【リカレント教育】個人向けの補助金・給付金5選|対象者や申請方法を解説

「リカレント教育」という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。

学び直しを意味するリカレント教育は、国も注目している取り組みです。

国はリカレント教育を推進するため、従業員にリカレント教育を行わせる企業に対しても、リカレント教育を受ける個人に対しても支援制度を設けています。

この記事では、個人を対象とするリカレント教育の支援制度をまとめて紹介します。

対象者や対象講座を意識すると、自分がどの支援制度を利用できるのかがわかりやすいと思いますので、ぜひ参考にしてください。

本記事はプロモーションが含まれています
本記事を経由してサービスの利用があった場合、掲載企業から紹介手数料を受け取ることがあります。ただし、紹介手数料の有無が本記事の内容や順位に影響を与えることはありません。コンテンツ内容に関しては、LifeStoriesが独自で制作したものです。(コンテンツ編集ポリシー)

1. 教育訓練給付制度

「教育訓練給付制度」は、働く人自身が主体的に行うスキルアップやキャリア形成を支援する制度です。

雇用保険の加入期間などの条件を満たす人が、厚生労働大臣指定の教育訓練を修了すると、その費用の一部が支給されます。

教育訓練給付金の対象となっている厚生労働大臣指定の教育訓練は14,000講座ほど。

詳しい内容については教育訓練講座検索システムから検索できます。

教育訓練給付制度を利用するには、お住まいの住所地を管轄するハローワークへの申請が必要です。

教育訓練を修了後1か月以内に、「教育訓練給付金支給申請書」「教育訓練修了証明書」「領収書」などの必要書類をハローワークに提出し、申請しましょう。

教育訓練給付金の対象となる教育訓練は、対象講座によって以下の3つに分類されています。

  • 専門実践教育訓練
  • 特定一般教育訓練
  • 一般教育訓練

ここからはそれぞれの詳細についてお伝えします。

 

専門実践教育訓練

「専門実践教育訓練」とは、中長期的なキャリア形成に役立つ教育訓練です。

具体的には以下のような講座が該当します。

  • 介護福祉士や看護師、保育士などの資格取得をめざす講座
  • ITSSレベル3以上の情報通信資格の取得をめざす講座
  • 専門職大学院・専門職大学・専門職短期大学の課程
  • 職業実践力育成プログラム
  • 専門学校の課程
  • キャリア形成促進プログラム

このような講座を受講する場合、年間40万円を上限に受講費用の50%が、受講中6か月ごとに支給されます。

さらに、受講後資格を取得し1年以内に就職した場合は、年間16万円を上限に受講費用の20%が支給されます。

失業中の人が初めて専門実践教育訓練を受講する場合は、教育訓練給付金とは別に「教育訓練支援給付金」が支給される場合もあります。

受講開始時に45歳未満であることや、受講する教育訓練が通信制・夜間制でないことなど一定の要件がありますので、こちらから確認しておきましょう。

なお、教育訓練支援給付金を受給するには、令和7年3月31日までに専門実践教育訓練の受講を開始する必要があります。

実際に利用した人の体験談

ここで、看護師の資格取得をめざして教育訓練給付制度を利用した方の体験談を紹介しましょう。

彼女によると、入学金や授業料などでかなりの費用がかかったそうです。

毎日授業や実習などがありアルバイトも難しいため、教育訓練給付金がかなり助かったとのことです。

45歳未満なら教育訓練支援給付金をあわせて申請しておくことで、経済的な負担をさらに軽くできるでしょう。

特定一般教育訓練

「特定一般教育訓練」とは、再就職やキャリア形成を速やかに実現できるような教育訓練です。

具体的には以下のような講座が該当します。

  • 介護職員初任者研修や社会保険労務士、税理士などの資格取得をめざす講座
  • ITSSレベル2以上の情報通信資格の取得をめざす講座
  • 職業実践力育成プログラムやキャリア形成促進プログラムのうち、短時間のもの

このような講座を受講する場合、年間20万円を上限に受講費用の40%が修了後に支給されます。

一般教育訓練

「一般教育訓練」とは、就職の促進につながる教育訓練です。

具体的には以下のような講座が該当します。

  • 中小企業診断士や簿記検定、ITパスポートなどの資格取得をめざす講座
  • 修士・博士の学位などの取得を目標とする課程

このような講座を受講する場合、年間10万円を上限に受講費用の20%が修了後に支給されます。

なお、支援を受けられる資格や講座はこちらにまとめてありますので、参考にしてみてください。

教育訓練給付制度|厚生労働省

2. ハロートレーニング(公的職業訓練)

