「センスがなくて色選びがうまくいかない」とか「同僚の〇〇さんは色使いが上手で羨ましい」などと感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
そんな方に知ってほしいのが「色彩検定」です。
色選びや配色のセンスは、生まれ持った感覚や経験だけでなく、知識でも補うことができます。
ここでは色彩検定とはどんな資格なのか、取得するメリットや取得した人の活躍する仕事などについて解説していきます。
色彩検定とは?
色彩検定とは、公益社団法人色彩検定協会が主催している資格です。
色の基礎知識から組み合わせ方まで、色彩に関する幅広い知識が求められます。
その歴史は古く、1990年に第1回目の検定試験が行われました。
1995年には文部科学省後援の公的資格となり、これまで累計150万人以上が受検しています。
特に多いのが10代と20代の受検者で、全体の80%程度を占めています。
合格者はアパレルやインテリア、広告など、色に関わる幅広い業種で活躍中です。
級位は4つ
色彩検定には1級、2級、3級、UC級の4つのレベルがあります。
一般的な検定試験と同様、1級の方が上級で3級は入門級です。
2018年に開設されたUC級は、障害がある人や高齢者にも優しいデザインを意味する「ユニバーサルデザイン」と色彩の関係に特化しています。
なお、色彩検定の受検には特別な資格が設けられていないため、いきなり2級、1級を受検しても問題はありません。
取得するメリットは?
就職・転職に役立つ
色彩検定の取得によるメリットの1つ目は、就職や転職に役立つことです。
色を扱う職業への就職・転職の際には、特に取得のメリットを感じられるでしょう。
例えばファッション業界やインテリア業界なら、色は商品価値を左右する重要な要素です。
そのため、これらの業界を志す人にとって色彩検定の取得は武器になります。
また、出版・広告業界の仕事も、色彩が人に与える印象を理解できれば、装丁や広告の色選びに役立ちます。
このような業界で活躍したいなら、色彩検定は色に関する基礎知識を持っている「証明」になるでしょう。
さらに色彩検定は、他の色彩系の資格よりも長い歴史を持っているので、相対的に世間一般での認知度が高めです。
そのため、面接時に評価されやすいのも取得のメリットと言えるでしょう。
色選びが良くなる
色彩検定の取得によるメリットの2つ目は、ありとあらゆる場面での色選びがレベルアップすることです。
一般に色選びや配色は「センスに左右される」と考えられています。
しかし、どれだけ多くのデザインを見て勉強してきたのかということも重要な要素です。
つまり、色彩検定の取得で知識や技法を身につければ、センスという曖昧なものに頼らず、見栄えの良い色選びや配色が可能になります。
見栄えが良いだけでなくとも、特定の視覚効果を狙った色選びや配色もできるようになりますよ。
スキルアップにつながる
色彩検定の取得によるメリットの3つ目は、色を扱う多くの仕事でスキルアップにつながることです。
色彩の知識が活躍するのは、デザイナーやインテリアコーディネーターなど、色と深い関わりを持つ仕事だけではありません。
例えば営業職なら、プレゼンテーションの資料を作成する際に、グラフや装飾を使う場面があるはずです。
色彩の基礎知識を持っていれば、色が持つパワーを生かして、プレゼン相手により好印象を与える資料が作れます。
つまり色彩検定は、色を扱う業務があるすべての仕事のスキルアップにつながるのです。
試験の内容は?
色彩検定の試験は級によって異なりますが、受検資格が無いのはどの級も共通です。
1級
まず1級は11月の冬季検定でのみ行われ、一次試験と二次試験に分かれています。
一次試験合格者のみ二次試験に進むことができ、一次は記述方式の問題を含むマークシート形式、二次は実技を含む記述方式です。
試験時間はそれぞれ90分、検定料は一次と二次を合わせて15,000円(税込)となっています。
なお、一次試験に合格した場合その後2年間は免除となり、二次試験から受けることが可能です。
2級、3級、UC級
2級、3級、UC級は毎年6月の夏季試験と11月の冬季試験があります。
どの試験もマークシート形式で行われますが、2級とUC級には一部記述形式の問題も含まれるのが特徴です。
試験時間は2級が80分、3級が70分、UC級が60分です。
2級は10,000円(税込)、3級は7,000円(税込)、UC級は6,000円(税込)の検定料となっています。
なお、1級を含めた各級の試験時間は重複していないため、併願も可能です。
試験の難易度は?
