国家資格にもいろいろありますが、臭気判定士の資格はご存じでしょうか。
専門性の高い職業への就職や転職には、関連する国家資格を要することがあります。
臭気判定士とはどのような資格なのか、取得のメリットや難易度、おすすめしたい人などについて紹介します。
臭気判定士とは?
区分 | 国家資格 |
---|---|
カテゴリ | 環境・自然 |
受験資格 | 18歳以上 |
試験日程 | 毎年11月 |
試験方法 | 筆記試験・嗅覚検査 |
試験会場 | 東京・名古屋・大阪 |
受験料 | 18,000円 |
登録・更新 | 合格後に要登録 5年毎に要更新 |
難易度 | |
おすすめな人 | 学生 主婦 社会人 |
どのような資格か
臭気判定士とは名称の通り、臭いの強度を判定する資格です。
1996年に悪臭防止法が改正されたのがきっかけで、臭気測定法による臭気指数規制が導入されました。
悪臭を発生している事業者などに自治体から改善勧告や命令を出すとき、臭気指数を測定したり評価するのが臭気判定士です。
罰則にも関わる測定値を判定するため、臭気判定士の役割には重大な責任があります。
環境保全にも関連する資格で、活躍できる職場は広がってきています。
具体的な仕事内容
臭気判定士は、臭気測定から導き出した数値を管理する統括責任者です。
測定から評価までには、臭いを嗅ぎ分けるパネラーの選定をはじめとしていくつかの工程があります。
悪臭の発生源から臭いのサンプルを採取するのも仕事の一つです。
臭気測定を人間の臭覚に頼るのは、国際的な流れからきています。
悪臭を感じて苦情を出すのは人間であり、人間が臭いをどのように感じるかが重要なポイントだからです。
悪臭の苦情を解決するために証拠を探し出すだけでなく、発生源の管理をすることもあります。
臭気判定士を取得するメリットは?
自治体からの依頼を受けて活躍できる
工場や事業所など悪臭が発生する場所は様々ですが、苦情が多く寄せられるのは悪臭の発生源が住所を置く自治体です。
法律による改善勧告や命令を発するのも自治体で、悪臭の証拠となる臭気測定値を求めて臭気判定士に仕事の依頼をかけます。
法律に基づいた臭気判定ができるのは国家資格を持つ臭気判定士のみですから、自治体から仕事を請け負いたい人にはまたとない資格です。
自治体でゴミ処理などをおこなっている、環境センターで働く臭気判定士もいます。
幅広い職場の選択肢がある
悪臭は民間企業から発生することもあり、食品・医薬品・化学・機械など、様々な分野の企業で衛生問題や品質管理問題を担当することも可能です。
企業側としては、悪臭を発して苦情を出される前にリスクを抑えたいところ。
臭気判定士がいることで、リスクを抑制して事業をスムーズに発展させることができます。
土壌や水質など、環境系の汚染について分析する職場も活躍の場の一つです。
清掃会社が悪臭の原因解明を請け負い、臭気判定士を雇うケースも出てきています。
芳香剤や洗剤などの悪臭を防ぐ商品を開発している企業も、臭気判定士の実力を発揮できる職場です。
臭気判定士の取得方法は?
資格を取得する条件
臭気判定士の資格を取るには、臭気判定士試験と臭覚検査に合格する必要があります。
取得条件は18歳以上だけで、学歴や実務経験は問われません。
18歳以上であれば、誰でも受験して資格取得にこぎつけるチャンスがあります。
資格の取得方法
臭気判定士試験と臭覚検査は、公益社団法人におい・かおり環境協会が主催しています。
毎年1回の実施ですので、しっかり受験勉強することはもちろん、受験申請を忘れないようにすることが大切です。
筆記試験
臭気判定士試験は筆記試験で、マークシート方式。
悪臭測定に関する知識や悪臭防止に関する法律など、5教科について幅広い内容を問われます。
嗅覚検査
臭覚検査は、正常な嗅覚を持っているかどうかが判断される検査です。
検査機関が全国各地にあり、受検申請をして検査を受けることになります。
検査機関は、環境技術センターや水質分析会社などです。
臭気判定試験とは異なり、嗅覚検査は年間を通して受検申請できます。
合格後は申請が必要
臭気判定士の国家資格の取得には、臭気判定士試験と臭覚検査の合格証を公益社団法人におい・かおり環境協会に申請する必要があります。
筆記試験に合格すると免状交付申請書が郵送されてくるため、合格証と合わせて申請しなければなりません。
申請が受理されると、晴れて臭気判定士の国家資格取得となります。
臭気判定士の難易度は?
受験者数 | 合格率 | |
---|---|---|
2022年 | 530人 | 21.0% |
2021年 | 483人 | 29.0% |
2020年 | 472人 | 30.9% |
2019年 | 505人 | 24.8% |
2018年 | 522人 | 25.3% |
筆記試験の難易度
臭気判定試験はマークシート方式ですから、論述をする必要がありません。
試験科目について内容を理解することは重要ですが、暗記が得意な人にも対応しやすい試験方式です。
ただし、数値を選ぶ問題も出題されます。
試験会場には計算機を持ち込めないルールのため、暗算や手書きでの計算をスピーディーにできるようにしておかなければなりません。
嗅覚検査の難易度
嗅覚検査では、正常な嗅覚を持っているかどうかが検査されます。
人によって嗅覚は異なりますが、とりわけ鋭敏に悪臭を嗅ぎ分けられるかどうかが試されるわけではありません。
逆に、臭いを正常に感じられない場合は検査にパスするのが難しい可能性があります。
風邪など、体調が普段通りでない場合は日程の変更が可能です。
健康な状態で臨めるよう、体調を整えておくことをおすすめします。
臭気判定士はこんな人におすすめ!
分析評価が好きな人
臭気判定試験では、複数のパネラーが無臭になるまで徐々に薄められていく臭いを何度も嗅ぎます。
測定した臭いの数値を分析し、結果をまとめて評価するのは臭気判定士の仕事です。
多くのデータを細かく分析したり、データから問題の原因解明まで突き詰めていくのが好きな人には臭気判定士が向いています。
困っている人の助けになりたい人
悪臭の苦情を申し立てた側にも、悪臭を発生した側にも役立てるのが、臭気判定士の良いところです。
悪臭の測定をして発生源を突き止めれば、自治体など然るべきところから改善勧告や命令が出されます。
臭気判定士の分析評価を基に発生源が悪臭をなくせば、悪臭に苦しんでいた人も安心して生活できるため、トラブルをまとめて解決できます。
環境保全に貢献したい人
悪臭の原因が環境汚染にあるかもしれません。
臭気判定士によって悪臭の原因がわかり、汚染された環境が改善される可能性もあります。
地球環境の改善に貢献したい人にも、臭気判定士は向いています。
幅広い業種で活躍できる臭気判定士
臭気判定士は特殊な専門分野の資格ですが、活躍できる職場は広がりつつあります。
より良い暮らしを実現するためには、悪臭を解決するための技術が必要です。
気持ちのよい環境で暮らせる社会を実現できる臭気判定士。
国家資格という高いニーズがありながら、受験資格には学歴を問われない柔軟性がある試験に、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。