みなさんは、実務者研修という言葉を聞いたことはありますか?
実はこの「実務者研修」は、介護福祉士として働いていくためには必須の資格なのです。
では、
- 実務者研修とは?
- なぜ必須なのか?
- 取得後のメリットはあるのか?
- 取得するにはどうすれば良いのか?
- 試験内容や合格率?
などについて、実際に介護福祉士として働いていた経験のあるわたしが詳しくお伝えさせていただきます。
実務者研修とは?
実務者研修とは、簡潔にお伝えすると質の良い介護サービスを利用者様にご提供できるように、知識・技術スキルを向上させるための講座です。
平成28年度より、介護福祉士の国家試験を受ける際に実務者研修の受講および修了が義務付けられました。
つまり介護福祉士の国家資格を取得するためには必ず必要な資格であり、かつ利用者様に質の良い介護サービスをご提供するための素敵な学びの場になります。
あなたが「介護の専門家」として生涯やりがいのある仕事を続けたいなら、必須の資格と言えるでしょう。
実務者研修はホームヘルパー1級や介護職員基礎研修の相当かつ後継的存在の資格とされています。
平成25年にホームヘルパー1級や介護職員基礎研修は、実務者研修に一本化されました。
ちなみに私が福祉系高校に通っていた頃はホームヘルパー1級の資格取得ができたのですが、実務者研修で学べる「医療的ケア」と「介護過程Ⅲ」の内容は学習しませんでした。
なので、非常に素晴らしい資格になったなと感じています。
実務者研修の必要性は?
少子高齢化が進む日本において、介護の仕事は非常に大切なもの。
そして、高齢化の進む中「介護職員不足」も進んでいました。
私が介護福祉士として働いていたときも、「本当は介護の仕事なんてしたくないけど、お金のためだし。」
と言って、お世辞にも丁寧とはいえない仕事を行っていた方も少なからずいらっしゃいました。
もちろん、すぐに退職されましたが…。
一般の介護福祉士であるわたし自身がそう感じていたので、日本という国は事態を大きく感じていたようです。
「多様化する介護ニーズに伴い、介護福祉士の資質向上および知識・技術が必要」という考えになり、結果「介護福祉士資格の取得方法の見直し」が行われ今に至ります。
初任者研修と実務者研修の違いは?
実務者研修について知っていく上で、「介護職員初任者研修」という単語を目にする方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
では、実務者研修と介護職員初任者研修にはどういった違いがあるのでしょうか?
結論から言いますと、大きな違いは4つあります。
「介護福祉士の国家試験を受ける際に必要な資格」かどうかの違い
最初にお伝えしましたが、介護福祉士の国家試験を受けるためには実務者研修の修了は必須となっています。
つまり、介護福祉士国家試験の受験資格なのです。
しかし介護職員初任者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格には含まれません。
以前までは少々複雑でややこしかった介護福祉士の養成体系が、
- 初任者研修
- 実務者研修
- 介護福祉士
- 認定介護福祉士
というシンプルで目指すべき目標が分かりやすい養成体系に変わりました。
もちろん介護職員初任者研修を修了していなくても実務者研修の取得は可能ですが、いきなり専門的な知識を学ぶよりも先に基礎知識を学んでおいたほうが安心ではないかな、と思います。
介護職員初任者研修を修了していれば、実務者研修を受講する際に130時間分の受講免除を受けることもできます。
受講の科目数および時間数の違い
初任者研修の科目数および受講時間は9科目で130時間、実務者研修の科目数および受講時間は20科目で450時間という違いがあり、実務者研修の方がより専門的で深い知識を学習することになります。
その分、実務者研修の方が学習時間も長くなっています。
基本的に約6ヶ月~1年間ほどの学習が必要とされています。
「医療的ケア」を学習するかどうかの違い
実務者研修では、医療行為であり原則として医師および看護師以外は認められていなかった「たん吸引」や「経管栄養」の基礎的な知識が学べます。
共に1日ずつ、しっかり時間を掛けて学ぶことができるので安心です。
以前のホームヘルパー1級の研修では学べなかった「医療的ケア」を実務者研修では学べるということで、心から羨ましく感じています。
介護サービスを提供する上で必ず必要になってくるたん吸引や経管栄養は、学んでおくことで必ずプラスに繋がってきますよ。
サービス提供責任者として働けるかどうかの違い
2019年4月以降、訪問介護サービスを行う事業所で「サービス提供責任者」の配置が必須になりました。
実務者研修を修了することでサービス提供責任者として働くことができるのですが、介護職員初任者研修の修了ではサービス提供責任者になることはできません。
介護職員初任者研修の修了のみの場合は別途実務経験3年(540日)以上が必要、とされていますが、それだけではサービス提供責任者として応募できる事業所はほぼ無いと言えます。
質の良い介護サービスを提供するためにも、実務者研修を修了しておくべきでしょう。
資格を取得するメリットは?