試験の難易度は級によって異なり、1級がもっとも難しく、2級、3級になるにつれ内容が易しくなります。
それぞれ求められるレベルは以下の通りです。
- 3級:光と色の知識や色彩心理など、色彩の基礎的な知識
- 2級:照明、色彩調和、景観色彩など、色彩の基本的な知識と技能
- 1級:色彩と文化、測色、色彩とビジネスなど、色彩の専門的な知識と技能
- UC級:色が見える仕組みや高齢者の見え方など、ユニバーサルデザインと配色に関する知識
なお、2021年度試験の合格率は3級が76.8%、2級が77.9%、1級が52.7%、UC級が89.7%となっています。
合格率の低さから見ても、1級の難易度の高さが理解できるでしょう。
公益社団法人色彩検定協会のホームページでは、各級の合格ラインを公表しています。
それぞれ満点の70%前後が合格ラインとして示されていますが、問題の難易度により調整が行われるため、あくまで目安と捉えましょう。
取得後の活躍の場は?
美容・ファッション
色彩検定を取得した人が活躍する現場としてよく挙げられるのが、美容・ファッション業界です。
美容・ファッション業界は色彩との親和性が高いため、色彩検定で得た知識が大いに活躍します。
例えばアパレル販売なら、色彩検定を取得することで、流行を押さえながらお客様に似合うスタイルを提案できるようになるでしょう。
また、メイクアップアーティストとしてお客様の魅力を引き立てるには、色の力を借りない手はありません。
色彩検定で得た知識を生かせば、肌の色と相性の良い色を選べるようになり、お客様が本来持っている輝きを引き出すことができるでしょう。
出版・広告
出版・広告業界でも色彩検定で得た知識が活躍します。
例えば企業の企画・広報の仕事なら、企業のブランディングを行う際に色彩を活用するでしょう。
色彩検定を取得し、色が見る人にどんなイメージを想起させるかが理解できれば、企業のイメージに則した色を使って効率的にブランディングができます。
また、グラフィックデザイナーやWebデザイナーも、色彩との関係性が深い仕事です。
色彩検定で得た知識があれば、ユーザーに与える印象を色彩でコントロールできます。
ひいては成果が出せるデザインにつながり、クライアントからの信用も得られるでしょう。
建築・空間デザイン
建築や空間デザインも色彩検定を取得した人が活躍する業界です。
建築デザインと色彩は切っても切れない関係にあります。
そのため建築デザイナーにも、色彩検定で扱う色彩の知識が求められるのです。
また、インテリアデザイナーも色彩と深い関係を持つ仕事の一つ。
インテリアデザイナーは、住む人の生活そのものをデザインするに等しい仕事です。
それゆえ、住む人にとって心地よいデザインを追求するため、さまざまな要素を検討します。
色彩検定で色の基礎知識を身につけておけば、インテリアデザイナーとしてより良いデザインを追求するのに役立つでしょう。
その他
この他にも、色彩検定を取得した人が活躍できる業界は数多くあります。
例えば、ホテルやレストランでテーブルの飾り付けなどを行うテーブルコーディネーターもその一つです。
どれだけおいしい料理でも、食べる人の目に魅力的に映らなければ、おいしさが半減してしまいます。
テーブルコーディネーターが色の知識を身につければ、色の持つ力を借りて料理をよりおいしく演出できるでしょう。
また、フラワーデザイナーも色彩検定を取得した人が活躍できる仕事です。
フラワーデザイナーとは、お客様の希望やTPOに合わせてお花をアレンジする人のことを言います。
どんなアレンジをするかは、どんな色の花をどんなバランスで配置するかに等しいため、色彩の知識が欠かせないのです。
まとめ
生まれ持ったセンスや経験が無くても、色に関する知識を学んで色彩検定を取得すれば、プロフェッショナルとして活躍できます。
色彩検定の受検には特別な資格は必要ないので「色のプロフェッショナルを目指そう!」と決意したその日から、難易度の高い1級を目指すことも可能です。
仕事で色を扱う機会が多い方は、ぜひ色彩検定にチャレンジしてみてはどうでしょうか?
資料請求ページ お申込みをする前に!
>>「色彩検定3級・2級パックコース」を資料請求する(無料)