美術検定とは?受検するメリット・試験内容・難易度などを紹介

美術に興味はあるけれど「学ぶきっかけがない」「どう勉強したらいいか分からない」という悩みを持っている人には、美術検定に挑戦することをおすすめします。

美術検定は受検者の「美術を鑑賞する目」を養うだけでなく、これから美術に親しもうとする人をサポートする「アートナビゲーター」の育成も意識した検定試験です。

ここでは美術検定について、その特徴や取得するメリット、難易度などを解説します。

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美術検定とは?

美術検定とは、一般社団法人美術検定協会が主催する民間検定試験です。

その前身は2003年にスタートした美術出版社主催のアートナビゲーター検定試験で、2007年に美術検定と名称を変更し現在に至ります。

美術検定では、美術作品をみる力を付けることを目的としています。

みる力とは作品や作家、その作品が誕生した時代背景などを知ることにより養われる能力のことです。

美術検定試験には1級から4級があり、級が上がるほど高度なみる力が求められるため、取得の難易度も上がっていきます。

こんな人におすすめ

美術検定は、美術館や展覧会巡りが趣味の人に特におすすめです。

検定でみる力を養った上で美術館・展覧会巡りをすると、美術をより一層楽しめるようになるでしょう。

美術系の進学を考えている方にもおすすめで、美術検定取得者への優遇措置は、複数の大学の総合型選抜・推薦入試などで実施されています。

また、ビジネスシーンで使える教養を身に付けたいビジネスパーソンにもぴったりです。

特に営業職は相手の興味・関心に即した話題を提供する場面が多いため、ある程度の教養は必要不可欠と言えるでしょう。

取引相手も美術に関心が高い人であれば、共通の話題で盛り上がり、結果的に仕事を円滑に進められるかもしれません。

受検するメリットは?

仕事の幅が広がる

美術検定を受検するメリットの一つ目は、仕事の幅が広がることです。

美術検定は、級ごとに身に付けるべき知識が異なり、2級以上では作品や作家、美術史に関する知識だけでなく、美術鑑賞の役割や具体的な鑑賞の仕方も問われます。

これらの知識を身に付けていれば、美術館や展覧会、アートイベントで働くスタッフとして重宝されるでしょう。

美術との関わりが深い仕事で活躍したいのであれば、美術検定は取得して損は無いと言えます。

趣味が増える

美術検定を受検するメリットの二つ目は、趣味が増えることです。

美術検定で作品をみる力を養えば、美術鑑賞の真の面白さが分かるようになります。

面白さが分かれば、必ず「美術館に足を運びたい」「多くの作品を鑑賞したい」と思うはずです。

美術検定の受検をきっかけに美術館巡りが趣味になれば、人生が今以上に充実するでしょう。

すでに美術鑑賞が趣味だった人は、その趣味をより一層楽しめるようになりますよ。

感性が磨かれる

美術検定を受検するメリットの三つ目は、感性が磨かれることです。

感性は先天的なものではなく、美しいもの・心が動かされるものを数多く鑑賞することで養われる感覚です。

美術検定でみる力を身に付ければ、鑑賞する作品の観るべきポイントが明確になります。

鑑賞のポイントが分かれば、ただ漠然と美術品を眺めるよりも効率的に感性を磨けるでしょう。

感性が研ぎ澄まされると、生活の中にあるちょっとした風景にも美を見出だせるようになり、生活が今よりも彩り豊かになります。

試験の内容は?

美術検定は4級から1級まですべてオンライン試験で行われ、パソコンもしくはタブレットで受検が可能です。

4級に至っては常時オンライン試験が開放されていて、いつでもどこでも好きなときに受けられます。

また、4級から2級までは受検資格は必要なく、誰でも受検が可能です。

もちろん3・4級を取得せず、いきなり2級を受検しても問題ありません。

1級を受けるには美術検定2級、あるいは旧アートナビゲーター検定2級の取得が受検資格として求められます。

出題形式は4級から2級が選択式、1級では選択式と記述式です。

問題数と試験時間は4級が約50問で45分、3級が約100問で60分、2級が約100問で90分となっています。

受検料はそれぞれ税込で4級が3,970円、3級が6,110円、2級が7,950円、1級が9,990円です。

難易度について

美術検定の難易度は級によって異なります。

もっとも易しい4級は、アートを楽しむ力や美術の基礎知識を問われるのが特徴です。

次に易しい3級は、4級に求められる美術の基礎知識に加え、美術史への理解が問われます。

2級では、3級までの知識に加えて美術鑑賞の役割や現状への理解が必要です。

最も難しい1級の試験では、他者に美術の楽しみ方をレクチャーできる「アートを伝える力」が求められます。

合格ラインは約60%

美術検定の公式ホームページでは、各級の合格目安が公表されています。

4級から2級までは正答率約60%が合格ラインです。

なお、合格の目安は受検者全体の正答率によって前後するため、あくまでも参考程度に留めておきましょう。

1級は一定の基準に達すれば合格とされていますが、合格目安の正答率は提示されていません。

過去の1級合格者の正答率は2016年が70%、2017年が75%、2018年が80%であるため、他の級よりも高い正答率が求められると考えられます。

2018年に行われた美術検定では、4級が96.5%、3級が78.0%、2級が41.9%、1級が15.1%の合格率でした。

2級以上は合格率が一気に下がるため、入念な準備をして受検に臨むと良いでしょう。

活躍の場は?

美術検定の合格者には、美術に関わる現場での活躍が期待されます。

しかし、美術検定はあくまで民間検定試験であるため「美術検定を取得しているからこそ就ける仕事」があるわけではありません。

ここでは、美術検定を持っていると活躍できる可能性がある仕事場を紹介します。

美術館

美術館は、美術検定の取得者が活躍できる可能性のある職場の一つ。

そこで働くギャラリーガイドの仕事は、美術検定で得た知識を存分に活かせます。

ギャラリーガイドとは、美術館や展示会に訪れるお客様に対し、作者の情報や作品誕生の背景、鑑賞するときの見所などを説明する人のことです。

また、展覧会やアートイベントの企画・提案においても、美術検定の取得が役立つ可能性があります。

特に美術検定1級ではアート鑑賞の仕方を学ぶため、その知識をフル活用できるでしょう。

ボランティア活動

美術館や展覧会で来場者をサポートするボランティア活動でも、美術検定が大いに活躍します。

美術館やアートイベントのボランティアでは、訪れた人に作品を解説したり、講座やワークショップで来場者とコミュニケーションを取ったりします。

ボランティア募集の際、美術検定を取得していることをアピールすれば、美術に関心が高く知識を持っている人と評価され、採用に有利に働くでしょう。

美術検定でみる力を身に付けよう

美術検定は趣味の色合いが強いため、これを取得したからといって今すぐ仕事につながるわけではありません。

しかし、美術検定の勉強で得られる美術作品をみる力は、趣味や日常生活のなかで役立つ能力です。

もし、美術館巡りが趣味だったり、知識はまだないけれど美術品を観るのが好きだったりするなら、ぜひ一度美術検定を受検してみてください。

記事の執筆者
LS編集部

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