専門的な知識を必要とする資格にはさまざまな種類があります。
普段の安全な生活が守られているのは、専門の知識をもった人たちの活躍のおかげということもあります。
普段の生活で必要不可欠なガスにおいても設置工事には細心の注意が必要で、取り扱うには資格が必要です。
今回は、身近なLPガスの取り扱いに必要な液化石油ガス設備士という資格について紹介します。
液化石油ガス設備士とは?
区分 | 国家資格(業務独占資格) |
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カテゴリ | ガス・技術 |
受験資格 | 筆記試験:無し 技能試験:筆記試験に合格 |
試験日程 | 毎年11月 |
試験方法 | 筆記試験・技能試験 |
試験会場 | 各都道府県 |
受験料 | 22,700円 |
登録・更新 | 更新あり |
難易度 | |
おすすめな人 | 社会人 |
液化石油ガス設備士とは、国家資格の一つになり、家庭用プロパンなどに使用されるLPガスの設備の設置工事や変更工事などを行うことができる資格です。
液化石油ガスの設備工事をする場合は、専門の技術と細心の注意が欠かせません。
その為、災害の発生を防止し安全に作業出来るようにするために必ず必要になる資格となります。
具体的な仕事内容は、点検や硬質管相互の接続、調整器やガスメーターと硬質管との接続、気密試験の作業といったことがメインになり個人宅や法人会社などを回る事が多くなります。
液化石油ガス設備士は、高圧ガス試験保安協会が実施している試験を受け合格し都道府県知事に申請することで交付を受けることが可能です。
一般家庭などで使われるLPガスの取り扱いは、些細なミスでも大きな災害に繋がりかねない危険な作業になります。
その為、専門的知識をもつ液化石油ガス設備士はとても重要な役割になります。
作業中の事故はもちろん、ガスを使用する一般家庭の安全も守る大切な仕事で設備工事を行う際は、液化石油ガス設備士の免状を携帯することも義務付けられています。
液化石油ガス設備士のメリットは?
仕事の幅が広がる
液化石油ガス設備士の資格は、LPガスの取り扱いには必ず必要になる資格です。
逆に言うと資格がなければ取り扱う事はできません。
そのため取得することで、できる作業内容の幅が大きく広がります。
また、都市部では都市ガスが多くプロパンガスは減少傾向にありますが、プロパンガスから都市ガスへの置き換え工事にも必ず液化石油ガスの資格が必要になります。
活躍の場が広がることで自分のキャリアアップにもつながることもメリットの一つです。
昇給や転職に有利になる
資格を取得することで手当として給与が上がったり、昇進できる可能性があります。
会社によっては資格取得のサポートを行ってくれることもあるので、活用して効率的に取得するのもおすすめです。
LPガスに関する業務は、資格保有者にしかできない業務内容が多くあるため、転職の際にも有利になるでしょう。
将来性がある
液化石油ガス設備士の資格取得者は、年々減少傾向にあります。
しかし、水道、電気、ガスは生活において必要不可欠なライフラインで、今後も変わることはありません。
その為、液化石油ガス設備士は今後も需要が高まる将来性のある資格だといえます。
安定した収入
液化石油ガス設備士の平均年収は一派企業に比べて比較的高い傾向にあります。
資格が活かせる業界は、残業代などの時間外手当がきっちりした企業が多いです。
その為、安定した収入を得る事が可能といえます。
液化石油ガス設備士の取得方法は?
液化石油ガス設備士の資格は、高圧ガス保安協会が実施している国家資格になります。
実務経験や学歴などの縛りはなく、誰でも受験することが可能です。
資格を取得するためには国家試験を受け合格する方法と、高圧ガス保安協会が実施する講習会を受講し検定に合格する方法の2種類があります。
国家試験
国家試験は年に1回実施され、筆記試験と技能試験があります。
受験資格に制限はない為、誰でも受けることが可能ですが、技能試験では硬質管の接続や、器具取り付けといった技術が必要になります。
その為未経験でも受験することは可能ですが、実際にこの試験を受ける人は働いて実務経験を積みながら受験するという人がほとんどです。
また、前年度に筆記試験のみ合格した人は、当年度技能試験のみをうけることが可能となります。
どちらも合格することで液化石油ガス設備士の資格を取得することができます。
講習会
講習会での資格取得は3段階に分かれており、段階は経験や資格によって異なります。
- 第一講習:未経験者
- 第二講習:現場での実務経験が1年以上ある人
- 第三講習:高圧ガス以外の配管等の関連施工資格を持っている人
第一講習、第二講習は学科と技能がありますが、第三講習は学科のみになります。
検定試験の合格は必要になりますが、講習を受けることで独学で勉強するよりも理解が深まり、国家試験の受験よりは、比較的合格へ近づくことが可能です。
また、実技の講習も行われるため、未経験者でも試験に必要な技術を習得することができます。
ただし、未経験者が受けられる第一講習は、受講できる場所が限られており、期間も受講場所によって異なるので詳しい情報は受講可能な指定機関への問い合わせが必要です。
液化石油ガス設備士の難易度は?
時期 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2022年 | 1,480人 | 36.5% |
2021年 | 1,768人 | 33.5% |
2020年 | 1,511人 | 30.1% |
2019年 | 1,505人 | 37.0% |
2018年 | 1,536人 | 37.6% |
液化石油ガス設備士の合格率は3~4割となっているので、難易度としては国家資格の中ではやや易しいとされています。
筆記試験
筆記試験の内容は、LPガスに関する知識と取り扱いなどが中心で基礎知識や配管理論、施行方法などといった内容になります。
また、保安法令についても出題されるため、過去の問題を通して出題パターンを把握し、理解を深めておくことが必要です。
出題される範囲は狭いため問題集や過去問題を繰り返し勉強することで、合格する可能性が高くなるといえます。
技能試験
技能試験では、硬質管の加工や接続、器具等の取り付けといった実際の現場で行われるような技術が必要になります。
項目によって大幅な減点や不合格につながってしまうような項目もあるので、注意が必要です。
限られた試験時間の中で、ミスを修正できるくらいの余裕がある作業ができるように、事前に職場などで練習しておくと合格に近づくでしょう。
講習の方が難易度は低い
国家試験より、講習を受講して取得する方が比較的取得率は高くなります。
自分のライフスタイルに合った方法で取得するといいでしょう。
一度取得すると一生涯安定した仕事をできるといえる資格だと考えると、難易度は高くないといえる資格ではないでしょうか。
液化石油ガス設備士はこんな人におすすめ!
液化石油ガス設備士の仕事は、LPガスを扱う工事がメインになるため、一歩間違えると大きな災害に繋がる危険な作業でもあります。
その為、設置や撤去などの作業には、適切な判断と集中して慎重に作業を行うことが必要です。
このことから、集中力と判断力に長けている人が向いているといえます。
また、液化石油ガス設備士は専門的な知識と技術が必要なため、平均年収が比較的高い傾向にあり、ガス関連企業に就職や転職、在籍している人にも役立つ資格です。
キャリアアップしたい人にもおすすめの資格といえます。
まとめ
液化石油ガス設備士の資格は、知識はもちろん技術も専門的であるため、現場で実践を積みながらの方がより効率的に取得しやすい資格だといえます。
資格取得のサポートが行われている企業も多くあるため、これから転職や就職を考えている人は、企業選びの参考にするのも一つの方法です。
興味のある方は是非チャレンジしてみて下さい。