医療法人や個人が経営している眼科で、医師の指示のもとに視力の検査、矯正訓練を行う視能訓練士が働いていることをご存じでしょうか。
また、視能訓練士になるためにはどうすれば良いか、どのような仕事があるかわからない方も多いと思います。
そこでこの記事では、視能訓練士になるための方法や資格を取得するメリットなどを紹介します。
視能訓練士についての知識を深めましょう。
視能訓練士とは?
区分 | 国家資格 |
---|---|
カテゴリ | 医療 |
受験資格 | 指定の大学や短大、養成所を卒業 |
試験日程 | 毎年2月 |
試験方法 | 筆記試験 |
試験会場 | 東京・大阪 |
受験料 | 15,800円 |
登録・更新 | 合格後に要登録 (登録費用:9,000円) |
難易度 | |
おすすめな人 | 学生 社会人 |
視能訓練士は、眼鏡やコンタクトレンズの処方に関する検査や、遠視、近視、白内障などの眼科での一般的な検査を行います。
また、斜視や弱視の訓練、高齢者や生活習慣病で視機能が回復しない方のためにリハビリの指導も行っています。
目の検査や訓練を行うプロで、国家資格を持った医療職の1つです。
身近では、眼科で検査を受けるときに視力や眼圧を検査してくれるスタッフの中に視能訓練士がいます。
需要が高まっている
緑内障や白内障の検査や斜視や弱視の訓練で、視能訓練士の知名度は高まってきていますが、医療の現場では視能訓練士の人材が不足しています。
スマートフォン、パソコンの長時間の使用による目の病気の増加、視力低下による眼鏡やコンタクトレンズの処方に関する検査などで外来診察する患者が増えてきています。
眼科医1人に対して視能訓練士が2人必要といわれていますが、全国で眼科医が約1万4000人いるのに対して、視能訓練士は約1万2000人しかいないのが現状です。
高齢化社会に伴い、目を健康に保つ意識が高まってきているので、これからも視能訓練士の需要は増えていくことでしょう。
女性が働きやすい仕事
主な勤務先は、病院や大学の研究機関、眼科クリニックなどです。
視能訓練士は、検査機器を使って目の検査や訓練をするので、基本的には力仕事が少なく、病院や眼科クリニックなどの安定した就職先があるため、女性の就業率が非常に高いのが特徴です。
また、資格を取得していれば、パートやアルバイトとして働くことも可能で、結婚してからも仕事との両立ができる、女性が働きやすい職場環境になっています。
休日や勤務時間については、勤務先の診療スケジュールに依存するため、決まった日に休むことができます。
基本的に残業が少ないため、比較的安定した勤務時間で就業できる職業です。
視能訓練士を取得するメリットは?
視能訓練士の資格を取得すると、就職するのに非常に有利です。
また、結婚を機に仕事を退職しても視能訓練士の資格があれば、再就職や仕事に復帰する手助けになるでしょう。
病院や眼科クリニックなどの医療機関は、人間の生活に欠かせない施設であり、全国に就職先があります。
常に需要があるため景気に左右されにくく、全国どこにいても就職に困らないのが魅力です。
職場だけでなく、家庭内でも目の病気の早期発見、重症化を未然に防ぐために役立ちます。
視能訓練士の取得方法は?
視能訓練士の資格の取得方法は、視能訓練士国家試験に合格することです。
受験資格を得る方法は、3つに分類されます。
- 国が指定する大学に4年、または専門学校に3年以上通う
- 一般の大学や短大を卒業して、専門学校に1年以上通う
- 外国で視能訓練に関する学校を卒業、もしくは免許を取得して受験について国が認定する
以上の3つの分類がありますが、最短で受験資格を得るには専門学校に通うのが良いでしょう。
学校の数は少ない
視能訓練士の学校は大学、短大や専門学校で、全国におよそ30校ほどあります。
学校の数が少なく、半分以上は専門学校のため、専門学校に通って視能訓練士の知識や受験資格を得るのが良いでしょう。
学校では、座学だけでなく実技実習が行われます。
実際に眼科で使われている視力検査や視野検査などの検査方法を学ぶため、実習で学んだことをそのまま実務に生かすことができます。
検査に使う機械の操作や検査方法はそれほど難しくないので、慣れてしまえば業務をこなせます。
それぞれの専門学校によって特色は違いますが、どの学校でも試験での合格率や就職率は非常に高く、忙しい方や遠方の方のために動画やオンラインの相談会を充実させている学校も多いです。
視能訓練士の難易度は?
受験者数 | 合格率 | |
---|---|---|
2023年 | 943人 | 89.3% |
2022年 | 842人 | 91.8% |
2021年 | 850人 | 91.1% |
2020年 | 837人 | 96.1% |
2019年 | 834人 | 98.2% |
視能訓練士の試験は年1回で平均90%以上の合格率です。
同じ医療職の理学療法士や助産師などと比較すると合格率が非常に高い国家試験です。
試験全体のおよそ60%の正答が合格ラインで、マークシート形式の問題のみで記述問題はありません。
合格率から見ると、簡単に取れそうな国家資格に見えますが、専門的な知識が必要なため真面目に授業を受けて、試験勉強をする必要があります。
本人の頑張り次第で十分合格できる国家試験です。
視能訓練士の資格を取得した後の自分の姿を想像して、日々の授業や試験勉強に取り組むと良いでしょう。
視能訓練士はこんな人におすすめ!
人と話すのが得意な人
視能訓練士は病院や眼科クリニックなどで働くため、人と接する機会が多い職業です。
接客業が得意な方やコミュニケーション能力が高い人が向いているでしょう。
正しい診断をするには患者の協力が必要で、受診する患者の年齢は非常に幅広く、性格もさまざまです。
大人だけでなく、子どもの目の病気に対しての検査や訓練も行うので、子どもが怖がったり飽きないようにするなど工夫も必要になってきます。
病院という環境ですが、接客業としてのスキルが必要な面もあるので、人と接するのが好きな方や子どもが好きな方にはおすすめです。
プライベートも大事にしたい人
また、休日や勤務時間については、勤務先の診療時間や休診日に依存します。
勤務先の休診日がそのまま休日ですので、習い事や趣味などのプライベートの予定が立てやすく、充実した休日を送ることができるでしょう。
基本的に決まった休日があり、規則正しい生活が送れるため結婚して家庭をもった方にもおすすめです。
几帳面な人
視能訓練士にとって大切なのは、慎重に何度も確認をして検査を行うことです。
病院や眼科クリニックの治療や診断には検査が必要なため、1つでも検査を間違えてしまうと、医療ミスにつながることもあります。
ミスをしないためにも正確に業務を行う、几帳面さが大事でしょう。
また、常に向上心を持ち、積極的に研修会や勉強会に参加して、最新の技術や知識を身につけていくことが重要です。
医療の現場で活躍する視能訓練士
今回は、視能訓練士についてまとめました。
視能訓練士は、病院や眼科クリニックなどで働く、目の検査や訓練を行うプロです。
基本的に残業が少なく、決まった休日があるので女性が働きやすい職場環境が整っています。
これからも需要が増えていくのに対して、人材が不足している現状です。
視能訓練士国家試験に合格して、視能訓練士として医療の現場で活躍してみてはいかがでしょうか。