり、受検には原則一定の実務経験あるいは学校などでの学習経験が必要です。
レストランなどで接客サービスを行うために資格は必要ありませんが、検定に合格した人しか「レストランサービス技能士」を名乗ることはできません。
レストランサービス技能士の資格を持っている方の多くは、外食産業やホテルのレストランなどでウェイターやウェイトレスなどの仕事をしています。
特に1級や2級を取得すれば、実務経験の長さと、料飲サービスにおける知識や技能を証明できるため、高級レストランなどへの転職で有利となるほか、マネージャーやリーダーとして活躍できる場合もあります。
レストランサービス技能士のメリットは?
レストランサービス技能士は、飲食業界で接客サービスをする人を対象とした、唯一の国家資格です。
飲食業界で長年働いてきた方にとっては、知識・技能・経験を公に証明できる資格となります。
特に転職やステップアップを目指すときに、レストランサービス技能士の資格を取得していることは強い味方となるでしょう。
また、レストランサービス技能士の試験に合格すると、日本ホテル・レストランサービス技能協会から合格バッジを購入できるようになります。
バッジを身につけて接客をすることで、お客様にも相応の知識と技能を持ったプロであることをアピールできます。
レストランサービス技能士の取得方法は?
レストランサービス技能士の受検資格は級ごとに異なり、原則、実務経験が必要です。
ただし、3級と2級であれば協会が指定した「承認校」を卒業することで実務経験が不要となることがあります。
試験は学科試験と実技試験に分かれ、学科試験に合格した方だけが実技試験を受けられます。
実技試験を受ける際には、男性は長髪・パーマ・染髪、女性は基準を超えた染髪だと受けられないなど、身だしなみにも規定があります。
実務経験はレストランやカフェ・ファストフードなどの飲食業や婚礼サービス、宴会サービスでの実務経験を指し、事務や単なる受付業務や会計業務は含みません。
経験年数の数え方ですが、アルバイトやパート、派遣社員の方が受験する場合、1700時間を実務経験1年と数えます。
それぞれの級の受験資格は次のとおりです。
3級
3級を受験するために必要な実務経験は1年です。
大学・短期大学・専門学校・高等学校で協会が定めた料飲サービスに関わる学科を修めて卒業した方や職業訓練で料飲サービスに関する訓練を修了した方、訓練修了見込みの方も受験できます。
なお、3級あるいは2級・1級の学科試験にのみ合格した方は、翌々年度まで学科試験が免除になります。
2級
2級を受験するために必要な経験年数は3年です。
大学で協会が定めた料飲サービスに関わる学科を修めて卒業した方は実務経験がなくても受験できます。
短期大学・専門学校で学んだ方は卒業後1年以上の実務経験、高等学校で学んだ方の場合だと卒業後2年の実務経験が必要です。
職業訓練の場合、高等職業訓練と総訓練時間が2800時間以上の普通職業訓練であれば、訓練修了後1年以上、それ以外の普通職業訓練の場合だと2年の実務経験が必要となります。
このほか、3級レストランサービス技能士あるいは、過去に行われていた「料飲サービス技能審査3級」に合格していれば、合格後2年以上の実務経験があれば受験できます。
過去に2級あるいは1級の学科試験に合格した場合、翌々年度まで学科試験が免除となります。
1級
1級はレストランなどで11年以上の実務経験がある方が受験できます。
また、それぞれの学歴で必要となる実務経験の長さは下記の通りです。
- 大学で学んだ方:8年
- 短期大学・専門学校・高等職業訓練・2800時間以上の普通職業訓練:9年
- 高等学校と2800時間に満たない普通職業訓練:10年
また、2級レストランサービス技能士あるいは、過去に行われていた「料飲サービス技能審査2級」に合格していれば、合格後4年の実務経験、3級レストランサービス技能士に合格していれば、合格後10年の実務経験で受験資格が得られます。
1級の学科試験にのみ合格した方は、翌々年度まで学科試験が免除になります。
レストランサービス技能士の難易度は?
レストランサービス技能士は、学科試験・実技試験ともに60点以上で合格できます。
学科試験に関しては、マークシート方式で正誤判断の問題が100問出題されます。
一方、実技試験では、2級だと簡単な英会話、1級だと英会話と簡単なフランス語会話を求められるため、試験対策のための勉強は必要です。
多くの受験者は、協会が出している参考書や試験対策DVDを活用し、勉強をしています。
合格率は3級で55%、2級で40%、1級で35%前後と考えられており、上級になるほど合格率は下がります。
レストランサービス技能士はこんな人におすすめ!
外食産業やホテルのレストランで働きたい方
職業訓練などで受験資格が得られる3級レストランサービス技能士は、これから外食産業やホテルのレストランで働きたいという方におすすめです。
料飲サービスや接客にまつわる基本的な知識や技術を身につけることができます。
ステップアップを目指したい方
レストランサービス技能士の試験は、アルバイトやパートとして働いてきた方も受験できます。
一定の実務経験と知識・技能があることを証明できるため、これから転職をしたい方や、正社員として働きたいと考える方にもおすすめの資格です。
リーダー・マネージャーとして活躍したい方
1級レストランサービス技能士は10年前後の実務経験が必要で、合格難易度も3割強と難関の試験です。
限られた方しか合格できないため、1級レストランサービス技能士の資格を持っている方は、ほかのスタッフを育てるリーダーやマネージャーとして活躍できます。
レストランサービス技能士は転職やステップアップの味方になる
レストランサービス技能士を受けるには一定の実務経験や学歴が求められます。
3級と2級は実務経験がなくても受けられますが、協会が認定する承認校を卒業しなければなりません。
また、1級は実務経験が必須となるため、料飲サービス業界で長く働きたいと考えている方におすすめの資格です。
資格を持っていることで、経験・知識・技能があることを第三者にアピールできるため、転職などでも有利になるでしょう。