リカレント教育の支援制度として「ハロートレーニング(公的職業訓練)」もあります。

ハロートレーニングとは、再就職に必要な知識やスキルを習得するための訓練です。

どのような訓練があるのかは、ハロートレーニングインターネットサービスから閲覧できます。

分野や期間などからの検索も可能ですので、ぜひご覧ください。

ハロートレーニングを受講するには、以下のステップが必要です。

  1. ハローワークで求職を申込む
  2. ハロートレーニング実施施設での面接・筆記試験などを受験する
  3. 合格後、ハローワークからハロートレーニングの受講をあっせんしてもらう

受講をあっせんしてもらえるかどうかは、以下の点で判断されます。

  • 適職に就くために、ハロートレーニングの受講が必要だと認められるか
  • ハロートレーニングを受講するための知識やスキルがあるか

ハロートレーニングは、対象者によって「公共職業訓練」と「求職者支援制度」の2種類に分けられます。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

公共職業訓練

「公共職業訓練」は、雇用保険の受給資格者を対象とした訓練です。

雇用保険の受給資格者の中でも、対象者別に4種類あります。

対象者 費用 訓練期間 実施機関 訓練の一例
離職者訓練 離職者 無料
(テキスト代除く)
3か月~2年
都道府県
民間教育訓練機関
電気設備技術科
住環境計画科
造園科
介護サービス科
在職者訓練 在職者
(主に中小企業)
有料 2日~5日
都道府県
電気工事科
溶接科
機械加工科
機械製図科
情報ビジネス科
学卒者訓練 中学・高校卒業者など 有料 1年または2年
都道府県
自動車整備科
電子情報技術科
生産機械システム技術科
障害者訓練 障害者 無料 3か月~1年
都道府県
民間教育訓練機関
PCスキル習得科
介護初任者研修科
CAD設計科

ハロートレーニングが再就職につながるケースは多くみられます。

  • 派遣社員として部品加工の仕事をしていた人が、機械加工の知識と技能を習得し、現在は機械加工技術者としてマシニングセンタの業務を行っている
  • 販売員のアルバイトをしていた人が、住宅リフォームに関する知識を学び、現在は正社員の住宅プランナーとして活躍している

このように、多くの人がハロートレーニングでスキルを身につけ、希望する仕事に再就職を果たしています。

 

求職者支援制度

「求職者支援制度」は、非正規労働者など雇用保険を受給できない人を対象とした訓練です。

対象者 費用 訓練期間 実施機関 訓練の一例
求職者支援制度 雇用保険を
受給できない人
無料
(テキスト代除く)
2~6か月 厚生労働大臣が認定した
民間教育訓練機関
介護
情報
医療事務

求職者支援制度には、社会人としての基礎的な能力を習得できる「基礎コース」と、基礎的な能力にプラスして実践に使える技能を学べる「実践コース」が用意されています。

実践コースには、介護や情報、医療事務などがあります。

ハロートレーニング|厚生労働省

 

3. 母子家庭自立支援給付金および父子家庭自立支援給付金事業

リカレント教育の支援制度の中には、「母子家庭自立支援給付金および父子家庭自立支援給付金事業」というひとり親家庭向けのものもあります。

この制度は厚生労働省が自治体と協力して進めているものですが、中には制度を実施していない自治体もあります。

制度に興味がある方は、お住まいの自治体でこの制度を設けているかどうか確認してみてください。

「母子家庭自立支援給付金および父子家庭自立支援給付金事業」では、以下の2種類の給付金が設けられています。

  • 自立支援教育訓練給付金
  • 高等職業訓練促進給付金

ひとつずつ紹介します。

自立支援教育訓練給付金

「自立支援教育訓練給付金」は、母子家庭の母親や父子家庭の父親の主体的なスキルアップを支援する制度です。

対象の教育訓練を修了すると、受講費用の60%が支給されます。

対象の教育訓練には教育訓練給付の指定講座などが該当し、PCスキルや介護係、法律係など多岐にわたります。

詳しくは教育訓練講座検索システムから検索可能です。

自立支援教育訓練給付金の対象は、以下すべてを満たしている人に限られます。

  • 母子家庭の母親/父子家庭の父親であり、現在20歳に満たない児童を扶養している
  • 児童扶養手当の支給を受けている、もしくは同等の所得水準である
  • 適職に就くためには、教育訓練が必要であると認められる

