歯科衛生士がどんな職業かご存知でしょうか。
歯科医院で働いているのを見たことがある人もいるかもしれませんが、実際にどんな仕事をしているのか、どうすれば歯科衛生士になれるのか知らないという人もいるでしょう。
この記事では、歯科衛生士の仕事内容や試験の難易度など、歯科衛生士になるために知っておきたいことを解説していきます。
歯科衛生士とは?
歯科衛生士は、歯の健康を保てるように患者のサポートを行う職業です。
人間が健康的に生活するためには、歯の健康維持が不可欠です。
歯周病などになり歯を失ってしまうと、食事をするのも不自由になってしまいます。
「オーラルフレイル予防」や「8020運動」など、国も歯の健康を保つための取り組みを積極的に行っています。
口腔ケアの意識も高まっているということで、歯科衛生士の需要も高まっているのです。
歯科助手との違い
歯科衛生士と似た歯科助手という仕事もありますが、2つは全くの別のものです。
歯科助手はアシスタント業務がメインとなり、患者の口腔内に触れて治療を行うことはできません。
しかし、歯科衛生士は国家資格を持ち医療行為が認められているため、一部の医療行為を行うことができます。
歯科衛生士と歯科助手では、業務範囲に違いがあるので注意しましょう。
歯科衛生士になるには?
歯科衛生士になるためには、国家資格を取得する必要があります。
歯科衛生士の国家試験を受験し、合格すれば歯科衛生士になることができますが、誰でも試験を受けられるわけではありません。
受験資格を得るためには、専門学校や短期大学などの歯科衛生士養成所で3年間学ぶ必要があります。
一部4年制大学も指定されていますが、その場合は4年間学ぶことが条件になります。
男女問わずなれる
歯科衛生士というと、女性のイメージが強いかもしれません。
事実、歯科衛生士が誕生した当初は女性の職業として広まりましたが、時代の変化と共に男性の歯科衛生士の需要も増えています。
2002年以降は男性の歯科衛生士も認可されるようになっているので、男性でも問題なく歯科衛生士になることができます。
歯科衛生士の仕事内容は?
歯科衛生士の仕事は、患者の歯や口腔内の健康をサポートすることです。
そのために様々な業務を行うことになりますが、大きく分けると「歯科保健指導」「歯科診療の補助」「歯科予防処置」の3つがあります。
それぞれがどういう仕事なのかを詳しく見ていきましょう。
歯科保健指導
歯科保健指導は、幼児から高齢者まで年齢を問わず、すべての人に歯の健康を保つための指導を行う仕事です。
具体的には日頃の歯磨きの仕方など、セルフケアの指導を行います。
生活習慣病の1つとも言われる歯周病を防ぐために、歯科保健指導を行うのは歯科衛生士の大切な仕事なのです。
他にも食育支援や摂食機能訓練など、歯の健康に関する様々なサポートを行います。
歯科診療の補助
歯科衛生士は、歯科医師が治療を行う時の補助も担当します。
歯科診療は歯科医師だけではなく、歯科衛生士を含めたチームで行うものです。
患者の治療がスムーズに進行するように、チームで協力しながら治療を行っていきます。
また、歯科衛生士は国家資格を持っているため、一部の医療行為を行うことも許されています。
歯科医師の指示を受けながら、歯科治療を担当することもあるのです。
歯科予防処置
歯科衛生士が患者に対して行う治療のメインとなるのが、歯科予防処置です。
虫歯や歯周病が原因で歯を失ってしまう人は多くいますが、予防処置を行うことで自分の歯を保つことができるようになります。
機械的歯面清掃などを行い、歯周病や虫歯の予防処置をするのも歯科衛生士の大切な仕事です。
歯科衛生士の働き先は?
約9割が歯科医院で活躍
歯科衛生士の働き先の約9割が虫歯などの治療を行う歯科医院です。
歯科医院は都市部だけではなく住宅街にもあり、求人数が多いのも人気となっている理由のひとつでしょう。
また、歯科医院は一般歯科だけではなく、矯正歯科や口腔外科など様々な科を備えているところがあります。
求人数も多く科の選択肢も多い歯科医院は、歯科衛生士の就職先として恵まれた環境が整っています。
歯科診療以外で活躍する人も
より最先端の医療設備が整った職場で働きたいという人に人気なのが、大学病院や総合病院です。
歯科診療の補助だけではなく、手術を受けた患者の感染症を予防するケアなども歯科衛生士の仕事になります。
多くの医療関係者が働く現場ということで、チーム医療のことを学ぶにはぴったりな職場です。
他にも、歯科保健指導などがメインの仕事になる市町村保健センターや、高齢者の口腔ケアなどを行う介護福祉施設で働く歯科衛生士もいます。
また、歯の治療だけではなく商品開発にも関わる歯科関連企業など、様々な働き先があるのです。
歯科衛生士の難易度は?
歯科衛生士の難易度ですが、平成29年のデータでは合格率が93.3%となっています。
他の年も95%前後の合格率をキープしているため、受験したほとんどの人が合格していることになります。
これだけ見ると簡単な試験に感じるかもしれませんが、歯科衛生士の国家試験は誰でも受けられるわけではありません。
受験資格がありそれを満たした人しか受験できないため、受験するまでの道のりが大変という面もあるのです。
しかし、受験を受けるためにしっかり勉強し、受験資格を満たした人であれば大半の人が合格できる資格とも言えます。
国家資格というと難しいイメージがあるかもしれませんが、養成学校に通いカリキュラムを学べば、決して取得が難しい資格ではありません。
歯科衛生士の試験内容は?
歯科衛生士の試験は、年に1回、東京、大阪、北海道、広島、沖縄などの全国各地で開催されています。
試験は歯や口腔以外の人体の構造や機能に関する問題も出題されるので、人体に関わる様々な知識を学んでおかなければなりません。
他にも歯科衛生士概論、歯科予防処置論、臨床歯科医学など、全9科目が出題されます。
試験はマークシート方式で、220点満点の問題です。
6割の132点以上が合格ラインとなりますが、もし不合格になってしまった場合でも受験資格が失われることはありません。
再度養成学校に通う必要はなく、次の年に再挑戦することが可能です。
合格率は95%程度と高いですが、1年に1回しか開催されていないので入念に準備して試験に臨みましょう。
自分に合う学校で歯科衛生士を目指そう!
歯科衛生士になるためには、国が指定する養成学校に3年以上通う必要があります。
これを満たしていないと、試験を受けることができないので注意しましょう。
受験資格さえ満たしてしまえば、合格率90%以上の試験なのでそれほど難しい試験ではありません。
歯科衛生士の需要は高く求人数も多いので、自分に合った養成学校を探してみて資格取得を目指してみてはどうでしょうか。