近年では運送業界のドライバーの事故が報道される事も少なくありません。
その背景には会社の無理なスケジュール管理やドライバーの人員不足、健康状態や安全面の管理不足など様々な要因があります。
無理な業務スケジュールや荷物の過積載による事故などを未然に防ぐ為にも重要なのが「運行管理者」です。
この記事では運行管理者について説明していきます。
運行管理者とは?
区分 | 国家資格(必置資格) |
---|---|
カテゴリ | 車・船・航空 |
受験資格 | ・運行管理の実務経験1年以上 ・もしくは指定の講習を修了 |
試験日程 | 毎年8月・3月 |
試験方法 | 筆記試験 |
試験会場 | 全国各地 |
受験料 | 6,000円 |
登録・更新 | 合格後に要登録 |
難易度 | |
おすすめな人 | 社会人 |
運行管理者とは、国土交通大臣の行う運行管理者技能検定に合格し、安全輸送の責任者として自動車運送事業者の選任を受けた人の事を指し「運管」と略される事もあります。
運行管理者資格は国家資格であり「貨物」と「旅客」の2つの資格に分けられます。
簡単に言えば物を運ぶのが貨物・人を運ぶのが旅客です。
道路運送法・貨物自動車運送事業法に基づいて、事業用自動車の運転者の乗務割の作成や運転者の指導監督、点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示などの過労運転の防止。
さらには事故や乗務記録の管理、貨物自動車の過積載の防止、休憩や睡眠施設の保守管理、ドライバーの指導監督、運行ルートの指示など、運行管理者の業務は多岐にわたります。
高い判断力と指導力が求められる
運送業は慢性的な人手不足で残念ながら安全管理の不十分な企業によるトラブルも後を絶ちません。
そのため運送事業者は法律に基づき、安全運行に必要なドライバーの勤務時間を設定し、個人の業務負担を減らすと共に、事故のリスクを減らす事が重要です。
運行管理のための指揮命令系統を明確にする、その中心的役割を果たすのが運行管理者です。
運行管理者はドライバーや貨物の安全を確保するだけでなく、乗客の命も預かる責任あるとても大切な仕事のため、高い判断力と適切な指示を行う指導力とが求められます。
運行管理者を取得するメリットは?
キャリアアップにつながる
運行管理者の資格取得が昇給や昇進の条件になっている会社もありますし、管理職へのキャリアアップも望めます。
会社によっては手当が出る場合もあり、一つの営業所に複数の運行管理者がいる場合には統括運行管理者を選任する必要があるため、統括運行管理者になる事で他の人との間に差をつけられます。
また、事業用自動車の安全運行を確保するために、営業所ごとに車両数に応じて運行管理者を一定人数配置する事が法律で義務付けられており、会社側からの需要が高まっています。
昨今の配送業界で労働環境の問題点が浮き彫りになった事や、多発する事故で社会からも安全面に対する要求が高まり、運行管理者はその両方から重要視される存在となっているのです。
安定して働ける
資格を取得する事でより安定して働く事ができ、転職を視野に入れた場合でも、有資格者は即戦力とみなされ将来的にも安定して働くことが期待できます。
更に肉体労働で体力の必要なドライバーと違い、内勤仕事なので長期的に働く事も可能です。
自らの判断による常務割の作成などは責任も伴いますがその分やりがいも感じられ、スキルアップにもつながります。
それと運行管理者資格者証は有効期限がなく(ただし、解任届出・法律違反をした場合は返納を求められます)、潰しが効くというメリットもあります。
運行管理者を取得するには?
運行管理者の資格取得方法は、
- 運行管理者試験に合格する
- 実務経験+講習
という2パターンがあります。
試験に合格する
運行管理者試験は誰でも受験できるわけではありません。
受験資格としては下記のいずれかを満たす必要があります。
- 自動車運送事業の運行管理において1年以上の実務経験
- 国土交通大臣の認定を受けた基礎講習実施機関において基礎講習を修了
また、試験に合格したら3ヵ月以内に運輸支局等に資格者証の交付申請手続きを行わないと無効になるので注意しましょう。
実務経験+講習
- 運行管理の実務経験が5年以上
- 講習を年ごとに1回(基礎講習を1回以上含めた)通算5回以上受講
これら2つの条件を満たしていれば、試験を受けなくても資格を取得する事が可能となります。
運行管理者の難易度は?
【貨物】
時期 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
令和5年度 第1回 | 26,293人 | 33.5% |
令和4年度 第1回 | 28,804人 | 38.4% |
令和4年度 第2回 | 23,759人 | 34.6% |
令和3年度 第1回 | 34,164人 | 29.8% |
令和3年度 第2回 | 27,982人 | 32.3% |
【旅客】
時期 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
令和5年度 第1回 | 5,158人 | 34.5% |
令和4年度 第1回 | 5,403人 | 40.1% |
令和4年度 第2回 | 4,675人 | 35.3% |
令和3年度 第1回 | 6,740人 | 32.6% |
令和3年度 第2回 | 5,787人 | 34.5% |
貨物・旅客試験共に運行管理者試験の難易度は年々上がっていますが、それでも合格率は平均3割、多い時で4割にもなり、国家資格としては易しい部類に入ります。
合格ラインは貨物・旅客共に総得点が60%以上(30問中18問以上)です。
運行管理者試験用の問題集もありますし、運行管理者試験センターのHPでは過去の問題(正答あり)も閲覧できます。
また、受験資格として1年以上の実務経験、基礎講習を修了が最低ラインなので試験への取り組み自体はスムーズに進められるでしょう。
貨物と旅客の試験の7割程度は共有なので、余裕があれば両方取得しておくと後々自身の選択の幅が広がるのでおすすめです。
運行管理者を活かせる業界は?
貨物と旅客で多少の違いはありますが、運送に関する業務全般で運行管理者の資格を持っていると多かれ少なかれメリットはあります。
タクシーや大型トラックの運行管理者は定番でありながら、ネット販売事業の拡大によりこれから先も需要の高い業界と言えます。
また、扱う車種の違和感を感じる事なく他業務へ視野を広げるなら、県の交通局や観光バスの運行管理、ハイヤードライバー等があります。
鉄道運輸関係も資格を活かせる場です。
海上コンテナの配車オペレーターや、物流拠点での運行管理者、車両労務管理、営業事務などの業務を行う物流系総合職でも運行管理者の資格は活かせます。
運行管理者はこんな人におすすめ!
既に運送業界で1年以上働いている方など、資格取得でスキルアップやドライバーから内勤業務を目指している方、体力が落ちてきても安定して働きたい方に運行管理者の資格はおすすめです。
さらに、細かい作業や計算が得意な方、管理職を目指している方、転職を視野に入れている方にもおすすめできるでしょう。
運行管理者は責任の重い仕事ですが、その分やりがいや達成感を感じることができる仕事です。
自分の経験を目に見える資格にする事でモチベーションも上がりますし、情に流される事なく決断しなければならない事も度々あるので冷静に物事を判断する目を養えます。
今より更に成長したい方におすすめの国家資格です。
まとめ
人手不足で個人の業務負担が増えて事故のリスクが上がる中で、運行管理者は荷物や人を安全に運ぶために重要な役割を担っています。
運行管理者の設置義務の範囲が拡大した事で貨物・旅客共に需要が高まっています。
現在1年以上運送業に携わっているという人は、資格の取得を選択肢の一つとして検討してみるのはいかがでしょうか。
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