高等職業訓練促進給付金

「高等職業訓練促進給付金」は、母子家庭や父子家庭に対して、経済的自立に有効な資格の取得を支援する制度です。

対象の資格には、看護師や介護福祉士、保育士などが指定されています。

生活の負担軽減などを目的として、養成機関での修業中には「高等職業訓練促進給付金」が、教育訓練修了後には「高等職業訓練修了支援給付金」がそれぞれ支給されます。

自立支援教育訓練給付金の対象は、以下すべてを満たしている人です。

  • 母子家庭の母親/父子家庭の父親であり、現在20歳に満たない児童を扶養している
  • 児童扶養手当の支給を受けている、もしくは同等の所得水準である
  • 養成機関において1年以上の教育訓練を修業し、資格の取得が見込める
  • 仕事・育児と修業の両立が難しい

実際に利用した人の体験談

ここで、高等職業訓練促進給付金を利用して看護専門学校に入学した、シングルマザーのケースを紹介しましょう。

彼女は、母子家庭が受けられる「児童扶養手当」や「保育料の減額」などのいろいろな制度を利用して経済的な負担を減らし、3年間学校に通い続けたそうです。

家事・育児・学業・アルバイトなど多くのことをこなさなければならない負担は大きいでしょうが、支援制度を利用することで少しでも負担を軽くできたようです。

母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について |厚生労働省

 

4. 日本学生支援機構奨学金の再貸与制度

個人向けのリカレント教育支援として、「日本学生支援機構奨学金」の「再貸与制度」もあります。

これは日本学生支援機構奨学金の奨学金を借りたことがある人が、もう1度奨学金を借りられる制度です。

再貸与を受けられる要件は、以下のようになっています。

  • 第一種奨学金(無利子):以前に再貸与を受けていないこと
  • 第二種奨学金(有利子):再貸与を希望している学校と同じ種類の学校(大学や専門学校など)で、以前に再貸与を受けていないこと

※家計や学力に関する基準などの要件は、通常の奨学金と変わりません

借りられる金額は、奨学金の種類や進学する学校などによって異なります。

また、申請は進学する学校を通して行います。

借りられる金額や申請方法など、再貸与について不明な点は、日本学生支援機構奨学金のWebサイトを確認したり、進学する学校に問い合わせてみたりするとよいでしょう。

奨学金の貸与をもう一度受けたい皆さんへ|JASSO

5. 自治体独自の支援制度

自治体独自の制度でリカレント教育を支援している場合もあります。

ここでは山形県酒田市と東京都文京区の例を紹介しましょう。

その他にも多くの自治体が支援制度を設けています。

お住まいの自治体で支援制度がないか、ぜひ確認してみてください。

山形県酒田市「リカレント教育促進補助金」

山形県酒田市では、リカレント教育を促進させるために補助金を支給しています。

対象となる講座は、東北公益文科大学が実施する「履修証明プログラム」と、山形県立産業技術短期大学校庄内校が実施する「社会人向け講座」。

酒田市内の企業に勤務する人がこれらの講座を受講する際、申請すると受講料の半額が支給されます。

リカレント教育の支援制度について|酒田市

東京都文京区「文京区リカレント教育課程受講料助成金」

東京都文京区も、リカレント教育課程を受講する際の費用を助成しています。

対象となる講座は、社会人としての基礎的な能力・スキルに関するものや、資格の取得をめざすもの。

受講期間が2年以内で、再就職につながる講座が対象となっています。

区内在住で60歳未満、かつ現在職に就いていないことが助成の条件です。

令和4年度文京区リカレント教育課程受講料助成金|文京区

まとめ

リカレント教育の支援制度として以下の5つを紹介しました。

  • 教育訓練給付金
  • ハロートレーニング(公的職業訓練)
  • 母子家庭自立支援給付金および父子家庭自立支援給付金事業
  • 日本学生支援機構奨学金の再貸与制度
  • 自治体独自の支援制度

リカレント教育には多くの支援制度が存在します。

「よい条件で再就職をしたい」「資格を取得したい」と考えている方は、この記事で紹介した支援制度を活用できないか検討してみてはいかがでしょうか。

記事の執筆者
Ricca

2人の子育てをしながら在宅で働くwebライター。
今までたくさんの人材系記事に携わってきました。
転職に悩む人や転職に踏み切ろうと努力している人のために、本当に役立つ、リアルな情報をお伝えします。
>>Twitterはこちら

学び情報