実務者研修の資格を取得するメリットはたくさんありますが、やはり
- 介護福祉士国家試験の受験資格が得られること
- サービス提供責任者として働けること
- たん吸引や経管栄養といった医療ケアの基礎知識が身につけられること
の3点が大きなメリットではないでしょうか。
上記の「初任者研修と実務者研修の違いは?」で詳しくお伝えいたしましたが、この3点は非常に大きなメリットでもあり仕事の質や給料のアップにも繋がります。
実務者研修修了者は就職・転職に有利?
実務者研修を修了することで、様々な介護サービスの現場に就職・転職することができます。
介護サービスを提供している施設へ介護職員として、そして指定訪問介護事業所にサービス提供責任者として就職することが可能になります。
また、現在は別の職に就いているという方が介護職へ転職する際にもかなり有利になります。
ちなみにわたしの経験談ではありますが、成人性てんかんの発症のため介護福祉士として働けなくなった後に就職した
- 病院での医療クラーク業務
- 保健所での公務員補助業務
でも、介護の仕事をしていた経験は有利に働きました。
資格を取得する方法は?
実務者研修の資格を取得する場合は、合計450時間の学習+医療的ケアの演習を受講する必要があります。
もしも他の介護関連資格を取得している場合は、受講時間が変わってきます。
一覧にすると、
取得済み資格 | 受講時間 |
---|---|
無資格 | 450時間の受講 +医療的ケアの演習 |
ホームヘルパー2級 | 320時間の受講 +医療的ケアの演習 |
介護職員初任者研修 | 320時間の受講 +医療的ケアの演習 |
ホームヘルパー1級 | 95時間の受講 +医療的ケアの演習 |
介護職員基礎研修 | 50時間の受講 +医療的ケアの演習 |
となっています。
受講講座・学校を選ぶ際のポイントは?
実務者研修の受講料は、無資格および未経験の方は平均15万円程度ほどです。
また、介護職員基礎研修を修了している方は平均3万円~5万円、介護職員初任者研修修了している方は平均9万円~13万円の受講料が必要です。
学校を選ぶポイントとしては、
- 通学しやすい立地であること
- 生活環境に合わせた、受講しやすい時間帯の授業があること
- 質問できるサポート体制があること
- 万が一の事態に備えて振り替え授業などが受けられること
の4点をメインに、キャンペーンや割引制度がある学校を選ぶと良いでしょう。
学習するカリキュラムは?
実務者研修のカリキュラムは、このようになっています。
学習内容 | 受講時間 |
---|---|
人間の尊厳と自立 | 5時間 |
社会の理解Ⅰ | 5時間 |
社会の理解Ⅱ | 30時間 |
介護の基本Ⅰ | 10時間 |
介護の基本Ⅱ | 20時間 |
コミュニケーション技術 | 20時間 |
生活支援技術Ⅰ | 20時間 |
生活支援技術Ⅱ | 30時間 |
発達と老化の理解Ⅰ | 10時間 |
発達と老化の理解Ⅱ | 20時間 |
認知症の理解Ⅰ | 10時間 |
認知症の理解Ⅱ | 20時間 |
障害の理解Ⅰ | 10時間 |
障害の理解Ⅱ | 20時間 |
こころとからだのしくみⅠ | 20時間 |
こころとからだのしくみⅡ | 60時間 |
介護課程Ⅰ | 20時間 |
介護課程Ⅱ | 25時間 |
介護課程Ⅲ | 45時間 |
医療的ケア | 50時間 |
上記の表は、合計450時間+医療的ケアの演習となっていますが、これは無資格者が受講する場合です。
介護職員初任者研修の資格を持っている方の場合、共通科目である9科目・130時間分の受講免除を受けることができます。
実務者研修の試験内容、合格率は?
実務者研修には、国家試験のような試験はありません。
学校ごとに変わってきますが、試験があっても学習内容の確認程度なので心配はありません。
また、合格率は公表されていませんが、追試もあるので修了できないことはほぼありません。
真面目に学習に取り組んでさえいれば、100%合格できると言えるでしょう。
まとめ
以上、実務者研修について説明させていただきました!
介護サービスが提供できる人材を常に求めている日本で、実務者研修の修了者は非常に貴重な存在です。
以前よりも学ぶ内容は増えましたが、その分質の良い介護サービスが提供できるようになっています。
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