入院しているママさんに、
「足首がありません!こんなの今までの人生で見たことないです。」
「ゾウさんみたいなんですけど、これって大丈夫ですか?何かの病気ですか?」
退院するときに「履いて来た靴が入らないんですけど・・・」と言われることが多々あります。
「そうなんです。これって、産前産後あるあるなんですよ」って言って回るもぐもぐです。
女性なら一度は経験するであろう足のむくみ。
でも、妊娠、出産をするとそのころのむくみが比じゃないほどの重だるさを超えて痛みも出てくる方もいるんですよね。
そんなママさんたちの足をマッサージしてあげたいくらいですが、このむくみがまた厄介なんですよね。
と言うことで、今回は産前産後のむくみについて少しお話させていただこうと思います。
産前・産後のむくみってなぜ起こるの?
体の中を巡っている血液は、腎臓で濾されておしっことなって排泄されます。
しかし、何かしらの原因で排泄を妨げられ、細胞に溜まってしまうとむくみとなって足が重くなったり、手が握りづらくなったりするのです。
特に妊娠をすると、むくみやすくなるのには理由があります。
ママは自分の体だけでなく、赤ちゃんにも酸素や栄養を送らないといけないですよね。
そうするとママの体には、2人分の栄養と酸素を体に巡らせるためにたくさんの血液が必要になるのです。
なので、体内の血液の量は妊娠すると1.5倍の血液量になります。
その多くなった血液を腎臓は一生懸命に排泄しようと頑張ります。
しかし、妊娠・出産で腎臓に負担がかかってしまい、うまく排泄されずに血管内の水分が細胞にしみ出し、溜まってしまうことでむくみが起こってしまうのです。
また、出産をすると出血したり、授乳をしたり、ホルモンのバランスが崩れて汗が止まらなくなったり、水分が不足している状態になります。
そうすると体は、必死に体内に溜め込もうとします。
これも産後のむくみの原因の一つとなります。
どうやったらこのむくみを解消できるの?
私の勤めている病院では、漢方を処方することもあります。
しかし基本的には、自然に体からはけていくのを待つしかないのです。
個人差はありますが、大体1ヶ月かけて少しずつよくなっていきます。
でも、できる対策もあるので紹介していきますね!
おすすめのむくみ対策4選
横になって足を上げる
産後は特に、授乳などで座っている時間が多くなると思います。
1日に1時間の授乳を8回だと、少なくとも8時間はずっと座りっぱなしでしょう。
しかし、ずっと座りっぱなしだと、重力で水分が足先の方に下がってしまいむくみがひどくなります。
入院中は少なくとも授乳と授乳の間は、横になってお休みすることをおすすめします。
それにプラスして、クッションやタオル、お布団などで少し高さを作って心臓よりも足が上に上がるようにしてください。
足の方に溜まった水分を体の中心部に流れるようにすることで、お小水として排泄されやすくなります。
ただ、あまり高く足を上げると、腰や膝に負担がかかるので注意してくださいね。
着圧のソックスを履く
産前産後は、どうしても運動して筋肉を鍛えることができないので、足に人工的に圧力をかけて水分が足の方から体幹に巡るようにお手伝いをしてあげる方法もあります。
ただ、人によっては圧迫感や痺れが出てきて、不快な方もいるかもしれません。
また、ストッキングかぶれで湿疹が出てしまうこともあるので、無理のない範囲での使用をおすすめします。
足を冷やさないようにする
体内の血液の巡りが悪いと、水分もうまく流れていかず滞りむくみの原因に繋がっていきます。
夏でもクーラーを使用すると足は冷えやすいので、靴下を履くようにしてくださいね。
また、産前はゆっくりお風呂に浸かって体を温めるようにしてくださいね。
そして産後は、悪露(子宮からの出血)が出るのと感染予防のため、6週間後の健診までに入浴を控えるようにお伝えしています。
なので、足浴をして温めてみてくださいね。
マッサージをする
産前の方には、お腹も大きいのでなかなかセルフマッサージは難しいでしょう。
むくみが辛いという方はマッサージに行くものいいと思います。
妊婦さんでもマッサージを受けられるところも増えてきたので、探してみるのもひとつですね。
産後は、授乳などでゆっくりする暇もないとは思いますが、余裕があればぜひ!
足先から上に向かって水分を持ち上げるようにしていくと足が楽になると思います。
塩分をたくさん摂取することは『NG』
妊娠中は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、体重のことを気にして、「ラーメン、ポテト、フライドチキンを我慢していました」と言うママが多くいらっしゃいました。
だからこそ、産後はここぞとばかりにジャンキーなものに走りがちです。
でも、塩分が高いものを摂取すると血液の中の塩分の濃度が高くなります。
それを下げるために、体はもっともっと水分を体に溜め込もうとしてしまい、結果としてむくみがひどくなります。
塩分を体から排泄しやすくするためには、カリウムが多く含まれる食べ物がおすすめです。
・バナナ
・干し柿
・ほうれん草
・千切りだいこん
・ひじき
・わかめ
・昆布 など
このラインナップから見ても、和食によく使われる食材が多いです。
なので、産後もぜひ和食を中心とした食生活にしてみてくださいね!
こんなむくみには気をつけて!
- 血圧が高くなってむくんできた
- 体重もなんかここ1週間で増えた
と思った時は、妊娠高血圧症候群が悪化している可能性があります。
また、「明らかに片方の足がむくんでるな」と感じる場合には、深部静脈血栓症が潜んでいる可能性があります。
動かないでずっとおんなじ姿勢でいると、本来心臓に血液を送ろうとする足のポンプ機能が低下してしまいます。
そうすると、血液が澱み血管の中に血栓ができてしまう状況になります。
その血栓が鼠径部で詰まると、足の太さに左右差が出てきてしまうのです。
こういった場合には、とっても危険な状態なのですぐに病院へ連絡してくださいね。
まとめ
妊娠中から出産にかけて、むくみは出てきてしまうもの。
ただ、むくみの中でも他の病気が潜んでいる可能性がある場合は要注意です。
おすすめの対処法として、
- 横になって足を上げる
- 着圧のソックスをはく
- 足を温める
- マッサージ
など、試してみてはいかがでしょうか?
また、塩分は控え、和食を中心としたバランスの良いご飯を食べることを意識しましょう。
基本的には時間と共に良くなるので、できる対処法を試してみてくださいね。
皆さんのむくみが1日も早く引くことを願って。